
ライフスタイルの変化、拡大するテクノロジー導入、主要消費者としてのミレニアル世代の台頭によって、世界の消費者市場における勢力均衡が移り変わりつつある。サウジアラビアもその例外ではない。
サウジアラビアは選択肢と柔軟性の新たな時代に直面しており、消費者に対するこれまでにない魅力を提供しつつある。不動産部門においては、法規の改正や社会的変化によってそれが実現されつつあり、テクノロジーで緊密に横につながる若い世代の新たな優先事項としても要望が高まっている。ミレニアル世代は、18歳から35歳の成人で、サウジアラビアの人口の70%を占めているが、この世代が現在ちょうどそれぞれのキャリアのスタート地点に立ち、新たな世帯を築きつつある時期にきている。その世代がサウジアラビア不動産市場の現在と将来を推し進めると考えられており、不動産業界は従来とは異なるこの世代の要望に対応していく必要に迫られている。
ミレニアル世代はデジタル化世代であり、テクノロジー時代の真っ只中に育ってきた。日々の生活上の便宜はすべてテクノロジーに依存している。さらに、サウジアラビアのミレニアル世代の58%が自分自身のビジネスを起こすことを目標としており、結果として、この世代は世の中の出来事を学んだり、インスピレーションを受けたり、時間や人間関係の管理をするのに全てテクノロジーに依存する世代となっている。
ミレニアル世代は共通の興味を持つ比較的小さなコミュニティや集団を好む。彼らには、様々なライフスタイルを体験することが何より重要な意味を持つ。また、彼らはもっと前の世代の人々よりも環境や倫理問題に対する意識が高く、自分たちの選択による世の中への影響というものを強く考慮する。サウジ国民の間には、小売店舗やエンターテイメント施設などを含む総合的なコミュニティの中で仕事や生活をしたいという希望が明らかに増大しつつある。
しかし、彼らが結婚し、子供を持ち、家を買うといった重大な選択をする際には、ロケーションや職場への距離、自分の社会生活といった要因が、その選択上の中心的役割を果たすようになる。Razaの委託により YouGov が実施したサウジアラビアの消費者嗜好に関する調査によると、サウジアラビアの10人中8人が総合的コミュニティに住むことを望んでいる。このことから、サウジアラビアの人々がより活気のある生活空間に居住することを望んでいることがわかり、それがサウジアラビアの不動産市場へ総合開発というものをさらに導入していくことの重要な要因となっている。
これらの要素を全て考慮すると、サウジアラビアのミレニアル世代が、仕事-生活-遊びというライフスタイルを実現できるような集合住宅、多目的施設、環境に優しい居住空間というものへ向けて都市的な推移を推し進めているということがわかる。住環境の好ましさとは、今や実感としてわかる簡易性と便宜性の提供能力であることがわかる。
総合的スペースは、日常的にテキスト、スナップショット、投稿をする世代が作り出したデジタルコミュニティによって歓迎されるような物理的コミュニティを提供する。JLL 及びCoreNET Global と提携してRazaが実施した最近のKSA Office Occupier 調査によると、サウジアラビアの会社員の3分の2が、利用可能でさえあれば、毎日の通勤に公共交通手段を利用することを厭わないという。
ガソリン代と時間が節約でき、環境対策にもなるということのほかに、徒歩で行ける多目的複合施設は職場、買い物、食事、友達との付き合いの場所として最も理想的な場所となる。近年、サウジアラビヤの雇用者たちは、より総合的職場環境を提供している。KSA Office Occupier 調査への回答者たちによって選ばれた最優先必須アメニティは、礼拝室に加えてガーデン、ジム、スパといった余暇を過ごす場所であった。
スペースの設計も、若き才能ある人材が同僚や顧客と仕事をする際に効果的に仕事ができるようなコスト効率の良いリソースの提供へと変遷を遂げている。スタートアップ企業たちのオ フィススペースはさらにオープンで、階級間の垣根を取り除き、共有空間を多くとっている。小売店舗は、人間の感覚にアピールし独特の記憶を作り出すことによって人々が夢中になれるような体験を提供する場所になりつつある。ミレニアル世代には宅配サービスがブームとなっており、飲食サービスの開発業者たちはキッチンや配達物梱包用スペースを広めに取るようにしている。物流倉庫も、配達時間の短縮が競争上有利となるため、住宅地の近くへと移動しつつある。
ディベロッパーたちが多様なサービスをオープンプラットフォームへ統合し、より多くの顧客データを入手し、より効果的なサービスをテナントたちに提供しようとしている現在、業界の革命はテクノロジーにかかっている。テクノロジーによって地主たちはセキュリティを向上させ、エネルギー効率を高め、交通手段をもたらし、サービスレベルを向上させ、テナントコミュニティと小売店主たちを結びつけることができるようになる。そして当然、これらの改善点は。全てミレニアル世代の大好きなデジタルメディアやアプリを通して普及していくことに なる。