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サウジアラビアのディルイーヤ・ゲート開発プロジェクト、範囲・予算共に大幅拡大

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14 Jun 2021 12:06:10 GMT9
14 Jun 2021 12:06:10 GMT9
  • 首都リヤドの歴史的スポット、ディルイーヤ・ゲートを中心に新しい文化的エリアを作り出すプロジェクトの責任者は、進行中のサウジアラビアの大規模プロジェクトは「互いに補完し合うように非常に賢明に作成されている」と語っている。

フランク・ケイン

ドバイ:サウジアラビアは、首都リヤドの歴史的スポットであり同国の象徴的存在、ディルイーヤゲートを中心にレジャー・文化の新エリアを作り出すプロジェクトの規模を大幅に拡大させている。

同プロジェクトを運営するディルイーヤ・ゲート開発局(Diriyah Gate Development Authority、DGDA)のジェリー・インゼリーロ最高経営責任者(CEO)はアラブニュースの取材に対し、プロジェクトの予算が270億ドルから400億ドル(約4兆3900億円)に増加し、その事業範囲も大幅に拡大したと明らかにした。

「この規模拡大が意味するのは、(追加)調査の結果にしたがって、プロジェクトのマスタープランがより広いビジョンを持つものへと進化し、リヤドを世界の10大都市の1つに数えられるほどの街(に育てていく長期計画)の一部となった、ということです」とインゼリーロCEOは語る。

ディルイーヤ・ゲート開発局・インゼリーロCEO は、グローバルな観光ビジネス分野において豊富な経験を持ち、2018年に現職に任命された。同CEOは、アラブニュース制作によるビジネス界・政界のトップ達へのインタビュー動画番組「Frankly Speaking」に出演し、ディルイーヤ・ゲートプロジェクトの新しい発展を明らかにした。

インタビューの中で、インゼリーロCEO はまた、「ビジョン2030」の巨大プロジェクトの中でも際立つディルイーヤ・ゲート開発プロジェクトの重要性、サウジアラビアの観光産業に対する新型コロナウイルス流行の影響、さらにエジプトのピラミッドやローマのコロッセオなどの世界的な人気観光スポットに対抗できるほどの発展を目指す開発局の広範囲にわたる計画等の話題についても話している。

ディルイーヤ・ゲートプロジェクトの予算と範囲を拡大する今回の措置は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の発案によるものだともインゼリーロCEO は明かしている。

「今回の規模拡大は、単に私たちが使えるお金が増えたということではなく、ビジョンの変化の反映なのです。彼(皇太子)は各プランを綿密に検討しており、関係者の中で最も賢い人間と言えます。彼の持っているビジョンは素晴らしいものだと思います」とインゼリーロCEOは語った。

「つまり、マスタープランがあってパリの街が、ベルリンが、マンハッタンがデザインされたのと同じようなプロセスで開発計画は進行しており、そうした手法は皇太子の都市づくりに対する姿勢であると同時に、すべての都市を見る方法であり、私たちの成長を可能にしてきた要因でもあります。 」

ディルイーヤは、18世紀に最初のサウジ王国の首都であった場所であり、現在、「ビジョン2030」における、経済を多様化し、サウジ市民により多くのレジャーと文化施設を提供し、外国人観光客を誘致しようとする戦略の中心的存在と見なされている。

「ディルイーヤには唯一無二の価値があります。それはサウジアラビアのすべてが始まった場所であり、国中から愛着を持たれている場所でもあります。他のプロジェクトのCEOたちがこの番組に来て「いやいや、私たちも素晴らしいです」と言うかもしれません。どのプロジェクトも素晴らしいと思いますし、非常に好きなのですが、ディルイーヤは唯一無二の場所であるという事実は変わりません」とインゼリーロCEOは語っている。

CEOはまた、ディルイーヤ・ゲートおよびその他の大規模プロジェクトはスケジュール通りに進行しており、新型コロナウイルス流行の経済的影響による過度な遅れは起きていないと明言した。

紅海開発やアル・ウラー関連などの他の大規模なレジャー開発プロジェクトの予算も削減はされていない、とのことである。

「私たちは2020年を通して用意した戦略を変更なく実施し、予算削減の必要はありませんでした。皇太子は恐れることなく勇敢に計画を実行してくださいました」とインゼリーロCEOは付け加えた。 「その結果、サウジアラビアの主要な大規模プロジェクトは今、予算内でスケジュール通りに行うことができています。」

