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サウジアラビア、国家輸送物流戦略を打ち出す

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30 Jun 2021 03:06:30 GMT9
30 Jun 2021 03:06:30 GMT9
  • ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、サウジを国際物流の中心地とするための大掛かりな計画の詳細を公表した
  • 「これが世界経済との繋がりを強化し、高度な物流サービス産業を確立させることにより、国家経済の多様性を助長することにもなる」と皇太子は述べた

リヤド:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は水曜日、サウジの国家輸送物流戦略を発表した。

この包括的なプログラムは、サウジを三大陸を結ぶ国際的な物流拠点とし、全ての輸送サービスを向上させることで、国家の「ビジョン2030」構想を後押しすることを目指している。

戦略の経済的および社会的な目標を実現させるために、多くの革新的なプロジェクトが計画されており、関係機関の活動を強化するために統括機構にも手が加えられる予定だ。その一環として、運輸省の名称も運輸物流サービス省へと変更される。

「この戦略が、サウジの輸送および物流分野における人や技術の能力を強化することとなる」と皇太子は述べた。

「これにより、世界経済との結びつきが強化され、三大陸の中心にあるという我が国の地理的立ち位置を活用し、高度な物流サービス産業を確立して国家経済を多様化、高品質のサービスシステムを構築、競争力のあるビジネスモデルを適用することで物流セクターにおける生産性と持続可能性を強化することが可能となる」

「輸送と物流は、我が国の『ビジョン2030』構想の重要な焦点であり、経済界を持続可能な発展へと方向づけるための欠かせない要素である」

この戦略が対象とする分野には、インフラの開発、国内における数々のプラットフォームと物流ゾーンの立ち上げ、先進的な稼働モデルやシステムの導入、行政と民間企業の間の効果的な提携関係の構築とその強化などが含まれる。

主要目標は、サウジアラビアを物流の中心地にすること、全国の生活の質を向上させること、財政の持続可能性を強化すること、公的機関の業績を向上させることの4点だ。同戦略はまた、サウジの航空便乗り継ぎ乗客数を世界5位に浮上させ、サウジ国内の国際的観光地を250以上に増やし、新たな国営航空会社を設立することなども目指しているとムハンマド皇太子は述べた。これらのプロジェクトが実現すれば、ハッジやウムラや観光業界など、他部門の改善目標や成長目標の実現にも役立つ。

新戦略はまた、航空貨物セクターの輸送能力を450万トン以上に倍増させることも目指している。

海上輸送の計画に関しては、「この戦略により、我々の年間処理能力は4000万コンテナー以上に達する」と皇太子は述べ、そこにはそれに伴う港湾インフラの開発、物流セクターとの統合強化、国際航路との接続性の拡大、鉄道網や道路網との総合強化への投資も含まれ、これらが「輸送エコシステムの効率性と経済を強化し続けることとなる」と付け加えた。

サウジの鉄道は現在、5330キロメートルの鉄道網を通して旅客と貨物のサービスを提供しており、そのうち450キロメートルがメッカとメディナを結ぶハラマイン高速鉄道で、これは中東地域最大の高速輸送プロジェクトであると皇太子は述べた。

新戦略により、鉄道網の総延長距離は推定8080キロメートルになる。その中には、サウジのアラビア湾岸の港湾と紅海沿岸とを結ぶ1300キロメートル以上の「ランドブリッジ」プロジェクトも含まれる。それにより年間300万人以上の乗客と5000万トン以上の貨物の輸送が可能となり、これが通る地域の新たな可能性を切り開くことになる。

これによりサウジの物流業績指標が向上し、世界上位10ヵ国入りを果たすと期待されている。鉄道事業では事業主や投資家に開かれた市場を提供することで、アラブ湾岸諸国間の相互の接続を促し、この地域や世界の輸送経済におけるサウジの影響力を確立させることを目指している。

この戦略は、国際標準と比べても遜色のない高水準の接続性を提供するサウジの道路網など、既存の重要基盤の上に築かれるものであることを皇太子は強調した。

新戦略では、サウジが道路の質と安全性における最先進国となることも目指している。それを達成するために、戦略には、交通事故の件数を減らし、国際的なベストプラクティスを導入し、効率の良い接続を実現し、都市の公共輸送を発展させるなどの取り組みが含まれている。

さらに、持続可能性を高め、燃料消費を25%削減し、最先端の革新的な国際テクノロジーを採用することで輸送上の課題にスマートソリューションを提供するなど、環境面での目標も定めている。

戦略の主な目的のひとつは、輸送物流セクターの国家総生産への貢献度を現在の6%から10%に上昇させることだと皇太子は指摘した。これにより事業成長が刺激され、投資が拡大し、同セクターの非石油収入を2030年までに年間450リヤル(120憶ドル)に押し上げることができるという。

「我々は(サルマン国王の)指導力の下で成し遂げた達成を誇りとしている」と皇太子は述べた。「そして我々は、高い志を持つ国民のサポートを得ながら、より多くの努力を払い、より多くの成功を成し遂げることで、我が国に利益をもたらし世界における指導的な立場を押し上げることになるさらなる飛躍を目指して、前へ進むことを計画している」

「我々はみな、サウジの「ビジョン2030」構想に向けた国家目標を達成する自分たちの力を信じている」

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