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マディーナからイスラム世界へ:ムハンマドの生涯を中心とした新博物館オープン

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07 Feb 2021 05:02:30 GMT9
07 Feb 2021 05:02:30 GMT9
  • 最先端の方法を用いて人々にイスラムのメッセージを広めることを目的としている

タレク・アル=タカフィ

マディーナ:2月2日、「預言者ムハンマドの生涯とイスラム文明」博物館と国際展示のオープニングセレモニーが開催された。

博物館のあるマディーナ州の知事で、マディーナ地域開発局の会長でもあるファイサル・ビン=サルマン王子は、今回の展示と博物館について、サウジアラビアの文化的な観光名所にスポットを当ててることで[サウジアラビアの産業多様化を目指す]「サウジ・ビジョン2030」の目標達成に貢献しており、また最先端の技術も積極的に導入しているとして、その方向性と意義を称賛した。

「預言者ムハンマドの生涯とイスラム文明」博物館と国際展示は、ムスリム世界連盟(MWL)が監修しており、同連盟の支援により世界各地に開館予定の一連のイスラム博物館の最初のものである。

マディーナの預言者のモスクの隣にある博物館は24時間営業で、イスラム世界の歴史と預言者ムハンマドの生涯に関する展示を行っている(ムハンマドに平安あれ)。

ファイサル王子は、博物館と展示の内容を「イスラムの寛容と穏健さを示すため、正しい予言的態度を(中略)世界のすべての地域に広める歴史遺産」を伝えるものだと評価した。

MWLは声明の中で、展示内容は「最先端の方法を用いて、愛と善の精神そして慈悲、人間性、節度、寛容、共存の意味を深く理解してもらい、人々にイスラムのメッセージを広めることを目的としたものです」と強調している。

今回展は、数十点の絵画とインタラクティブな展示内容に出会う機会となっている。現在、来場者には7つの言語による案内が提供されている(アラビア語、英語、スペイン語、ウルドゥー語、フランス語、トルコ語、インドネシア語の各言語)。また4DXシアターを導入、預言者ムハンマドの生涯についての一連の映像作品を上映する。

展示の25のパビリオンのうちの1つは、イスラム教における女性の歴史に焦点を当てたものだ。イスラム教の初期に、真実と美徳のメッセージを広めることで女性が果たした重要な役目と、預言者ムハンマドの生涯における女性の不可欠な役割を紹介している。同パビリオンはまた、ムハンマドの生涯での子供たちの重要性に光を当て、彼がどのように子供たちと遊んでいたか、また子供たちどう育てるのが良いかについての彼のアドバイスを詳しく解説している。

別のパビリオンでは、3D、バーチャルリアリティ、拡張現実のテクノロジーを駆使して、家具、衣類、履物、さらには櫛にまで及ぶ、預言者ムハンマドの個人的な所有物を多数、詳細に再現して説明している。

展示内容には、預言者ムハンマドがメッカからの聖なる移住(ヒジュラ)に続いてマディーナに到着した後、ムハンマドの意を表す形で生まれたマディーナ憲章も含まれている。この憲章は、ムハンマドの時代における平和共存と市民社会の条件を定めたもので、マディーナの多宗教イスラム共同体の基礎となった。展示では、同憲章は2019年のメッカ宣言と対をなして提示されている。メッカ宣言は、マッカでMWLが主催した4日間に及ぶ会議の終わりに、世界中の約1,200人のイスラム法学者および学者たちによって署名されたもので、平和共存を支持し過激主義と暴力を非難する、イスラムの一連の原則を明確にしたものだ。

別のパビリオンは、アッラーの99の名前に重点を置き、そのひとつひとつの名前が何を表し、人間にどう関係しているのかを説明している。同じパビリオン内には、宇宙と惑星についての展示もあり、さまざまな天体とイスラム教や人類との関連性を説明している。また、地球の地理に焦点を当てた展示もあり、神の創造物の美しさを維持することの重要性が強調されている。

また、ムハンマド以外の預言者たちの生涯に特化したパビリオンでは、コーランとスンナで説明されている彼らの個性と、生涯の要約を紹介している。ここでは、預言者ムハンマドの誕生から死に及ぶ生涯で重要な出来事に改めて触れる展示も用意されている。そこでは来場者は、インタラクティブな画面を使用して、1400年以上前、ムハンマドが生きた時代のメッカとマディーナにタイムスリップすることができる。

別のパビリオンでは、預言者ムハンマドの最も重要なメッセージの1つ、つまり心、体、魂の健康がすべて相互に関連していることに焦点が当てられ、来場者はホリスティックな医療、治癒、予防、意識に関する広範な情報を得ることができる。

ムスリム世界連盟(MWL)の事務局長であり、イスラム聖職者協会の会長であるムハンマド・ビン・アブドゥルカリム・アル=イッサ博士は、MWLは博物館などのプロジェクトを非常に重要視しており、イスラム教とイスラム教徒のためのイニシアチブの一部として優先的に取り組んでいる、と語っている。。

「今回の展示は、MWLがイスラム・非イスラム諸国に設立しようとしている「預言者ムハンマドの生涯とイスラム文明」博物館のプロジェクトの中核となるものです。」

アル=イッサ博士は、博物館は、サウジアラビアの高位聖職者評議会の会員たちを含む、イスラム世界の多数の著名な学者たちに認められている、とも述べた。

また博士は、「博物館は世界にムハンマドの生涯とイスラム文明を紹介しながら、人間の友愛と共存の基盤を確立したという点で共通するマディーナ憲章とマッカ文書の文明的価値を強調している」と指摘した。

アル=イッサ博士は、博物館プロジェクトが、イスラム教コミュニティの内外での意識向上に向けて中心となって貢献していくことへの期待を表明している。一連の博物館の第一号が今回開館したサウジアラビアのマディーナは、イスラム世界における穏やかな心の源であり、基準となる場所なのだ、とも博士は語った。

 

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