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ソレイマニの後:次に起こる可能性のある3つのシナリオ

 イラン革命防衛隊(IRGC)少将でコッズ部隊の司令官カセム・ソレイマニ。テヘランのイラン指導者事務局のメンバーとのインタビューでトレードマークの指輪を身に着けている。 (AFP)
イラン革命防衛隊(IRGC)少将でコッズ部隊の司令官カセム・ソレイマニ。テヘランのイラン指導者事務局のメンバーとのインタビューでトレードマークの指輪を身に着けている。 (AFP)
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05 Jan 2020 09:01:40 GMT9

イラクにおいて米国とイランの攻撃が相互に激化した後、最も深刻な打撃は、3日の早朝、カセム・ソレイマニを殺害した米国の無人機による攻撃だった。

攻撃に至るまでの数日間、互いの報復的な攻撃は刻々と増大していた。イランの民兵が軍事基地へのロケット攻撃で米国の請負業者を殺害した。米国は民兵基地での空爆で反撃し、少なくとも25人を殺害した。その後、抗議者たちがバグダッドの米国大使館を襲撃し、ソレイマニ自身が攻撃を組織したと豪語する落書きを壁に残した。

「イランは、私たちの施設において失われた命、または被った損害について全責任を負うことになります」と、米国のドナルド・トランプ大統領は警告した。 アヤトラレイ・アリ・ハメネイは大統領を公にあざけり、「あなたには何もできない」と答えた。3日の無人機攻撃は、ハメネイがいかに間違っているかを証明した。 

テヘランでの最初の反応はショックで、すぐに盲目的な怒りが続き、ワシントンに対する報復の脅威が続いた。 

イラクでは、ソレイマニを殺害した無人機攻撃は、イラクの領土保全の重大な妨害であり、領有権の侵害であると宣言する向きもあったが、その議論は米国国務長官マイク・ポンペオによって迅速に打破された。米国の作戦は、イラクにおける米国の利益に対して計画されたイランのテロ攻撃を阻止するための先制攻撃であり、米国軍の駐留はイラク政府の招待によるものだと指摘した。カセム・ソレイマニとイスラム革命防衛隊の他の指導者たちは、レバノンのヒズボラの現地組織(すべてテロリストに指定されている)と一緒に、政府の認識なしに、しかしイランに忠実な民兵の助けを借りてイラクに入った。したがって、イラクの領収権を侵害しているのは米国ではなく、ソレイマニたちであるとポンペオは述べた。

現在最も緊急の問題は、イランと米国間での緊張の高まりにおいて今後可能性のあるシナリオについてである。第一に、それはテヘランの危機判断、可能な選択肢、またイランが直面している国内の政治的および経済的危機に照らして国が保有する能力に大きく依存している。イランの報復の脅迫がもし本気であるならば、この地域での米国の存在を標的とする大規模なイランの反撃があることだろう。少なくとも、湾岸の軍事基地、バーレーンの第5艦隊やイラクの米軍基地などだ。このオプションは、非常に考えにくいことであるが、米国の反応を引き起こし、結果としてイラン政権の軍事能力とインフラが完全に破壊される可能性がある。 

理論的な予測はさておき、ソレイマニ後の時代はこれまでとは大きく異なることは明らかだ。ソレイマニの拡張主義的な地域プロジェクトのバックボーンとしての役割と、すべての海外における作戦の首謀者および主要な立役者としての役割を考えると、このような腕のある戦略家の喪失はイラン政権にとって大きな痛手であるだろう。 

モハメッド・アル・スラミ博士

2番目のシナリオは、テヘランの政権が以前の戦略を継続し、非対称戦争に基づいて地域の米国同盟国の利益に対して計算された打撃を与えるというものだ。しかしこのオプションは、イランの指導者とその支持者たちによって不十分と見なされる可能性がある。なぜならそれではイランとその代理人が被った損失を補償できないためだ。政権がこのオプションを進めることを決定した場合、比較的小規模な作戦で構成され、おそらくイランの宣伝組織とその支持者たちが、国内および海外で政権の顔を立てるためにそれらを誇張することだろう。 

考えられる3番目のシナリオは、イラン政権が米国の作戦に対処するのに時間をかけ、適切な時と場所が来るまで対応を留保することだ。これは、イスラエルがシリアとレバノンの軍隊、代理民兵や基地を標的にしたときと同様である。 

これによりイラン政権は、カセム・ソレイマニの殺害に対する報復の一環として米軍高官を標的とする適切な機会をつかむまでじっくり待つことができる。つまりイランは、自国の損失を増加させ、国内的に、また地域的にも代理組織の中で地位を損なう可能性のある対立の激化を回避しようとするだろう。この行動方針を追求することは、テヘランにその方針を逆転させる可能性もある。民兵を守ることができないことを恐れ、シリア、イエメン、および地域内のその他の紛争地帯の代理軍の保護の傘を外すかもしれない。 

理論的な予測はさておき、ソレイマニ後の時代はこれまでとは大きく異なることは明らかだ。 ソレイマニの拡張主義的な地域プロジェクトのバックボーンとしての役割と、すべての海外における作戦の首謀者および主要な立役者としての役割を考えると、このような腕のある戦略家の喪失はイラン政権にとって大きな痛手であるだろう。ソレイマニはまた、イランの代理民兵組織の設立を個人的に監督し、民兵の募集、訓練、資金調達を組織し、シリアの独裁者バシャール・アサドを支援する活動も監督した。

ソレイマニの後継者として副司令官イスマイル・カーニをコッズ部隊の隊長として選出したのは、政権側の戦術的な動きではなく、単に階層的な軍事的昇進である。カーニは、シリア、イラク、レバノンの戦線でソレイマーニの戦力に匹敵するほどの軍事的功績の顕著な記録がなく、前任者の豊富な経験も欠いている。 

したがって、ソレイマニの下で地域における猛威、虐殺、破壊の暴動がピークに達した後、コッズ部隊は今や衰退する可能性が高いようだ。イランの指導者たちが国内外で自国の正当性を主張するために何を言おうと、それはイラン政権の地域拡大主義プロジェクトの将来に悪影響を与えかねない崩壊である。

  • モハメド・アル・スラミ博士はイラン国際研究所(Rasanah)の所長である。ツイッター: @mohalsulami
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