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巡礼者の安全を確保するため、サウジ当局テクノロジーを最大限に活用

2019年のハッジの時期に、保健省はAIを用いてリモートで医療相談や診断を行うロボットを導入した。
2019年のハッジの時期に、保健省はAIを用いてリモートで医療相談や診断を行うロボットを導入した。
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21 Jul 2021 07:07:31 GMT9
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  • 聖地を訪れる巡礼者はスマートカードのサービス、スマートブレスレット、そしてスマートロボットを自ら利用して「豊かな体験を持つ」ことが可能に

モハメッド・アル・キナニ & フダ・アル・シャイル

メッカ/ジェッダ:ハッジの時期に安全を確保し、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、サウジアラビア当局はテクノロジーを活用して巡礼者たちが平和かつ快適に儀式を行えるように手助けしている。

毎年行われるメッカへの巡礼は世界で最も大規模な人々の集会であるとされており、2019年の巡礼者の数は250万人近くまで及んだ。しかし、新型コロナウイルスによるパンデミックのため、今年のハッジはサウジアラビア国内に居住する6万人ほどの巡礼者だけが参加できることになっている。

聖地に到着したサウジアラビア市民である巡礼者たちは、スマートカード、スマートブレスレット、そしてスマートロボットのサービスを自ら利用できるようになっている。これらはいずれもハッジをより便利な体験にすることを目的としている。

サウジアラビア巡礼省の紹介によれば、スマートカードの機能には近距離無線通信(NFC)や、個人、医療、宿泊情報を保存したバーコードなどが含まれるという。また、スマートカードは巡礼者を聖地にある宿泊場所へと案内することもできる。

巡礼省のメディアセンター所長を務めるハマド・アル・エシワン氏によれば、スマートカードは国内で生産され、今年の巡礼者たちへと配られるだけでなく、これからウムラに参加する人々も利用できるという。

「また、私たちは将来的なハッジやウムラの参加者のためにこの技術を他の国際的なハッジ企業へと提供するつもりだ」とアル・エシワン氏は述べている。

また、アル・エシワン氏によれば、それぞれのカードは色分けされていて、異なる色によってカードの所有者が聖地にある対応する宿泊場所へと結び付けられているという。カードは聖地のキャンプ場にあるスマートドアや入口の鍵としても機能するという。

巡礼者の重要な情報に加えて、カードがあれば巡礼者がハッジのために事前に計画した旅のルートやスケジュールをチェックすることもできるという。これらのカードを使うことで、巡礼者は毎日の食事を選ぶことができ、混雑した場所を避けられるようになる。

サウジアラビアで作られたスマートカードは色分けがされており、異なる色で所有者を聖地の対応する宿泊場所へと結び付けている。(SPA)

巡礼省におけるハッジとウムラに関連するサービスを担当する部署の審議官であるアムル・アル・マッダ氏がこうしたスマートカードの必要性について説明してくれた。アル・マッダ氏によれば、スマートカードを作ったのは巡礼者たちの安全と便利さを最優先事項とし、「彼らに豊かな体験をしてもらう」ためだという。

また、アル・マッダ氏によれば、巡礼者は体験に関するサービス評価のためのアンケートに記入することもできるという。提供されたフィードバックは、サービスを向上し、巡礼者の最高の期待にも応えるために活用される。

スマートカードは「Sha’ir」というアプリを使って提携したり読み取ったりすることもできる。これにより、当局が利用者から求められたサービスを提供することも容易になる。

サウジアラビア データ・人工知能機関(SDAIA)は「巡礼参加者プログラム」と協力し、サウジアラビア通信会社グループ(STC)とのパートナシップのもと、スマートブレスレットを用いたサービスを開始した。

およそ5千本のブレスレットが今年の巡礼者たちへと配布された。ブレスレットは腕時計のような形をしており、GPS機能が付いていて、IoT技術のためにデータを使用する。

ブレスレットには様々なサービスが統合されており、新型コロナウイルスに関連した体調など、巡礼者に関するあらゆる個人情報を保存している。

パンデミックの直後でも大モスクを消毒してバクテリアを除去するために用いられる完全自動のロボット。(SPA)

SDAIAの代表であるアブドゥッラー・ビン・シャラフ・アル・ガームディー博士は今回の新たな取り組みを巡礼者たちの役に立つための重要な一歩であるとしている。

「このブレスレットを着用した巡礼者は心拍や酸素レベルをチェックすることができる」とアル・ガームディー博士は言う。「また、『Tawakkalna』というアプリとブレスレットが繋がっていることで、自身の健康状態も確認することができる」という。ブレスレットを着用した巡礼者は危険な事態があればそれを報告したり、様々な医療、警備、ハッジ当局のスタッフらが携わるコントロールセンターからのサポートを求めたりすることもできる。

「このセンターでは、安全や健康の問題、事故にいたるまで、巡礼者に起こることすべてを監視している」とアル・ガームディー博士は言う。「また、このブレスレットのおかげで当局が必要な時に行動をとる助けともなる」

二聖モスク庁は先月にスマートロボットによるサービスを開始し、10台のロボットが大モスクの消毒チームに加わった。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、ロボットたちは定期的に行われる大モスクの消毒を手伝っている。ロボットたちは担当するエリアの消毒のために何をすればいいかを分析するための特別なプログラムを組み込まれている。ロボットたちは人間が介入せずとも5時間から8時間ほど稼働することができる。

2019年のハッジの時期に、保健省は初めてハッジ用ロボットを導入した。同機体はAI技術を用いて医療相談や診断をリモートで提供することができた。

ウンム・アル=クラー大学でAI分野の助教授を務めるターハーニ・アル・スベイト氏がアラブニュースに語ってくれたところによると、例えばリヤドにいる医師がロボットを通して聖地にいる患者へと医療支援を行うことができるという。「医師はリモートでロボットを管理し、患者の体温を測ったり聴診器で脈を測ったりするよう命令を与えることができる」とアル・スベイト助教授は言う。

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