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サウジアラビアの重要な地域的役割を悟るまで、バイデン大統領は1年を要した

2021年7月9日、米国メリーランド州のアンドルーズ空軍基地でエアフォースワンに搭乗する際にメディアに手を振るジョー・バイデン米大統領。(ロイター)
2021年7月9日、米国メリーランド州のアンドルーズ空軍基地でエアフォースワンに搭乗する際にメディアに手を振るジョー・バイデン米大統領。(ロイター)
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14 Feb 2022 08:02:50 GMT9
14 Feb 2022 08:02:50 GMT9

両国が非公式に距離を置き、その関係の停滞が続くなか、米国のジョー・バイデン大統領は躊躇することなくサウジアラビアのサルマン国王と電話会談を持ち、現在米国が直面し、増大し続けている難題への救いの手を米政権に差し伸べるよう求めた。バイデン大統領は、9か月足らずのうちに行われる中間選挙で民主党が共和党に敗れて上院と下院の議席を失い、その結果、2024年に政権を失う原因となるかもしれない国内外の危機に直面している。

今回の電話会談は、バイデン大統領就任後の2021年2月以来、米国大統領とサウジアラビア国王との間で行われた2度目の電話会談であった。これは、歴史的に米国と親しい同盟国の1つとの関係において、バイデン大統領のアプローチが大きく前向きに変わったことを表している。

ホワイトハウスが発表した声明によると、両首脳は、地域の開発、サウジアラビアの民間人を標的にしたイラン主導のフーシ派による攻撃、世界的に必要とされるエネルギーの安定供給など、さまざまな問題について話し合った。

「大統領は、これらの攻撃から国民と領土を守るためにサウジアラビアを支援するとともに、イエメンでの戦争を終わらせるための国連主導の取り組みを全力でサポートするという米国のコミットメントを強調した」と、この声明には書かれていた。また、サルマン国王は、イランの核開発計画に関する制約の再確立を目的とした、現在進行中の多国間協議についての説明を受けたと付け加えられていた。

サウジアラビアへの武器の販売をやめるよう呼びかけ続けた民主党進歩派に押されて、バイデン大統領の当初の外交政策決定は、サウジ主導の「イエメンにおける正当性を支持する連合軍」に対する米国の支援を終了し、フーシ派のテロ組織指定をやめることであった。

イスラム教世界のリーダーとしてのサウジアラビアの重要な地域的役割、その国際的影響力の重要性、世界的な燃料不足に対するバイデン大統領にとっての最善の解決策を悟るのに、バイデン政権は1年を要した。

ワシントンのリヤドに対する姿勢は変化している。サウジアラビア南部、イエメンと王国との国境近くにあるアブハーの空港に対するフーシ派の無人機攻撃を受け、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当補佐官は、サウジアラビアや世界のパートナー諸国と協力して、親イランのフーシ派テロリストグループに責任を負わせるという米国の動きを強調した。

「昨日、大統領がサルマン国王に語ったように、米国はこれらの攻撃からサウジアラビアの国民と領土を守るために、同国を支援することを約束する。米国はこの地域の友人たちの後ろ盾になるだろう」とサリバン補佐官は語った。

イスラム教世界のリーダーとしてのサウジアラビアの重要な地域的役割、その国際的影響力の重要性、世界的な燃料不足に対するバイデン大統領にとっての最善の解決策を悟るのに、バイデン政権は1年を要した。

ダリア・アル・アキディ

 一方、米国国務省のネッド・プライス報道官は、ワシントンは民間人と地域の安定を脅かす軍事攻撃に関与したフーシ派指導者と組織を容赦なく名指しするだろうと記者団に強調した。

今回、ホワイトハウスはこれまでとは違って、自国の利益を守り、中東においてイランが支援する民兵の影響力を弱体化させるために、正しい外交政策を呼びかけた。

プーチン大統領がウクライナへの侵攻を決定した場合、OPEC石油生産国グループで最大の原油輸出国であるサウジは、より多くの原油を汲み上げることで不安定な石油市場を救済することができる唯一の国である。ホワイトハウスは、両首脳が世界のエネルギー供給の安定を確保する上での米国とサウジアラビアのコミットメントを繰り返し述べたことを強調した。

一方、イラン核合意の復活を目指した取り組みをよそに、テヘラン政権が強硬な態度であることをワシントンは認めている。ゆえに、どちらの政党が政権を握っても、米国はイスラエルを含むこの地域の主要な同盟国の安全と利益を危機にさらすことはできず、またそうさせないであろう。

このような大きな影響が及ぶ対立は、サウジアラビア王国のように、地域的支援を結集できる根本的に影響力のある国なくして上手く乗り切れない。

2月3日、米国国防安全保障協力局は声明の中で、国務省が推定2,370万ドルでサウジアラビアへの多機能情報伝達システム (MIDS-LVT) の対外有償軍事援助の案件を承認したことを発表した。

声明には、「今回提案された有償軍事援助では、不安定な状況をもたらすテロの影響からサウジアラビアと周辺地域を守り、イランの影響やその他の脅威に対抗するために必要な装備、訓練、その後の支援がサウジアラビア軍に提供される」と書かれ、この契約は、中東の政治的安定と経済成長に不可欠な勢力であり続ける友好国の安全を向上することにより、米国の外交政策と国家安全保障の目的の助けとなるであろうと述べられていた。

民主党が他国を支持してリヤドとワシントンの間のギャップを広げようと試みるなか、サウジアラビアの政治的、軍事的、安全保障上の重要性ゆえに、バイデン大統領は自国と主要同盟国の利益を守るために、党から一歩離れることが避けられない。

ホワイトハウスがどんなに外交政策を変えて中東から離れようとしても、米国が自由世界のリーダーとしての地位を放棄したくないのであれば、強力な連合を構築する緊急の地域的必要性は存在し続ける。

  • ダリア・アル・アキディ氏は安全保障政策センターのシニアフェローである。ツイッター:@DaliaAlAqidi
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