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イラン 遠からず再び大規模な民衆蜂起の可能性

2022年5月17日、イランの首都テヘランで、パンが入った袋を持ちながら通りを歩くイラン人男性。(ロイター)
2022年5月17日、イランの首都テヘランで、パンが入った袋を持ちながら通りを歩くイラン人男性。(ロイター)
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20 May 2022 07:05:53 GMT9
Majid Rafizadeh
20 May 2022 07:05:53 GMT9

イラン国民の聖職者体制に対する不満は頂点に達し、政権の支配が危うくなる可能性がある。イランの支配的な聖職者に対する真の脅威は、海外ではなく、国内からやってくるのだ。

イランのイブラヒム・ライシ大統領はその選挙期間中、前大統領のハサン・ロウハーニー政権とは違い、自身の政権が、“恵まれない人々の支援”、“絶対的貧困の解消”、そして“100万戸の住宅建設”に強い力を発揮すると大胆な公約を掲げていた。しかし、就任1年足らずの今、彼の政権のもとで生活費は高騰している。

第一の問題は、経済と関連している。最近、政権は輸入小麦の補助金を削減し、その結果パンなど小麦粉を使った食品は3倍もの値上がりに見舞われることになった。このため、全国の多くの都市で「ライシに死を」「ハメネイに死を」といった抗議やチャント(詠唱)が巻き起こっている。

インフレ率は50%以上に達し、これは世界でも高い部類に入る。人口の半分を超える4100万人以上のイラン人が貧困線以下で生活している。インフレ率の高い国として、ベネズエラ、ジンバブエ、南スーダン、アルゼンチンに次いで、イランは世界ランキング5位に位置している。

食料品や日用品の価格が年間200〜300%上昇している一方、労働者の賃金はほとんど変わらないという事実が大きな問題のひとつである。首都テヘランに住むイラン人の母親で教師のナスタラン氏は、こう説明する。「私の給料は月に300万トマン(約100ドル)ですが、政府は最近パン1個の値段を1万トマン(約36セント)にしました。私と子どもたちは1日に5個のパンを消費するので、給料の半分がパン代に消えてしまうことになります。家賃や食費、子どもたちの学費、医療費、電気、ガス、水道代はどうするのでしょうか?どの大統領も状況を改善すると約束しましたが、状況は悪化の一途をたどっています」

イランの国営ニュースでさえ、経済危機や民衆蜂起の可能性を警告し、最高指導者(アヤトラ)アリ・ハメネイ師の後継者となりうる聖職者とされるライシ大統領を批判しているのである。例えば、半国営のイラン労働通信(ILNA)は最近こう書いている。「2カ月足らずの間に、物価高は勤労者世帯の食品ストックを著しく空っぽにした。最低賃金は今年57%引き上げられたが、食料品の平均値上げ率は200%以上である。つまり、『労働者の実質賃金』は150%減少したことになる」

疑いもなく、政権は常に、デモを前にして武力で対応するという、彼らが好む手口に頼る。最後に広範な民衆蜂起が起きたのは2019年で、イスラム革命防衛隊(IRGC)が出動し、約1500人が殺害された。実際、2019年11月の蜂起に関連して、IRGCの隊員がこう認めている。「私はテヘランにいる革命防衛隊の幹部である。私はこの法廷で証言することを志願した。私は大量の逮捕と尋問を目撃し…………そして残念ながら、私もそれに参加した。軍隊は自由に発砲し、逮捕し、尋問し、容疑者が逃げ込んだかもしれない家に入ることができると命令を受けた。検察庁の令状も必要なく、車両を没収し、破壊し、デモを鎮圧するためにできることは何でもやれと言われたのだ」

食料品や日用品の価格が年間200〜300%上昇している一方、労働者の賃金はほとんど変わらないという事実が大きな問題のひとつである。

マジッド・ラフィザデ博士

イラン国民の財政問題は、主に次のような要因から生じていることを指摘することが重要であろう。政府の非効率な財政・金融政策、富の再分配に消極的な指導部、経済の失政、テロや民兵組織への支出による国富の流出、役人の汚職、強固な民間市場の欠如、貧困層を増やす国家管理経済である。国家による経済の独占は、ほとんどすべての分野に当てはまる。イランの経済システムに関して言えば、最高指導者とIRGCは、金融機関や銀行、運輸、自動車製造、鉱業、商業、石油・ガス部門など、ほぼすべての産業で大きな支配力と株式を保有している。

しかし、イラン国民の、政権に対する不満の政治的性格を無視してはならない。人々は、支配者である聖職者たちの権威主義、専制主義、自由の抑圧に強く反対している。

実際、国内ではイラン政権に対して変革の風がしっかりと吹いている。イラン国民の圧倒的多数が、経済的、政治的観点から聖職者の体制にうんざりしているという事実に、イスラム共和国は警戒すべきなのである。ある時点で、たとえIRGCとその準軍事組織であるバシジ(Basij)がいかに強力であろうとも、武力で全員を制圧することはできなくなるであろう。

  • マジッド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学で学んだイラン系アメリカ人の政治学者である。ツイッター : @Dr_Rafizadeh

 

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