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サルマン国王が気候変動への取り組みにグローバルなアプローチを求める

バーチャル気候サミットでスピーチするサルマン国王(写真:バンダー・ガラウド)
バーチャル気候サミットでスピーチするサルマン国王(写真:バンダー・ガラウド)
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23 Apr 2021 02:04:58 GMT9
23 Apr 2021 02:04:58 GMT9
  • 地球温暖化で生じた課題に国境は関係ないと、サウジ国王が世界首脳サミットで語る
  • 米国は2030年までに最大52%排出を削減するとバイデン、中国とロシアも削減を約束

エフレン・コサイフィー

ニューヨーク:国際協力を強化することが、気候変動に対処する「最適な解決策」であると、サウジアラビアのサルマン国王が22日、世界首脳サミットで語った。

地球温暖化は、この惑星上の生命を脅かし、その課題に「国境は関係ない」と国王は述べた。

「目標は持続可能な開発であり、これを達成するためには、世界中に存在するさまざまな開発や状況を考慮に入れた包括的な手法がなければならない」と、サルマン国王は、アメリカが主催した気候に関する首脳サミットの中で述べた。

国王は、王国が2030年までにクリーンな再生可能エネルギーを使って国のエネルギー需要の50%を生み出すことを目標にした戦略パッケージを立ち上げ、規制を導入したと述べた。

「国際協力の水準を高めることは、気候変動の課題に対処するための最適な解決策である」と、国王は述べた。

「昨年G20の議長国を務める中で、我々は循環型炭素経済の考え方を採用する必要性を提唱し、土地の劣化を抑制し、サンゴ礁を保護するための2つの国際的な取り組みを立ち上げた」。

また、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は最近、「グリーン・サウジ・イニシアチブ」と「グリーン・ミドルイースト・イニシアチブ」という2つの新しい環境計画を発表した。これらは、この地域において、現在の世界の炭素排出量の10%以上の排出量を削減することを目指している。

「これらのイニシアチブでは、地域内に500億本の木を植えることを目指している」と、国王は述べた。

王国はこれらの目標を達成するためにパートナーと連携し、年内に両イニシアチブのフォーラムを開催する予定だと、国王は付け加えた。

「最後に、将来の世代へより良い環境を作るために、気候変動を食い止めるための協力に我々が熱心に取り組み、その責任を果たすことを確認し、地球を守る取り組みの成功を願う」と、国王は述べた。

これに先立ち、11月にスコットランドのグラスゴーで開催される国連気候変動会議COP26を前に、気候変動対策の世界的機運を高めようとこのサミットを招集したアメリカのジョー・バイデン大統領は、2030年までにアメリカの化石燃料の排出量を最大52%削減することを約束した。

「この瞬間に対処することは、私たちの惑星を守ること以上の意味がある」とバイデンは語った。「これは、私たち全員に、より良い未来をもたらすことだ」。大統領はこれを「危機の瞬間ではあるが、チャンスの瞬間でもある」とした。

バイデン大統領は、昨年の大統領選で、気候変動への対応を最優先事項の1つとした。共和党は、石炭、石油、ガス産業の雇用が失われるという理由で、彼の計画に反対しているが、バイデン大統領は、よりクリーンなエネルギー源への移行により、何百万もの給料の良い雇用が創出されると考えており、サミットに出席した世界の多くの指導者たちも同じスタンスだ。

イギリスの保守党のボリス・ジョンソン首相は、「これは自然保護論者的主張ではなく、成長と雇用のためのものだ」と語った。

2日間のサミットには、40人の首脳が参加している。国連は、2021年を「気候非常事態」の年としており、科学者たちは、石炭やその他の化石燃料の使用による気候変動が、干ばつ、洪水、ハリケーン、山火事などの自然災害を悪化させていると警告している。世界は今、地球温暖化による激甚災害を回避するための時間との戦いに直面している恐れがある。

世界の最も強大な国々は、この危機に対処するための様々な対策を発表している。これには、有害物質の排出削減目標、石炭への公的融資の停止、「誰も取り残さない」という目標のもと、パンデミックに関連した経済崩壊から「より良い復興」を行う取り組みの一環として、気候変動対策を経済刺激策に組み込むことを公約に掲げることなどがある。

中国の習近平国家主席とロシアのウラジミール・プーチン大統領も排出削減を約束した。両者とも、バイデンとは、気候変動以外のそれぞれの問題については一切言及しなかった。

アメリカをわずかに上回って世界最大の温室効果ガス排出国となっている中国の習主席は、「環境を守ることは生産性を守ることであり、環境保護を強化することは生産性を高めることだ。それに尽きる」と語った。

ロシアの指導者が反対派を弾圧したことから、最近バイデン大統領から「殺人者」と呼ばれたプーチン大統領は、同国は「気候変動やその他の重要な課題に対する効果的な解決策をさらに模索するために、国際協力を活発化させることに純粋な関心を持っている」と語った。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、サミットで講演した他の多くの首脳らとともに、ドナルド・トランプ大統領が離脱した2015年の気候変動に関するパリ協定にアメリカが復帰することを歓迎した。

メルケル首相はバイデン大統領に次のように語った:「野心的な目標を本当に達成したいのなら、世界がアメリカの貢献を必要としていることには疑いの余地はない」。

温室効果ガスの排出量が最も少ないにもかかわらず、ハリケーンや海面上昇によりますます影響を受け、気候変動による最も深刻な危険と被害に直面している小国や島国は、世界の主要国に支援を求めた。

アンティグア・バーブーダのガストン・アルフォンソ・ブラウン首相は、国民が「絶望の瀬戸際に立たされている」と述べた。首相は国際社会に対し、「気候難民の流入を防ぐ」ため、暴風雨やパンデミックの影響からの回復を後押しする債務免除と支援を求めた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、今回のサミットでカーボンニュートラルの達成に向けた誓約が行われたことを、「11月にグラスゴーで開催されるCOP26を前に、気候危機に総力を挙げて対処する上での待望の後押し」だと述べた。

事務総長は次のように付け加えた:「全ての国、特に他の主要排出国が、COP26よりも十分前に2030年の気候計画を提示することが今の急務だ」。

グテーレス事務総長はまた、10年前に発展途上国に対して行った1000億ドルの気候に関する公約を果たすよう、指導者らに求めた。

「世界は、特に深刻な気候変動の影響と現在発生している経済危機を既に経験している国々を注視するだろう」と、事務総長は述べた。

「今日のサミットは、気候変動対策の流れが変わりつつあることを示しているが、道のりはまだ長い。永久的な気候変動による大惨事を回避するためには、人類と地球の運命を左右する今年に、今日のような機運を早急に高めなければならない」。

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