


シャムス・エル・ムトワリ、ドバイ
ハッジの期間中に行われる儀礼的慣行は長年守り続けられてきたものだが、それらを最初に行ったのは預言者ムハンマドだった。
こうした慣行には、意思表明、タワーフ(回礼:カーバ神殿の周りを回る)、ミナーを訪れクルアーンを朗唱、アラファト(山)での祈祷、悪魔を表す石柱への投石などが含まれる。
巡礼者はまた、毛髪の結び目を解き(女性の場合)、髪を剃り落とし(男性の場合)、動物を犠牲にすることで巡礼を完了する。
ハッジはニーヤあるいは意思表明から始まり、巡礼者のすべてが神に降伏することから始め、気を散らすようなものから自らを解放する必要がある。さらに身体的にも準備を整え、イフラームを通して清潔さを維持しなければならない。
その後、巡礼者はカーバ神殿の周りでタワーフを行う。タワーフとは、マスジド・ハラームに入った時に完了し、後にハッジ完了時に再び行われる(「タワーフ・アル=ワダー」)行為である。
その後、巡礼者はサファーとマルワと呼ばれる2つの丘の間を往復する。これは、水を求めて同じ2つの丘の間を7往復し、後に水を授かったハジャールの奇跡を記念する行為である。
巡礼者は、イスラム暦の最終月であるデュールヒジャーの8日目にミナーを訪れなければならない。ハッジは、その月の8日、9日、10日目に行われるからである。ミナーでは、巡礼者はテントの中で眠り、そこで休憩し、祈りを捧げる。
9日目には、巡礼者はアラファト山を訪れる。アラファト山は預言者ムハンマドが最後の説教を行った場所とされていることから、特に重要な場所である。
最終日、巡礼者は、悪魔に対する抵抗を象徴的に示す行為として壁に小石を投げる。預言者イブラーヒーム(アブラハム)がこの行為を行ったとされることによる。
巡礼の旅は平均して3〜5日かかり、その完了をもって犠牲祭(イード・アル=アドハー)の休日が始まる。
ハッジとそのカーバ神殿には長い歴史があり、その歴史は預言者イブラーヒーム、その息子イスマーイール、そしてその妻ハジャールが砂漠で迷子になったときに遡る。イブラーヒームは、アダムがまず建設を始めたカーバ神殿をアダムの後で再建したと考えられている。
この場所は、信仰、神聖さ、そして純粋さの場所と見なされている。マッカでは暴力行為が禁止されていることからもそれが分かる。
ハッジもカーバ神殿もイスラム教にとって基盤となるものであり、イスラム教徒を歓迎し、神への献身を奨励する場所である。