
サウジアラビア王国とエジプト・アラブ共和国は、紅海によって隔てられているのではなく、むしろ結ばれている隣国である。
この地理的な近さと親密な兄弟関係によって、両国間の最初の外交接触、すなわち新しく統一されたサウジアラビアの指導者による古代の地エジプトへの歴史的訪問が実現したのである。
1945年、サウジアラビア王国の統一という大きな任務を達成したアブドルアジーズ国王が、サウジアラビアの外交政策の形成に目を向け、初めての海外訪問先に選んだのがエジプトであった。
1945年2月、アブドルアジーズ国王はジェッダで米国の軍艦に乗り込み、紅海を北上し、スエズ運河に沿って1,200キロの航海を経て、歴史との出会いを果たした。
彼はそこで当時の米国大統領フランクリン・D・ルーズベルト氏と会談し、以来数十年にわたって維持され繁栄してきた東西関係の基盤を築いたのである。
アブドルアジーズ国王はエジプト滞在中に、戦時中の英国の指導者ウィンストン・チャーチル氏とも会談した。チャーチル氏はルーズベルト氏と同様に、新しく急成長しているサウジアラビアを自国の友人とし、同盟国とすることを強く希望していた。
しかしこの外遊でもっとも注目されたのは、アブドルアジーズ国王がサウジアラビアを統一して以来初めて、外国の要人であるファールーク国王と会談したことであった。
アブドルアジーズ国王のエジプト訪問と会談は、エジプト、米国、英国という主要3ヶ国間に基盤を築いた。当時、この3ヶ国は大きな役割を担っていたが、その後も成長を続け、世界中の国際社会を巻き込みながら拡大してきた。
その後数十年にわたって、アブドルアジーズ国王とファールーク国王が紡いだ兄弟愛と友情の黄金の糸は、サウジアラビアの国王とエジプトの指導者の世代から世代へと引き継がれた。彼らは両国間の関係を発展、拡大、強化しようと努め、両国は今日さまざまな分野で協力関係がみられる。
両国の関係の歴史には、当時、両国にとって大きな課題とみなされていた重大な出来事もあった。しかし、このような地域的かつ国際的な課題は常に、互いに大きな政治的意思を持って取り組まれてきた。
両国は常に、その地域のすべての国の平和、安全、安定のために、そして、平和、安全、繁栄に向けて相互に統一されたビジョンのもと国際的な要請に応えているアラブ・イスラム諸国のために、共に取り組んできた。
両国間の関係は常に、その初期の頃から、サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下、そしてエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領の時代にいたるまで、両国の指導者間の長い友情の中で、公式と草の根の両レベルにおいて著しい発展と安定した成長を特徴としてきた。
我々の時代では、交流訪問、首脳会談、会合、協力協定によって築かれた、両国間の戦略的パートナーシップという前例のないレベルまで関係が発展しているのを目の当たりにしている。
政治、経済、商業、文化、教育分野のあらゆる側面を包括する両国の関係は、アラブの共同実務関係の成功例として他に類を見ないものである。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が月曜日にカイロを訪問し、アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談したことは、戦略的協力と協議の途切れることのない道のりの延長線上にある。
皇太子殿下は両国の関係について次のように述べた。「サウジアラビアとエジプトの関係は、歴史を通じて強固で、しっかりと確立され、深く根付いています。それはいかなる変動要因にも影響されない安定した関係です。歴史を通して、エジプトとサウジアラビアは常に、いかなる状況においても、いかなる時においても、共に歩んできました。このことは決して変わっていません」
「エジプト政府がサウジアラビアに否定的な態度をとったことはなく、サウジアラビアがエジプトに否定的な態度をとったことも一度もありません。サウジアラビアとエジプトは、お互いを支持することをためらったことは一度もありません」
サウジアラビアとエジプトの関係を観察していると、首脳会談において、従来の政治的および外交的な関係を超えた独特の友好的で兄弟的な側面、つまり文化や文明のルーツに基づく親密さと、親族関係であることが、両国民を結びつけていることが感じられる。
それこそが両国の関係を築いた礎であり、何世代にもわたって続いてきたものであり、今後も続いていくものである。
両首脳の最初の国賓訪問は2016年であり、サルマン国王がカイロでアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談した。
それはいくつかの理由から歴史的な会談となった。まず、両首脳は、この地域が未曾有の混乱期に直面し、その平和と安全を脅かす不安定な状況にあった時期に、短期間のうちにそれぞれの職責を負うことになった。2014年6月にエルシーシ氏が大統領に就任し、2015年1月にサルマン国王が即位したのである。
2016年のサルマン国王のエジプト訪問は、多くの意味で両国関係のパラダイムシフトを示すものであった。すなわち、両国関係のギアチェンジであり、根強い民衆の政治的意思に後押しされ、両国間の協力と投資の成長を加速させた。
その際、国王の訪問中に両国間で17件以上の協定、覚書、議定書が締結され、協定の総数が70件に増えた。その結果、両国はそれぞれの2030年ビジョンに基づいてそれぞれ発展していることを考慮して、両国の関係を、すべての分野を含むようにあらゆる協力関係を網羅した戦略的な関係にレベルアップさせた。
その訪問に続いて、サウジアラビアからもうひとつ主要な訪問があった。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が、皇太子としての初めての公式訪問の一環として、エジプトでアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談したのである。皇太子殿下は最初の訪問地としてカイロを訪れ、そして英国と米国も訪れた。
両国は、皇太子殿下の密接な関与のもと、地域の安全と安定の実現に努めてきた。そして、両国の先人たちが築いてきた友情と協力の深い根は、並外れたレベルにまで達している。
今週の訪問は、両国の兄弟愛の旅のもう一つの中継点である。この地域の政治的安定を維持するために舞台裏で常に努力し続けられてきた両国の、いわば外交的祝賀である。
いろいろな意味で、サウジアラビアとエジプトは一つの国、一つの国民であり、兄弟愛、友情、愛情、そして婚姻の絆で結ばれている。皇太子殿下の訪問は、年月を経てますます強まる絆をより強固にし、祝福するものである。