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イランの脅威に対し、GCCと米国が結束

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23 Nov 2021 09:11:24 GMT9

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ

湾岸協力会議(GCC)と米国の高官たちが先週リヤドで会合をもち、イランに対する協調的なアプローチに同意した。イランに関するGCC・米国作業部会は、2015年5月のキャンプ・デービッド・サミットを受けて、同年11月に設置された。このサミットでは、バラク・オバマ大統領と湾岸諸国の指導者たちが、GCC・米国間の戦略的パートナーシップの様々な面を扱うためにいくつかの作業部会を設置することに同意した。これらの作業部会の焦点は当初、安全保障と政治的な問題におかれていたが、その後のサミットや大臣級会談では他の問題にまで範囲が拡大された。

17日(水)の会合においてイランに関するGCC・米国作業部会は、その長期にわたるパートナーシップを再確認し、「地域の安全と安定に貢献するという共通の決意」を表明した。この会合では、イランの地域における活動・ミサイル計画・核活動という3つの主要課題が扱われた。後に発表された声明において同部会は、弾道ミサイルとドローンの増加と数百回にわたる攻撃におけるその直接利用を含む、イランの「攻撃的で危険な」政策を非難した。これらの攻撃は、サウジアラビアの民間人と主要な基幹施設に対して、また、オマーン周辺の国際海域における民間商船の海員やイラクとシリアにおける国際的な対ダーイシュ連合軍に対して行われた。

この会合では、地域の問題についても議論され、中東各地の武装民兵に対するイランの支援や同国の核開発計画と弾道ミサイル計画は、地域の安全と安定にとって明らかな脅威になることで意見が一致した。米国とGCC諸国はさらに、これらの脅威や、2015年11月3日の発足会合で採択された、地域の平和と安全に対するイランの従前型の脅威および非対称的脅威についてとりあげた付託条項にふくまれる他の課題について話し合うため、この部会の会合を引き続きもつことについても同意した。

米国とGCC諸国は、イランの核計画は非軍事目的には必要のない措置をとっており深刻な懸案事項であると、意見が一致した。高濃縮ウランや濃縮金属ウランの生産など、これらの措置は、核兵器計画にとってのみ重要であろう。米国とGCC諸国は、イランに対し、国際原子力機関に完全に協力し核活動に対する無制限のアクセスと効果的な査察を認めるよう呼びかけた。

米国とGCC加盟国は、数十年にわたりこの地域を動揺させているこのような過激化を続けるよりも、よい選択肢がイランにはあることを確認した。諸国はイランに対し、政策を転換し、地域をより安全で安定したものにするために貢献するよう促した。GCC加盟国は、米国、および他の協力国との抑止・防衛のための強固な協力に支えられた、対立を防ぎ、解決し、緩和するためイランと効果的な外交ルートを築くというその努力について概要を伝えた。彼らは、経済・文化面での交流の長い歴史にもとづき、地域における平和的な関係を促進するために発展してきた、地域外交におけるこれらの努力の展望について述べた。

イランの核計画は非軍事目的には必要のない措置をとっており、深刻な懸案事項であることで双方の意見が一致した。

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ

しかしながら、イランが核危機を引き起こし地域の緊張を高めることを続けるのであれば、これらの外交的な努力は成功しないであろう。GCC側は、イランと米国が共に包括的共同行動計画(JCPOA)の完全な遵守に復帰することによって、地域の経済関係の改善と、イランの核計画が平和目的に限定され湾岸地域には核兵器が存在しないままであることを確実にするより長期的で強力な合意との両方に向けて、より努力することが可能になると強調した。

最後に、双方はウィーンで行われるJCPOA交渉の第7ラウンドを歓迎し、この核合意の完全な遵守に相互に緊急復帰し、この地域の持続可能な安定と繁栄を確実にするために必要なすべての課題に取り組む包括的な外交上の努力への道を開くよう呼びかけた。

GCCと米国はイブラヒム・ライシ大統領政権に対し、対立と危機を防ぎ地域の安全と繁栄を増大させる基礎をつくりだすために正しい道を選ぶという、現在の外交的な機会を逃さずにつかむよう強く求めた。

GCCと米国はウィーンでの会談が成功するチャンスを与えることに同意したが、両者はこのような計画には多くの危険があることも自覚している。

第一に、一般的な融和の表明を除いては、イランの新政権は緊張緩和に乗り気であるという明らかな兆候をほとんど示していない。フーシ派はイエメンで大規模に活動しているし、イラクではイランと提携した民兵が活動を始め、またヒズボラはレバノンで支配力を強めこの国を完全な破綻に駆り立てている。

第二に、過去の北朝鮮の例のように、イランは軍事的な核能力の開発に向けてさらに段階を進めながら、JCPOA交渉をゆっくりと進めるのではないかという恐れがある。

第三に、イランは、2015年にJCPOAでおきたように、地域における有害な行動を激化させるのを隠すために、JCPOA交渉を利用する可能性もある。当時、交渉が行われているなか、合意に達しイランに対する査察を避けたいという6か国の願望をイランは利用した。

第四に、監視・査察体制を強化することなしに、イランがJCPOAに復帰することには意味がなかろう。イランがそれを完全に遵守することを確認する方法がないからである。

イランに関するGCC・米国作業部会はこのような危険性を認識し、イランの迫りくる脅威に対してGCCの防衛を強化する措置をとりつつ、JCPOA交渉の進捗を監視し続ける。同時に、GCCは対話と外交を通じ対立を緩和する努力を続けていくつもりである。

  • アブデル・アジーズ・アルウェイシグ博士は湾岸協力会議政治問題・交渉担当事務次長で、アラブニュースのコラムニスト。本記事で表明した見解は個人的なものであり、湾岸協力会議の見解を必ずしも代表するものではない。ツイッター: @abuhamad1
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