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サウジ・米国関係は一度リセットして新しい道を目指すべき

7月15日、ジェッダでジョー・バイデン米大統領を歓待するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(写真提供:サウジアラビア王室)
7月15日、ジェッダでジョー・バイデン米大統領を歓待するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(写真提供:サウジアラビア王室)
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13 Aug 2022 10:08:03 GMT9

サウジアラビアと米国の関係は、原油価格の高騰、多くの国の食糧安全保障上の懸念を悪化させたロシア・ウクライナ戦争、イエメン、シリア、レバノン、イラク、イランなどにおける動乱など、今も継続する危機によって揺れ動いてきた。こうした不安定要素への懸念から、また持続可能な開発の促進に向けて経済、社会、環境問題に取り組むため、米国は、バイデン大統領がサウジアラビアを訪問したのに続き、同国との関係を強化する姿勢を見せている。

サウジアラビアと米国の外交関係は 1933 年に始まっており、約80 年前の、サウジアラビアの建国者であるアブドルアジーズ国王とルーズベルト米大統領の会談は、第二次世界大戦後の中東の基礎を築くものだった。

安全保障のための石油、という神話はもはや過去のものだ。私たちは持続可能性に焦点を当て、サウジアラビアと米国、両国の国民、そしてより広い世界に平和と繁栄をもたらさなければならない。

サウジアラビアの発展により、米国との関係は、食糧安全保障、エネルギー、安定、地域の成長をめぐるパートナーシップを形作り、平和と繁栄をもたらすことができるものとなっている。この重要な同盟関係の次の80年のかたちを改めて定義することが不可欠な所以である。

バイデン大統領のサウジアラビア訪問時に出された両国の関係に関する共同声明、「ジェッダ・コミュニケ」は、サウジと米国のパートナーシップが地域の安定と繁栄を促進する上で歴史的に極めて重要な役割を担ってきたことを強調した。サウジアラビアと米国のパートナーシップは、何十年もの間地域の安全保障の礎となっており、両国がより広い世界とつながりを保った、より安全で安定し繁栄した地域というビジョンを共有していることを実証してきた。

サウジアラビアと米国の関係は、また、食糧およびエネルギーの安全保障および気候変動に関する協力の重要性を確認するものでもある。特に現在のウクライナ危機とその影響に鑑み、戦略的経済協力と投資の重要性を明確に示し、安定した世界的エネルギー市場へのコミットメントを再確認している。米国は、サウジアラビアが持続的な経済成長のために世界の石油市場のバランス維持を支持することを歓迎している。

それほど肯定的ではない面としては、サウジアラビアは長年にわたり、気候変動への責任を米国から指摘されてきた。また、「テロ支援者制裁法」、「石油生産輸出カルテル禁止法」も忘れてはならない。

米政権は、世界的な権力への道が再び中東へとつながっていることを理解している

トゥルキ・ファイサル・アル・ラシード

米国がイラクを占領していた2010年に出版した拙著『マ・カトブ』(“Ma Katb”)の中で、私は、米国はイラクから敗走し、何年にもわたる経済不況を経験することになるだろうと書いた。短期間のうちに、米国はイラク占領がもたらす結果を理解し、自制心を取り戻そうとするだろうと。政治においても、自然界と同様に、真空地帯は存在せず、他の強力な国々が真空地帯を埋めようとするはずだと。

今、米政権は、世界的な権力への道が再び中東へとつながっていることを理解している。サウジアラビアは、権力をめぐるゲームにおいて極めて重要な役割を担っている。アメリカがこの地域から徐々に撤退したことで、中国は湾岸諸国の最大の貿易相手国になり、ロシアはシリアとリビアで重要な役目を果たすようになった。現在、イランはイラク、レバノン、シリア、イエメン北部で広範な影響力を持っている。

現在、湾岸諸国全般、特にサウジアラビアは独立性を高めており、アラブ諸国は大国の援助にこだわらずに行動する意思と能力がある。さらに、中東は内部的には複数の地域大国によって特徴づけられており、アラブ世界のパワーは従来の中心地であるレバント(東部地中海沿岸地方)やエジプトから湾岸に移行し、トルコ、イスラエル、イランといった非アラブ諸国も関与を強めている。

アラブ世界は、米国には中東で支配的な力を発揮するための国力も政治能力もないと考えている。アラブの地域勢力は、米国が自分たちを守るために軍事的に行動することができるとも、そうするとももはや思っていないのだ。

このことは、「米国とサウジアラビアの関係をリセットする-石油と軍事を超えて農業、食糧、教育、社会関連における協力を確立するために」と題されたアリゾナ大学の特別パネルディスカッションを思い起こさせる。このイベントは、奇しくも米大統領選でドナルド・トランプ氏の当選が発表された2016年11月9日に開催された。

このパネルディスカッションでは、世界全体の利益のために石油や軍需品の購入にとどまらず持続可能性に重点を置き、サウジアラビアと米国の関係をリセットしていくことの重要性が強調された。米国と特にサウジアラビア、そしてアラブ世界全体が協力を拡大することは、国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために不可欠なのだ。

安全保障のための石油、という神話は過去のものであることは、繰り返し語られている。サウジアラビアと米国の関係をリセットした後に進むべき道は、世界全体の利益のために、食糧安全保障、エネルギー安全保障、環境・経済・社会問題に力を注ぐことなのだ。

サウジアラビアと米国の関係は、多くの深刻な困難を乗り越えてきており、両国の良好な関係は世界の安定に不可欠な要素となっている。この良好な関係は当たり前に存在するものではない。常に手をかけて育てていかなければならず、さもなければ失われてしまうものなのだ。

  • トゥルキ・ファイサル・アル・ラシード博士は、アリゾナ大学農学生命科学部農業生命システム工学科の非常勤教授。著書に『パブリック・ガバナンスと戦略的経営能力 湾岸諸国におけるパブリック・ガバナンス』(“Public Governance and Strategic Management Capabilities: Public Governance in the Gulf States”) “がある。
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