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これから何年も続く新型コロナウィルス感染症によるメンタルヘルスへの影響

24 Jul 2020
デモ参加者は、新型コロナウィルス感染症の拡大と戦うために、州および地方の政府によって課された制限措置の解除を要求。2020年5月30日、ボストン(ロイター)
デモ参加者は、新型コロナウィルス感染症の拡大と戦うために、州および地方の政府によって課された制限措置の解除を要求。2020年5月30日、ボストン(ロイター)
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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の蔓延による、明白かつ現在の危険が、世界中の多くの国でまだ多くの打撃を与えている最中であることに異論は無いであろう。これまで感染症の蔓延への対応に失敗した国では、メンタル・ウェルネスの問題がより顕著になってきている。

一部の国の学校やその他機関では、ようやく今頃になって、年末までの閉鎖を公表しているが、数ヵ月前には公表し、行動に移しておくべきだった事項である。科学的証拠により、1月と2月に病原菌への対抗策に欠けたことが、米国に感染症を封じ込めて、影響を和らげる機会を逃すことにつながった。それが今日の多くの犠牲につながっていることが証明されている。新型コロナウィルス感染症が魔法のように消え去るとか、ある種のデマだという幻想的な作り話のような言い訳は、全く通用しない。米国の歴史におけるこのエピソードは愚かにもつかない事柄の一つである。戦争、飢饉、その他の暴力行為が非常に破壊的な方法で日常生活に影響を与える世界中の他の場所のように、米国人はこれまで滅多に本当の大惨事や危機を経験していない。その結果、米国では、「カレンとケン(クレーマーの総称)」のような、現実のトラウマと暴力の全体像を理解しない人々が跋扈する。

そうした地政学上の問題と病気そのものの2局面の害毒から引き起こされる不安に対処する必要がある現状は、本当に異常な環境である。新型コロナウィルス感染症の流行で発生した多くの社会文化的な分断の影響で、感情的なほつれがあちこちで生じ始めている。感染から6ヵ月以上が経過し、これから1年以上も続くと思われる状況下で、現在の対応状況は悲惨である。病原菌の蔓延に耐える切れる社会もあれば、そうでない社会もある。

メンタルウェルネスは、それぞれの政治的立場に立って激論を交わしている人々にさえ問題になるであろう。「革命家」とみなされている人々は、パンデミックではない通常時では不可能なことを成し遂げる機会のために、「血の粛清」に苦しんでいると見られるかも知れない。行動とメッセージに関する質問はますます絡み合ってバベルの塔効果を生み出す。そこでは、人々はお互いが理解できないことを話し、より精神的圧力と潜在的な身体的副作用を増す要因となる。

アナリストが主張するように、新型コロナウィルス感染症のパンデミックとそれに伴う経済的低迷は、多くの人々の精神的健康に悪影響を及ぼし、特に既に精神疾患や薬物乱用障害に苦しんでいた人々にとっては、新たな障壁を生み出している。2021年までパンデミックが続くと、ウイルスの蔓延を遅らせるために講じられた措置(社会的距離の確保、仕事および学校の閉鎖、外出禁止命令など)により一層の隔離や潜在的な財政難につながり、メンタルヘルスにかかる重荷が増える可能性がある。これらの公衆衛生対策は、新型コロナウィルス感染症による人命の損失を防ぐために必要であるが、社会的孤立や余剰人員の解雇など、メンタルヘルスの悪化につながる状況に多くの人々をさらすこととなる。人々は、自身は元より、愛する人が病気になるのを恐れており、またパンデミックの影響が不明確なため、不安を抱くことが一般的になっている。

不安の後の怒り:怒りによって、話し合いの場がより暴力的な対立に変り始めている。 米国にとって、トランプ政権下での国家の変化の有り様による心理的被害は、精神的および肉体的健康の双方に害悪を及ぼす非常に悪い状況を生み出している。パンデミックは、メンタルヘルスと薬物使用に長短両方の影響を与える可能性がある。既存の障害を持つ人々と新たに影響を受ける人々の双方は、おそらく今後数年間にわたって、メンタルヘルスと薬物乱用サービスの拡大を必要とすると思われる。

病原菌とその精神的健康への影響によって、劇的に増加している別の要素が家庭内暴力である。世界保健機関(WHO)は、4月に家庭内暴力が60%増加したことを報告している。新型コロナウィルス感染症と家庭内暴力は、二重のパンデミックを効果的に引き起こしている状況にある。

パンデミックが社会に与える被害としては、自殺もまた、ますます重要かつ厄介な問題となっている。研究者たちは、経済的ショック、社会的距離、そして「メンタルヘルスへの前例のない打撃」と表現されるものの結果として、コロナウィルス後の米国で3,235人から8,164人も多くの自殺者が出るかも知れない推測している。重要なことは、自殺防止サービスは「燃え尽き症候群」に陥りやすく、これかれも続くパンデミックの長さとその悪質さを考え合わせると、新型コロナウィルス感染症は現在既に抱える課題の多くを拡大し、利用可能になった新しいリソースにも負担をかけることとなる。

感染から6ヵ月以上が経過し、これから1年以上も続くと思われる状況下で、現在の対応状況は悲惨である。

セオドア・カラシク博士

より多くの努力が為されない限り、現在の拡大する地獄のような風景を逆転させる限界点が間近に迫っている。しかし、究極には身勝手な行為で自らを確認しようとする原始的な感覚のため、自分自身であれ他人であれ、パンデミックによるメンタルヘルスの余波を快く管理できる人はほとんどいない。パンデミックが出現する前でさえ、臨床医の間で道徳的損傷と燃え尽き症候群が蔓延していた。新型コロナウィルス感染症への対応は、これらの課題の多くを拡大し、現実にあるリソースの制約のおかげで、新しい課題も増えた。

このパンデミックが多くの米国人に心理的な傷跡を残すことは間違い無いが、医療従事者の機能をどれほど大きく、どれだけ複雑に、どれだけ妨げるかは、組織がどのように適応するかによる。コロナウィルスの精神的健康への影響が完全に解読するのにはこれから何年もかかるが、それが出来て初めて、本当に役立つ、必要な救済策が適用されることになる。コミュニティ全体が危機に瀕しているため、新型コロナウィルス感染症後の将来を明確に理解する必要がある。

  • セオドア・カラシク博士は、ワシントンD.C.のガルフ・ステート・アナリティクスのシニアアドバイザーで、元ランド研究所の上級政治学者で、アラブ首長国連邦(UAE)に10年間居住し、安全保障上の問題に造詣が深い。   Twitter@tkarasik
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