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サウジの計画はイエメンに平和への現実的な可能性を与える

「我々は銃声が完全にやむことを望んでいる」 とサウジの外相、ファイサル・ビン・ファルハーン王子は述べた。(AFP)
「我々は銃声が完全にやむことを望んでいる」 とサウジの外相、ファイサル・ビン・ファルハーン王子は述べた。(AFP)
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23 Mar 2021 07:03:44 GMT9
23 Mar 2021 07:03:44 GMT9
  • サウジアラビアの提案は、 GCCと国連が長引く紛争を終わらせるために行ってきた多くの取り組みの中で最新のものだ
  • サウジの提案には、停戦、人道的協力、経済的譲歩が含まれている

リヤド、ドバイ:イエメンの、国連に承認されたアデンの政府と、イランと提携し、サヌアを占領している武装勢力フーシ派の紛争の包括的政治的解決に向けて何度も行われた取り組みをサウジアラビアは主導してきた。

2014年に紛争が勃発して以来、リヤドの当局者らは何度もサウジアラビアの南側の国境の危機に対する非軍事的な解決策を模索してきた。この危機で、民間人、商船、石油インフラが攻撃を受けた。

しかしイランがフーシ派(アンサール・アッラー)を、地域的目標を推し進めるための代理の軍隊として使っているため、イエメンの紛争は6年間猛威を振るい、11万2000人が死亡し、2400万人が人道援助を今すぐ必要としている。

サウジの外相であるファイサル・ビン・ファルハーン王子は22日、リヤドで「我々は銃声が完全にやむことを望んでいる」と述べ、停戦、人道的協力、経済的譲歩を含む最新のイニシアチブを発表した。

「イエメンを安全にするための政治的解決策だ。だが期限はフーシ派次第だ。彼らは決断しなければならない。第一に考えるのはイエメンの利益か、それとも……イランの利益か」

サウジの計画には人道的協力と経済的譲歩が含まれている。(AFP)

紛争の種がまかれたのは、イエメンで平和的な反政府運動がエスカレートし、人口2300万人のこの国が大混乱に陥った2011年だった。

湾岸協力会議(GCC)が仲裁に入った。同年11月、当時の大統領、アリ・アブドラ・サレハ氏はリヤドで、選挙までの暫定期間中、アブドラボ・マンスール・ハディ副大統領に権力を移行することに同意するGCCのイニシアチブに署名した。

2012年12月、提案されていた国民対話会議(NDC)の議席配分に関して、画期的な合意に達したことが発表された。

2013年4月までに、NDCはGCCイニシアチブの一部として始まり、イエメンのさまざまな政治勢力から565人の代表が集まった。

2014年9月、国連安全保障理事会(UNSC)はイエメンの情勢を安定させるための平和・国民パートナーシップ合意を歓迎した。

この計画では、石油派生物をホデイダ港に運ぶ船への税金と関税収入を、ホデイダにあるイエメン中央銀行の共同口座に預託することも求められている。(AFP)

紛争が回避されたように見えたその時、フーシ派はサレハ氏の支援を得て、汚職と燃料価格上昇との闘いという名目の下、2014年9月21日、首都サヌアを占拠した。

2015年1月、フーシ派はハディ氏を辞任に追い込み、自宅に軟禁した。翌月、ハディ氏は脱出し、南部の港湾都市アデンに逃亡し、フーシ派のクーデターに抵抗することを誓った。

しかし3月中旬までにフーシ派は、現在、臨時首都としているアデンの郊外まで進んだ。

敗北が目前に迫ったイエメン政府は、形勢を変える手助けを国際社会に求めるしかなかった。

元イエメン大統領、アリ・アブドラ・サレハ氏。(AFP)

