• ターイフのバラは、地域の最高峰の頂上にひっそりと分布していただけだったが、何世紀にもわたって改良が重ねられた結果、まばらな茂みがやがて特徴的な名勝へと進化した。

アラブニュース

リヤド：ターイフでは、数世紀にわたって、丹念にバラの世話をする事が、時代や世代を越えて受け継がれてきた伝統である。

ターイフには、バラが繁茂するのに最適な環境がある。バラの愛好家たちは、地域の象徴とも言えるガズワン山の頂上の清々しい空気の中でその香りを愛でる。

アルハダの連峰やアルシファの山々、ワディ・ムハッラムとアルタルハットの農場、ビラッド・トゥワイルクとアル・マハダの峡谷、ターイフのアル・マスナとワジは、バラの産地として歴史的、園芸的に極めて重要である。

この地域の景観は、サウジアラビアとアラビア半島、さらには世界中へと広がる豊かな香りの歴史と伝播の経路を具現化した象徴へと昇華したのだ。

ターイフのバラは、地域の最高峰の頂上にひっそりと分布していただけだったが、何世紀にもわたって改良が重ねられた結果、まばらな茂みがやがて特徴的な名勝へと進化した。サウジアラビア市場においてターイフ産のバラへの投資額は6,400万サウジアラビア・リヤル（1,700万米ドル）を超え、サラワット山の農場では年間5億5,000万本の素晴らしいバラが栽培されている。

ターイフには、910を超えるバラ農場が点在し、それらに加えて、市場で広く人気を博している80種以上の需要の高い派生商品のための成分抽出やそれらの生産を専門とする約70の工場や研究所がある。

農業専門家で、ターイフのバラの愛好家としては7代目となるハーレド・アルカマル氏は、同地のバラに長年関わって来た一族の出身のバラ専門家である。

アルカマル氏によると、バラを栽培し、その香りを引き出すには、蒸留を含む入念な作業手順を実行することが必要だという。

農場からバラを入手したら、蒸留のプロセスを開始するために、銅製のポットに入れる。耐熱温度の高いこうした銅製ポットは、貴重な派生商品のための抽出において、時間と労力の節約や収益性の改善に大変役立つ。

蒸気を逃がしやすくするために、ドーム状の蓋でしっかり覆った銅製のポットの中でバラを10～12時間浸漬するのだと、アルカマル氏は説明した。この蒸気は、冷水が入ったセラミック製の冷却器内のチューブを通過する際に凝縮し水滴となる。この過程を通して、最初の沸騰からローズウォーターが蒸留精製され、濃縮されたバラ油すなわち香りの良いエッセンシャルオイルも生産される。

この濃縮された液体は、次に、新しい一そろいのバラと共に2つ目のポットに入れられ、同様の加熱、沸騰、凝縮の手順が繰り返される。こうして、非濃縮のローズウォーターや、「ブライダル・ウォーター」として知られる濃縮ローズウォーター、そして世界で最も高価なバラ油という3種の異なる製品が完成する。

アルカマル氏は、ターイフのバラの開花期間は40～50日間だと付け加えた。バラの茂みは芳香で溢れ、開花したバラは毎日早朝に収穫される。

やがてピークを越えると、シーズンの終わりまで徐々に開花するバラが減っていく。これが、ターイフのバラの特徴となっている一季咲きである。