いくつかの大きなプロジェクトは、必要なエクイティと新規投資の適切な組み合わせを決定するために「別の予算サイクルが必要」ですが、彼は全体的な投資が政府資金、サウジ民間セクターからの投資、および外国投資によって満たされると確信しています。

一部の観光専門家は、10年の終わりまでにさまざまな新しいレジャーや文化的アトラクションに1億人の訪問者を引き付けることを目指す全体的な戦略に疑問を呈していますが、インゼリーロ氏はプロジェクトは競争していないと述べました。 「それらは互いに補完するように非常にインテリジェントに構成されています」と彼は付け加えました。

新しい観光プロジェクトが多数進行しているのは、サウジアラビアがシンガポールやヨーロッパ諸国などの他の既に実績のある世界的な人気旅行先と競争できるところまで短期間で発展しようとしているためだとインゼリーロCEOは説明した。

インゼリーロCEOは、新型コロナウイルスの流行に伴う旅行制限がサウジアラビアを訪れる人々の数に影響したと述べたが、その影響は、フランスや米国などの他の有力な観光地に比べれば度合いとしては小さいものだとしている。「私たちは元の規模がさして大きくありませんから」とのことである。

新しい予算枠に沿って、ディルイーヤ・ゲート開発局は目標とする推定訪問者数を引き上げた。現在、どう開発局は2030年までに2700万人の訪問者と10万人の居住者を見込んでいる。

インゼリーロCEOは、この目標は達成可能なものであると述べ、新型コロナウイルス関連の制限が発効する前には、新規に観光ビザを申請する人々の数が週当たり55,000人に達していたことを楽観材料として挙げた。

ディルイーヤのプロジェクトは、サウジアラビア国内の観光客と外国人観光客の両方を対象としており、この地域の豊かな歴史的遺産を活かそうとするものだ。

インゼリーロCEOは、ディルイーヤ世界の素晴らしい文化的観光地の一角を占めることができると確信しているという。

「ディルイーヤはサウジアラビアにとって、ギリシャ人にとってのアクロポリス、ローマにとってのコロッセオ、ペルー人にとってのマチュピチュに相当するものなのです」とCEOは語った。

「アラビア湾地域を訪れる人は誰しも、サウジアラビアのすべてが始まった場所、王家サウード家の出発点を見たいと思うでしょう。それがディルイーヤなのです」

ラスベガスで訓練を受け、南アフリカ、アラブ首長国連邦などで国際プロジェクトに従事した経験を持つインゼリーロCEOは、サウジアラビアにおけるアルコール飲料の不在は、観光客にとっての同国の魅力にほとんど影響を与えないと考えている。

CEOによると、世界各地で抽出したフォーカスグループに尋ねたサウジアラビアでの観光の優先順位についての質問への回答の中で、心配される事項の上位5つには、飲食体験にアルコール飲料が含まれないことは入っていないとのことである。

「サウジアラビアを訪れる人々はこの国の美しさと人々の暖かさに驚いていました」とインゼリロCEOは付け加えた。

ニューヨーク市のブルックリン出身のインゼリロCEOは、彼自身だけでなく他の西洋人居住者たちのサウジアラビアでの生活の質の維持・向上にも熱心に取り組んでいる。西洋人居住者は、ディルイーヤゲート開発局の従業員の約20%を占めている。

「どんなところでも、人が一番好むのは、礼儀正しさだと思います。他人を温かく親切に扱う、ということですね。そしてそれこそが、サウジアラビア社会の素晴らしいところなのです。また、楽観的で、前向きなところも魅力です」とCEOは指摘する。

インゼリーロCEOはまた、「スーパーチャージ版CEO」と彼が表現する、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の意思決定スタイルについても説明している。 

皇太子のアプローチについてCEOは次のように述べている。「皇太子のやり方は非常に整然としており、「どのようなプロセスを取るつもりですか?この問題をどう調べたのですか?誰と協力して調べたのですか?世界のトップレベルからの協力は得られたのですか?何を得て、そしてどんな選択肢を提示するつもりなのですか?」

「そのようなことですから、承認を与えて会議を終えた後も、皇太子は検討を止めません。翌日か2日後、それか5日後あたりに、皇太子から電話がかかってくるわけです。 「この間のあれとあれを結びつければ、ディルイーヤにとってより良いものになるとは思いませんか?」「その通りです陛下、気がつきませんでした。」こんな感じなのです。」

ツイッター:@frankkanedubai

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