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再創造されたサウジアラビア未来像への心躍る道筋

Oxagonはサプライチェーンの経済的環境体系を提供する世界初の統合型港湾施設となる。(NEOM)
Oxagonはサプライチェーンの経済的環境体系を提供する世界初の統合型港湾施設となる。(NEOM)
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26 Nov 2021 03:11:51 GMT9

指導者が人民の動向を理解し、再創造された国の未来像に基づいた国家の宿命を計画しなおせば、偉大な事業が単なる想像から始まることも可能である。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子のそうした想像の結果であるサウジアラビアのビジョン2030が次から次へと壮大なプロジェクトを提案し、王国を未来型の旅へと導いている。その最新が海に浮かぶ六角形の産業複合施設「Oxagon(オクサゴン)」である。この施設は10年後までにNEOMにサプライチェーンの経済的環境体系を提供する世界初の統合型港湾施設となる見込みだ。

NEOM自体もサウジアラビアの北西部タブーク州の紅海沿岸において5,000億ドルの費用を掛けた未来型都市として建設されている。グリーンエネルギーである水素電力を利用するこの都市は、ロボットの家事手伝いや空飛ぶタクシー、人造の月など私たちが夢見ることしかできないようなポストモダンな都市生活体験を提供するものだ。

「The Line(ザ・ライン)」はNEOMの旗振りを担うプロジェクトである。紅海の海岸線と地域の山岳地帯および渓谷上部を結ぶ170kmにも及ぶ直線型都市であり、自動車・道路・炭素排出などが一切なく、住民100万人の輸送手段として中央を摩擦の無い超音速のハイパーループが走る。

Oxagonは世界的な生産業の観点を根本的に覆す試みだ。持続可能燃料、自律型の交通手段、革新的水資源、持続可能な食糧、健康医療、建設・技術の現代的手法、テレコム・宇宙開発技術・ロボット工学など、といった製品をスマート工場が提供する。

NEOMとその主要なプロジェクトは衛星通信・クラウドパーク・ハイパーデータセンターを駆使した「デジタルエア」において管理される。「紅海開発プロジェクト」と「AMAALA」という主要観光娯楽施設2ヶ所と組み合わさったこれらのプロジェクトはサウジアラビアを投資・商業・交通・観光・貿易の国際的中心地にしようというビジョン2030の戦略目標実現を目指すものと位置付けられている。

リヤド近郊の「Qiddiya(キッディーヤ)」北西部の「AlUla(アル・ウラー)」アシール地方の「Soudah(スーダー)など、サウジアラビアの伝統や自然の美しさを称えるその他多くの観光娯楽メガプロジェクトが同じ目標を基礎としている。主要各都市において複数線が並走する地下鉄やスマートな住宅複合施設・商業地区などインフラ整備でも野心的な開発事業が進められている。

イスラム世界の中心としてハッジ(大巡礼)・ウムラ(小巡礼)のために数百万人規模のイスラム教徒が毎年サウジアラビアを訪れるが、新たな領域を探訪しそこにレジャーを求める多諸国からの観光客を誘致するために、より開放的なビザ発給方針が2019年に導入された。ビジョン2030では2030年までに毎年のべ1億人の観光客を誘致することを目指しており、10月には「国家観光戦略(National Tourism Strategy)」が観光産業に1兆ドルの投資を計画していると発表した。

だがサウジアラビアは海外からの投資がさらに増加することも期待しており、2030年までに1,000億ドルの海外直接投資(FDI)を受け入れたいとしている。10月の未来投資イニシアティブフォーラムで発表された「国家投資戦略(National Investment Strategy)」によればビジョン2030の各プロジェクト履行のために計7兆ドルを費やすという。その資金は4,500億ドルの純資産を持つ公共投資ファンド(PIF)ならびにサウジアラムコや石油化学企業SABICなどの民間セクターによって賄われる。

海外直接投資の取得は容易でないが、行政規制体制の改善や特権化条件の厚遇によってその展望は明るくなっており、2021年第1四半期には400枚のFDIライセンスが発行された。2月に政府は国際企業に対して、2024年1月までに地域本部をサウジ国内に移転しなければサウジにおける政府契約を失う可能性がある、とする最後通告を突きつけた。この通告への反応は早く、ペプシコ・シーメンス・ユニリーバといった多国籍企業40社がリヤドへの地域本社移転を決定した。この傾向はおそらく今後さらに加速していくだろう。

西ヨーロッパに匹敵する国土面積を誇り、主要航海ルート上に位置する長い海岸線を2本持つサウジアラビアは他の湾岸諸国と比べると地理的に明らかに有利である。特に主要な産業前哨拠点としてNEOMならびにOxagonを持つ紅海沿岸の諸港からサウジアラビアは世界総貿易量の13%が通過する紅海の恩恵を得るのである。

人口統計の観点においてもサウジアラビアは他の湾岸諸国を凌駕する。総人口3,300万人の多数は若者であり、人口統計的に大きな利益を孕んでいる。石油に依存する同国経済の多角化と経済規模の2030年までの世界トップ15入りを目標に掲げるビジョン2030はこの潜在性の有効利用を目指している。特に中小企業経営の奨励や、この2年間ですでに20%から33%へと増した女性の労働力参加のさらなる増加による若者の失業率の大幅な改善が期待されている。は

これまでレンティア経済の保守的国家であった国で今起きている革新的な出来事は危機的状況にある世界の指導者にとって大きなレッスンとなるものだ。

イシュティアック・アハマド

スポーツや娯楽を求める若者に広大な社会空間を提供するなど、ビジョン2030の影響はつい最近までは想像すらできなかった形でサウジアラビアの一般人の日常においても感じることができる。現在同国の音楽コンサート会場は地域的な人気を集めており、12月初旬にジェッダで開催されるF1サウジアラビアGPでは世界的スターのパフォーマンスが予定されている。2018年にはわずか1軒しかなかった映画館は現在国内各地にある。女性の自動車運転が解禁されてからわずか2年で女性ドライバーが主要レースで優勝したことも驚きに値しない。

これまでレンティア経済の保守的国家であった国で今起きている革新的な出来事は危機的状況にある世界の指導者にとって大きなレッスンとなるものだ。国家の宿命とは最終的に国民の希望に基づくものであり、歴史を感じながら未来へのビジョンを描くことのできる指導者のみが大衆の希望を判断しそれを実現する意志と能力を持つのである。これは将来的な国家の進展とその対外的表現に向けた無限の可能性を自然と切り開くための必須条件である。

  • イシュティアック・アハマド氏は元ジャーナリストで、その後パキスタンのサルゴダ大学副学長とオックスフォード大学クエイド・イ・アザーム特別研究員を務めた。
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