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アメリカは顔をしかめるのではなく、サウジアラビアとともに笑うべき

2022年4月14日、ジョー・バイデン米大統領。(AFP)
2022年4月14日、ジョー・バイデン米大統領。(AFP)
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16 Apr 2022 09:04:45 GMT9

今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、我々は多くの教訓を得た。中でも最も重要なのは、命は尊いものだということだ。一瞬一瞬を大切にすべきであり、無為に過ごしてはならない。また、人間はもろいと決めつけてはいけないということも学んだ。人類は逆境を乗り越え、創意工夫を凝らし、襲いかかる脅威と戦うことができるのだ。

サウジアラビアの指導者たちはパンデミックの間、まさにそれを実行した。だから今、私たちは誇りと喜びを持って、「ポスト・コロナの時代を迎えた」と言えるのである。これは、指導者、政府関係者、医療スタッフ、学者、ビジネス・コミュニティ、警察官、そして何より、自らを律して与えられた医学的アドバイスに従い、守り通した市民の努力のたまものだ。一人ひとりに拍手を送りたい。

今このポスト・コロナ時代には多くの課題があるが、私は、ジョー・バイデン大統領をバカにしたサウジアラビアのテレビ番組におけるスケッチ・コメディーに対する、米国メディアの喚きっぷりを面白おかしく見ている。コメンテーターや専門家は、「侮辱的だ」、「サウジアラビアが米国の仲間でないことを物語っている」、「ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドル アジーズ・アール・サウード皇太子殿下がバイデン大統領に面会を拒否されたことと、カショジ氏殺害に関するCIA文書の公開についての仕返しだ」「米国民への侮辱だ」などと憤慨しているが、本当に驚くべき反応である。

こうした反応は、米国メディアの気難しさを表している。我々の指導者、国民、信仰をどのように扱ってきたかを棚に上げてだ。コメディ、ドラマ、冒険、ファンタジー小説におけるアラブ人やイスラム教徒の描写は、侮辱や誹謗中傷にとどまらない。その風刺画的描写は、反ユダヤ主義的な題材におけるユダヤ人の描かれ方を彷彿とさせる。アラブ系ムスリムのキャラクターは通常、嘲笑と嫌悪を誘う。邪悪な笑みを浮かべ、腰には短剣を差し、手入れされていない白いローブ、もじゃもじゃの髭で、鋭い目の周りには暗い影がある。

そばにはたいてい油井があり、足元にはハーレムの娘たちがいて、後ろにはラクダが1、2頭いる。数年前アメリカの人気テレビシリーズで、アメリカの女性国務長官がサウジの人権侵害について、サウジの外務大臣とおぼしき人物を脅して自分の主張を受け入れさせるエピソードがあったが、この「サウジの大臣」はまさにのような描かれ方をしていた。1920年代から今日までのハリウッド映画はどれも同じようなものだ。米国のコメディ番組におけるサウジアラビアとその指導者に対する誹謗中傷は、サタデー・ナイト・ライブからスティーブン・コルベアのようなコメディアンによるものまで、数え切れないほどある。

アメリカの政治家は、あらゆる政治的説得力をもってサウジアラビアを標的にし、批判し、貶める。

トゥルキ・アル・ファイサル王子

原油生産の問題については、多くの米国人コメンテーターが、「サウジアラビアの原油増産拒否は、バイデン大統領がインフレで頭を悩ませている時に、サウジアラビアがそれを米国に対する武器として使っている確固たる証拠だ」と主張している。この手のコメンテーターは、原油価格の上昇に拍車をかけているのは、ロシアのウクライナ侵攻、欧米による対ロシア制裁、そしてバイデン大統領自身のエネルギー政策であることに触れようとしないのである。

その他、いわゆる専門家や政治家によるサウジアラビアと皇太子に関する最近のアメリカのコメントは、意図的に否定的なものとなっている。ある学者は皇太子を、ギリシャ神話に登場する鳥の羽と蝋でできた翼で太陽へと飛び立ち、近づきすぎたために死んでしまったイカロスになぞらえた。この「専門家」が皇太子の実際の言動を冷静に見ていれば、このような誤解を招く例えを使うことはなかっただろう。同様に、アトランティック誌の皇太子に関するエッセイの著者も、皇太子の発言を誤って伝えている。幸いなことに、インタビューの全文が公開されたことで、記録は訂正された。

アメリカの政治家は、あらゆる政治的説得力をもってサウジアラビアを標的にし、批判し、貶め、さらにはサウジアラビアへの対応にあめとムチを使うよう呼びかける。私は彼らに「私たちは小学生ではないのだからそういった懲罰や報酬は効果がない」と言っている。米国との友情は、「中東に平和を見出し、テロと闘い、イランの脅威と我々両国に対する敵意を表明したイランに立ち向かう」という共通の関心から生じている。にもかかわらずバイデン大統領は執拗に核合意を求めている。それはイランの核開発を阻止する上で一時的なものに過ぎないだけでなく、イランによるアラブ諸国での絶え間ない破壊活動や、サウジアラビアを標的としたイランからのミサイルや無人攻撃機の発射を促進することになる。

また我々は、サウジアラビアでのビジネス交流や開発プロジェクトによる相互利益を享受している。この関係は長年にわたって発展してきており、今後も発展し続けるだろう。何千人ものアメリカ人コミュニティがサウジアラビアに存在し続け、何千人ものサウジアラビア人学生が米国の大学に在籍しており、私たちは人間的なつながりを築いているのである。

全体として、アメリカのメディアや専門家と呼ばれる人たちに言いたい。ユーモアを笑ってほしい。長い間、私たちはアメリカのメディアや政治家たちからのからかいに耐えてきた。我々のユーモア溢れるからかいに耐えることは、当然のことなのだ。お互いにしかめっ面をするのではなく、ともに笑おう。

  • トゥルキ・アル・ファイサル王子は、サウジアラビアの主要外国情報機関である総合情報部(GID)で、1977年から2001年にかけて長官を務めた。2002年から2005年7月まで在英国サウジアラビア大使、その後2007年まで在米国サウジアラビア大使を務める。ファイサル国王財団の創設者兼理事、ファイサル王リサーチ・アンド・イスラム研究所(KFCRIS)の会長を務めている。
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