


ディーマ・アル・クデイル
ジッダ:涼しい季節に入り、ビーチも海水浴よりは焚き火やバーベキューの舞台となることが多くなったため、ジッダでも週末のお出かけ先として砂漠や山を選ぶ人が多くなった。まだ見ぬ目玉スポット探しに熱心なジッダっ子たちのトレンドが、最近になって変化してきたのである。
ジッダっ子は海に臨む地元ジッダの街に対し、常にロマンチックなイメージを与えてきた。「紅海の花嫁」と謳ったのもその表れである。ジッダっ子は通常、週末にはビーチで過ごすことが多い。ウォータースポーツに参加したり、一年を通して海辺でのピクニックを楽しんでいる。
ただ冬に入った今では、ダイビングファンにとっては高潮が問題となり、ウォータースポーツファンにとっては風が妨げとなり、日焼けしたい人にとっても最適の時期ではないことから、ビーチを愛してやまないジッダっ子たちの中にも、浜辺の砂とは違う砂に挑戦してみようと、砂漠に出かける人が増えてきた。
アラブニュースでは、ジッダやサウジ西部の住民の間でハイキングや砂漠トレッキングの人気が高まっている理由を探ろうと、ツアー会社やハイキングガイドに話を聞くことにした。
バンダール・アル=ジェハニ氏(33)は、2017年にツアー会社「YOLO Jeddah」を創業した。アル=ジェハニ氏によると、ジッダでは3~4年ほど前から周辺地域でハイキングする人やツアーの需要が増え始め、それ以来、人気はうなぎのぼりだという。
「以前はもっと少数に限られていたアクティビティでした。友達や知り合い同士が集まって出かけるくらいのことしかなかったんです。ですがそれ以来、一気に人気が高まりました」とアル=ジェハニ氏はアラブニュースに語った。
アル=ジェハニ氏によると、海への行楽は一年を通して行われ、可能ではあるものの、気候の変化に左右されるという。気温が摂氏30度以下になった途端に東に向かう人が増える、とアル=ジェハニ氏は付言した。
ジッダの冬は穏やかなことで有名で、夕方でも気温が摂氏20度以下になることはほとんどない。そしてその夕方が、砂漠旅行のピークタイムとされる。
「ジッダっ子はビーチ好きとして知られています。夏はいつもビーチにいます。ただ、冬になると強い高波が来ることがあります。そんなわけで、冬にハイキングをするジッダっ子が増えたのです」とアル=ジェハニ氏は語った。
サウジアラビアでのハイキング活動は、古代リヒャン王国にまでさかのぼる。
ハッサン・ヒュマディ
ジッダにはアウトドア活動に適した場所が豊富にあり、砂丘ライディングですらできる、とアル=ジェハニ氏は付言した。
旅行代理店「Destifind」のシニアマーケティングスペシャリストであるアーメッド・アブドゥルジャワド氏によると、ジッダでは12年以上前からハイキングがアクティビティとして行われているが、かつては少数の友人同士による限られたアクティビティであり、ソーシャルメディアのお蔭でこの地域に日帰りツアーが登場するようになるまでは、一般大衆の間には存在すらしなかったという。
「これらのアクティビティはいずれも、組織化されたものではありませんでしたし、旅行団体を通したものでもありませんでした」とアブドゥルジャワド氏はアラブニュースに語った。「私たちはそれを適正化したい、組織や安全性の面で、より高い基準が満たされるようにしたいと思ったのです」
「ジッダっ子は常に活動的です。涼しく美しい気候になると、ビーチ以外のアクティビティを求めようとします。そして、どこか素敵な野外で週末を過ごせないかと、目玉スポットを探し始めるのです」
ここ数年、広大な土地を持つサウジアラビアならではの超穴場スポットが探検家らによっていくつか発見されたこともあり、サウジ人にとっては行楽や観光のオプションが急増した。
ハッサン・ヒュマディ氏(43)は、サウジ登山・ハイキング連盟およびサウジ観光省の認定を受けたツアーおよびハイキングガイドである。ヒュマディ氏によると、サウジアラビアにおけるハイキングの伝統は、古代文明にまでさかのぼるという。
「サウジアラビアでのハイキング活動は、古代リヒャン王国にまでさかのぼります。その時代の人々は、食べ物や水を求めて長い道や谷を渡ったり、山を登ったりしていたのです」とヒュマディ氏はアラブニュースに語った。「ここ5年くらいの間に、この国ではハイキングの人気が高まり、スポーツとしてみられるようになったのです」
ヒュマディ氏によると、ジッダではハイキングをやってみたいという人の数が増えており、特に今年、ロックダウンの制限が緩和されてからは、人気が爆発したという。ヒュマディ氏がこの地域のハイキングコースを案内するグループの数も増え、今では週に最大4、5組のグループがやって来るという。しかも、それらはすべて地元住民のグループだ。
「ビーチに行くのは誰もが好きですが、ジッダっ子がビーチ大好きなのは、ビーチが身近にあるからであり、暮らしの一部だからです。こうした趣味としてのアクティビティに最近加えられたのが、ハイキングなのです」