イエメン軍がフーシ派の前進を阻止している間に、サウジ主導の連合軍は、複数の世界と地域のアクターからの支援を受けて、フーシ派の陣地に空爆を開始し、後退させた。

4月、国連安保理は、フーシ派がサヌアから撤退し、武装解除し、イエメン政府がサヌアに戻ることを認めるよう要求する理事会決議第2216号を採択した。

武器禁輸が課され、フーシ派の指導者には制裁が課せられた。並行して、オマーンは7項目から成るマスカット和平計画を発表した。

5月にはサウジアラビアでリヤド会議が開催され、連邦国家イエメンとNDCの結末を良いものにするために親政府派が集まった。

6月にはジュネーブでフーシ派とイエメン政府が包括的な予備協議を行った。

2015年後半、連合軍の支援を受けたイエメン軍は、アデンやアブヤン、シャブワ、他の南部の主要地域で大きな成果を挙げることができた。

12月までにジュネーブで2回目の交渉が開始される予定だったが、大幅に遅れた後、交渉は最終的に決裂した。

2016年初めに戦闘が激化する中、国連はフーシ派とイエメン政府を交渉の場で引き合わせようとしたが、失敗に終わった。

その間、クウェートの和平交渉は行き詰まった。同年10月、サウジアラビア、UAE、英国、米国で構成される「クアッド」は新たなロードマップを発表した。

軍事的なこう着状態が3年続いた後、サウジアラビア主導の連合軍は2018年6月、大規模な攻撃を開始し、西部の港湾都市ホデイダで大きな成果を挙げた。9月、ジュネーブ協議はついに中止された。

イエメン政府は12月、フーシ派との和平協定(ストックホルム合意)に基づき、攻撃を一時停止した。その結果、タイズとホデイダの状況に関して暫定的合意に至り、捕虜が解放された。

イエメンの紛争は6年間猛威を振るっており、11万2000人が死亡し、2400万人が人道援助を今すぐ必要としている。(AFP/資料写真)

しかし、フーシ派はホデイダで政府軍を標的にし、住宅地を砲撃し、すぐに合意を破った。

そして2019年後半、分離独立派「南部暫定評議会」(STC)がイエメン政府を、激しい衝突の末、アデンから追放した。

11月、サウジアラビアは、イエメン南部での衝突を鎮めるために作成された、政府とSTCの権限分割協定(リヤド協定)の仲介を手伝った。

2020年初め、フーシ派はイエメン中部マーリブ州の軍事訓練キャンプに壊滅的なミサイル攻撃を行い、110人が死亡し、激しい衝突が起こった。その年の春までに、フーシ派は再び躍進していた。

4月、政府とアラブ連合軍はイエメンでの停戦を一方的に宣言した。医療従事者が新型コロナウイルスのパンデミックを封じ込められるようにするためだ。同年10月、交戦中の両派は数百人の捕虜を交換した。

しかし、親善はどんなものでも長続きしなかった。イランはサヌアに特使を派遣したことを発表し、事態をあおった。

そして12月、イエメンの大統領がリヤド合意の条項に基づく新政府をSTCとともに発表した後、フーシ派のミサイルがアデン空港に降り注ぎ、25人以上が死亡した。

今年になって現在まで、フーシ派がマーリブを新たに攻撃し、サウジアラビアへの無人機・ミサイル攻撃が激化し、イエメン北西部でききんがまん延するなど、状況の改善の兆しはほとんど見られない。

2015年1月、フーシ派はハディ氏を辞任に追い込み、自宅に軟禁した。(AFP)

対立を終結させ、市民の苦しみを終わらせるための新たな取り組みとして、サウジアラビアはイエメン和平計画を発表した。フーシ派がこの計画を受け入れた後に始まる、国連の監督下での包括的停戦を伴うものだ。

「フーシ派に殺りくをやめる機会を与える計画だ」とファイサル王子は語った。「彼らが受け入れると発表すれば、実行されるだろう」

この計画は、ビール、ジュネーブ、クウェート、ストックホルムで以前行われた協議と合致するものだ。停戦に加え、この計画では、ストックホルム合意に従い、石油派生物をホデイダ港に運ぶ船への税金と関税収入を、ホデイダにあるイエメン中央銀行の共同口座に預託することも求められている。

この計画により、サヌア国際空港と、中東や海外の目的地を結ぶ直行便を再開し、国連の援助の下、危機の政治的解決に達するためにイエメンの当事者間の協議を開始することも可能になる。

これらは、国連安保理決議第2216号、湾岸イニシアチブおよびイエメンの国内対話の成果に基づくものだ。

「サウジアラビアは以前から解決策と停戦を提案してきた」とサウジアラビアのハリド・ビン・サルマン副国防相は述べた。「フーシ派はその恩恵を受けなかった」

Twitter: @NoorNugali

Twitter: @Ruaa_Alameri

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