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サウジ・日本関係の基盤となった逸話を語る弊紙編集長

4日に日本外国特派員クラブで語る弊紙のファイサル・J・アッバス編集長(写真/提供)
4日に日本外国特派員クラブで語る弊紙のファイサル・J・アッバス編集長(写真/提供)
08 Jul 2019 01:07:45 GMT9
  • 皇太子の訪日によって二国間関係が強化されたと見る弊紙のファイサル・J・アッバス編集長

東京:G20サミット参加を目的としたムハンマド・ビン・サルマン皇太子による訪日を受け、弊紙編集長のファイサル・J・アッバス氏は7月4日に東京で開催された講演で、サウジアラビアと日本の深まりつつある関係の背景について語った。

アッバス氏は英国人ジャーナリスト、フレッド・ヴァルコーが司会を務めた日本外国特派員クラブでのパネルディスカッションに参加し、二国間関係の転機となった出来事を振り返った。

「それは、1953年に行われた英国のエリザベス二世女王の戴冠式の最中に起こった、日本の明仁前天皇とサウジアラビアの故ファハド国王にまつわる出来事です。当時はまだ皇太子でも国王でもいらっしゃらなかったファハド国王と、明仁天皇が式典に招待されていたのです」とアッバス氏はいう。

「ファハド国王は、ご着席されている席が最前列で、明仁天皇の席が3列目であることを知るとすぐに、ご自身の席を明仁天皇にお譲りするとおっしゃいました。それが英国王室の慣習に反するにもかかわらずです」と付け加えた。

「その瞬間からお互いに対する尊敬の念が生まれ、友情に発展しました。これは一部の人々にはよく知られた話であり、公式訪問があるたびに繰り返し話題にのぼります。この出来事から、両国の指導者が互いにどれほどの敬意を持っているかがわかります」

アッバス氏は会場にいるジャーナリストから質問を受け、トピックはサウジと日本の関係から、イスラエル・パレスチナ紛争、サウジ・イラン関係までにわたった。

さらに同氏は、教育改革、サウジアラビアでジャーナリストであることはどういうことか、同国での男女平等と女性のエンパワーメントに向けた継続的な取り組みについても話した。

今回は3度目となる来日をうれしく思うと述べ、「来日するたびに新しいことを学び、将来はもっと多くの時間を過ごしたい」と語った。

サウジ皇太子の訪日に言及し、サウジアラビアと日本の関係が、貿易だけでなく文化交流などの分野に広がることを望んでいると続けた。

「この二国間関係が始まったきっかけは、日本が自国で石油を生産していないこと、サウジアラビアがかつて日本から多くの自動車を輸入していたという背景があります」とアッバス氏は言う。

「しかし現在、新しい皇太子が、日本との二国間関係を深めることを重視しているため、私たちは日本との関係強化を進めています」

アッバス氏はまた、日本の河野太郎外相とのインタビューで、イスラエル・パレスチナ紛争の解決に向けた取り組みにおいて、日本政府が「信頼できる仲介者」として関わる可能性についても話した。

イスラエルに対するサウジアラビアの立場について尋ねられ、サウジ王国はユダヤ教やユダヤ人を問題視していないとアッバス氏は強調した。

「パレスチナとイスラエルの間の問題は土地紛争であり、そういう背景を切り離したことが双方にとって弊害となっている」と述べ、さらに宗教がからむと問題が複雑化すると付け加えた。

「土地をめぐる話し合いでなくなると、誰が正しくて、誰が間違っているかというややこしい話になります。私たちの立場は、2002年のアラブ和平イニシアティブ(API)で明示されています」

APIは、東エルサレムを含む占領地域から完全撤退すること、および国連総会決議194に基づくパレスチナ難民の帰還権の承認をイスラエルに求め、これが履行されたらアラブ諸国はイスラエルとの関係を正常化するとしている。

アッバス氏は、日本が公正な仲介者として交渉に参加するならば歓迎すると述べた。「素晴らしいアイデアだと思います。この地域には日本対する大きな信頼感があるため、うまく行くことを願っています」と話した。

テヘランに関して同氏は、サウジアラビアには「おそらく世界のどの国よりもイランとの共通点が多いです。敵なのか味方なのかという立場はとっていません。私たちが求めているのは、イランがこの地域で行っている不安定化活動を止めることです」と述べた。

「イランを武装解除できれば血を流さずに目標達成できるので、望ましい成果となります」とつけ加えた。

同氏はまた、弊紙での性差別のない環境を整える試みについて話し、2020年までに男女比率50/50を達成する計画に言及した。

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