
アミラ・アビッド
ジェッダ:聖なるラマダン月は、イスラム教徒にとって大好きな月だ。この月の間、イスラム教徒たちは自らの内なる幸福、信仰を見つめなおし、自らの先祖、宗教、家族と接することができるからだ。
世界中の人々が、熱心にこの月の準備をする。数ある中でも、最も典型的な準備は、食料品の買い出し、家庭内での飾りつけ、祈りを捧げるための静粛な場所の確保などから始まる。
サウジアラビアにいるイスラム教徒の住民たちは、友人や家族たちと食事を共にし、自分たちの楽しみを満喫する。
しかし、新型コロナウイルスの公衆衛生の規制があるために、イスラム教徒たちは今年ラマダンの趣向を十分に楽しむことはできないだろう。
昨年の個々が引き離されてしまったラマダンから教訓を得て、サウジアラビアの人々はその代わりに、この聖なる月の主要な目的を達成する前に、自己を見つめなおすことに集中している。つまり、祈りと信仰を通じて、神に近づこうと成長することだ。
一方、このパンデミックによって、人々はラマダン中の通常の行事がなくて、間違いなく寂しく思っている。ラマダンの平常の状況下なら、市場や飲食店内がごった返すばかりか、自らの宗教的な成長を求めて、この月をより意味あるものにしたい礼拝者たちで、モスクは一杯になっているのだ。
ラマダンは、私たちが特に人と一緒に食事をしたいと思う月なので、ソーシャルディスタンスを取るように努力することが少々難しくなる。
ハムナ・カーンさん
これは、パンデミックが始まって以降、2回目のラマダンとなる。公衆衛生の予防措置のために、人々は常に注意する必要があるので、もはや状況は以前と同じではない。
ジェッダに住むパキスタン人のサウジ住民、ハムナ・カーンさんはアラブニュースに次のように語った。「ラマダンは、私たちが特に人と一緒に食事をしたいと思う月なので、ソーシャルディスタンスを取るように努力することが少々難しくなります」
パレスチナ人の学生、ラハフ・ブルチャリさんはこうした状況にユーモアを見出し、自分の家族はいつもとは違って、追加するものとして、ダイニングテーブル上に手指消毒剤を置いていると語った。
多くのイスラム教徒たちにとって、ラマダン月は、時間通りに祈ったり、1日のうちの1部の時間を使って、コーランを暗唱したり、出来る限り多くの善行を施したりという宗教的な実践に立ち返ることを意味する。
昨年の今頃、全国的な夜間外出禁止令が出されていたことを考えれば、2021年の経験はまた違ったものになるだろうが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、今も規制が残っているので、より多くの時間を持て余すことになる人々も多い。
ラマダン中の生活や行動は、それ以外の月とは異なっているので、自らを律することが重要だ。
ラハフ・ブルチャリさん
人々は生産的な活動に従事することで、こうした余った時間を有効に使おうと、さまざまな活動と仕事を計画している。
カーンさんは、イド・アル・フィトルのための掃除が簡単になるように、余った時間を、ラマダンのための自宅の片付けに使うつもりだ。「この月は、多くの時間が食事で費やされることになるので、ラマダンの前に、より早い時期から準備をしておくようにします」
その一方で、ブルチャリさんはラマダンの前準備は、物理的というよりも、心情的なものだと語った。「私の心は、1年のうちで大好きな月の始まる準備をし、ようやくこの月が来るとホッとし始めるのです。飾りつけはその後にやります。ラマダンの雰囲気に入り込むために、飾りつけは不可欠だと思います」
また、ブルチャリさんは、自分の準備には「自らの睡眠・食事・祈りの時間を律すること」といった宗教的実践も含まれていると付け加えた。
「ラマダン中の生活や行動は、それ以外の月とは異なっているので、自らを律することが重要だ。」