• 20ヶ国の首脳グループは、貿易や世界的なサプライチェーンの混乱を最小限に留め、公衆衛生と金融対策で連携することを誓った

フランク・カネ

ドバイ：経済大国の首脳らは木曜日、G20の議長国を務めるサウジアラビアの主催で、コロナウイルス感染症COVID-19による人命や生活への脅威と闘うため、緊急の「バーチャルサミット」に参加し、未曾有の危機に対して世界的な行動を呼び掛けた。

「我々は、この共通の脅威に対して共同戦線を張ることに強くコミットする」と、リヤドのサウジG20チームが主催した2時間にわたるデジタル討議を終えた首脳らが語った。

「我々は、人命を守り、国際経済の安定を回復し、強固で、持続可能で、均衡あるかつ包摂的な成長のための堅固な基盤を作る」と、首脳らは共同声明の中で付け加えた。

通例となっている国家元首やその他の国際的指導者らの声明は、（G20サミット後に発表されることになっているが、言葉遣いや内容のあらさがしを最後の最後まで行う結果、発表が遅れることがよくある）サルマン国王が会議を終了させた後、わずか数分で発表された。

世界的なパンデミックを前に、緊急の協調行動が必要であることに関して、意見の不一致はほとんどなかったようだ。

「G20は，現在のマンデートの中で取り組んでいる国際保健機関（WHO）、国際通貨基金（IMF）、世界銀行グループ（ＷWBG）、国際連合（UN）及びその他の国際機関とともに、パンデミックを克服するために必要なあらゆる手段をとることにコミットする。我々は、あらゆる努力を惜しむことなく、個別的及び集団的に以下を行うことを決意する」。

声明はG20の優先課題を次のように列挙した：生命を守ること、人々の雇用と収入を守ること、市場の信認を回復し、金融の安定を保護し、成長を復活させるとともに、より強く回復することだ。

貿易や世界的なサプライチェーンの混乱を最小限に留め、公衆衛生と金融対策で連携することも誓った。

G20の21年の歴史の中で初の「バーチャル」サミットとなった会談は、11月にリヤドで予定されていた総会を前に実施され、航空機での移動が制限されていることを理由に、デジタルで行われた。

議題は2つの要素から成る：人命に関わるCOVID-19感染症に対処する方法と、流行による経済や金融への影響を緩和する方法について議論することだ。

需要の落ち込みと、2週間前のOPECプラスの減産合意の決裂を受けた供給量の増加によって生じた世界のエネルギー市場の乱高下により、石油業界の観測筋の中には、会議がエネルギー問題にも対処することを期待した人もいた。しかし、これはG20の議題には一度もならず、「石油」や「エネルギー」という言葉は1,500語から成る最終的な声明には現れなかった。

世界的なパンデミックと闘う必要性から、G20は「我々は、パンデミックを抑え、人々、特に最も脆弱な人々を守るために、全ての必要な公衆衛生上の措置を取るとともに、十分な資金の確保を目指すことにコミットする」ことで合意した。

各国首脳らは、医療情報を共有し、世界的な医療システムを強化すると同時に、ウイルスの治療法の模索と製造でも協力すると述べた。

「我々は、医療物資・機器への需要の増大を満たすために製造能力を拡大し、これらのものが可能な限り速やかに最も必要とされるところにおいて、衡平に、購入可能な価格で広く利用可能となることを確保する」と、首脳らは声明で述べた。

首脳らは、任意で幅広い国際医療機関に対してリソースを提供することも約束し、その他の国々や機関、慈善団体にも同様の措置を取るよう求めた。

「パンデミックへの準備及び対処に関する国際的なイニシアティブを構築するために」、感染症への対処に利用できるパンデミック対策スキルやリソースを開発するさらなる措置が、次の会合でWHOやG20財務・保健大臣によって議論される予定だ。

「このイニシアティブは，国際的な準備及び取組における優先事項と整合的なものとするために既存のプログラムを活用し、ワクチン・診断法・治療法の開発・配布を加速させるための普遍的、効率的、持続的な資金かつ調整プラットフォームとして機能する」とG20は付け加えた。

元々経済・財政の政策決定者の会合だった組織として、G20はパンデミックが経済成長と株式市場に与える影響に特に注意を払っている。どちらもこの2週間、大きく反落している。

「我々は、パンデミックによる経済的及び社会的ダメージを最小化し、世界経済の成長を回復し、市場の安定を維持し、かつ強靭性を強化するために、全ての利用可能な政策手段を用い、できる限りの対応を行うことにコミットする」と、首脳らは声明で述べた。

「我々は、パンデミックの社会的、経済的及び財政的影響に対処するための的を絞った財政政策、経済的措置及び保証スキームの一環として、世界経済に対して５兆ドル超を注入している」。

「我々は強大な財政支援の実施を継続する。G20の共同の行動は、その効果を増幅し、一貫性を確保し、また、相乗効果を発揮する。この対応の規模と範囲は、世界経済を立て直し、雇用の保護と成長の回復のための強力な基盤を設定する」と首脳らは付け加えた。

G20の財務大臣と中央銀行総裁は（ウイルス拡大の経済的影響に関する懸念が世界経済に影響を及ぼし始めてから4度目の会合となる）、サウジの主催の下、「新型コロナウイルスに対するG20行動計画を作成し、適切な国際的財政支援を迅速に実施すべく国際機関と緊密に連携する」ため、引き続き定期的に会談を行う予定だ。

世界中の政府は（世界第2位の経済大国、中国を除く）、金融・債券市場のメカニズムの下支えのために、何千億ドルもの資金を投入してきた。声明は満場一致で採択され、一部の観測筋からは、中国が金融市場への大規模な介入を計画しているのではないかという憶測が出ることになった。

「我々は、中央銀行のマンデートと整合的にとられた例外的な措置を支持する。中央銀行は、家計やビジネスへの信用供与を支援し、金融の安定を促進するとともに、国際金融市場の流動性を高めるために行動している」と首脳らは述べた。

加えて、声明には、大きな負債を抱えた発展途上国へのパンデミックの影響を検討するというコミットメントが盛り込まれた。

G20はまた、最近アメリカが貿易と多国家間の連携をめぐってぶつかり、対立が明らかになった世界貿易と国際協調という2つの問題でも、共同戦線を張ることを示した。

「我々は、国際的な交通及び貿易に対する不必要な介入を避ける形で国際貿易を円滑化し、対応を調整するために引き続き協働することにコミットする」。

「健康保護を目的とする緊急措置は、的を絞った、均衡がとれた、透明性のあるかつ一時的なものとなる。我々は、貿易大臣に対し、このパンデミックの貿易に対する影響を評価するよう指示する」と、首脳らは合意した。

「我々は、自由で、公正で、無差別的で、透明性のある、予見可能でかつ安定した貿易及び投資環境を実現し、開かれた市場を維持するという目標を再確認する」と首脳らは付け加え、「国際的な交通及び貿易に対する不必要な介入を避けるため」、ウイルスの脅威に連携して対応することを約束した。

G20は現在の緊急事態の間、比較的医療システムが発展していない、より貧しいアフリカ諸国へのリスクにも光を当てた。

「我々は、強化したアフリカの衛生防護は、グローバルヘルスの強じん性のための鍵であると考える」と首脳らは述べた。

首脳らは、G20参加国の日本で今年の夏に開催予定だったオリンピックを延期するという、国際的なスポーツ機関の判断も評価し、「人類の力強さの証として」2021年夏までにこの大会を開催することを約束した。