
ドバイ、フランク・ケーン
深部石油採掘に関するサウジアラビアの専門知識が、日本沖の激動の海で、命を脅かす地震を予測するための国際入札に用いられている。
キング・アブドゥッラー科学技術大学(KAUST)の科学者らは日本およびアメリカの仲間たちと共に南海トラフで、海中区域の地殻を掘削する長期プロジェクトに取り組んでいる。そこは、日本の南岸沖に位置する悪名高い地震帯だ。日本の歴史を通して、津波を生み出す致命的な地震がここで発生している。
ハイテク調査船『ちきゅう』に多国籍チームが乗り込んだこのプロジェクトは既に、海面から2,000メートル深度にある海底の更に下、3,262.5メートルへ到達し、海中掘削の新しい世界記録を打ち立てている。作業には、王国の石油業界でサウジアラムコによって試行を重ねた専門知識が用いられた。
石油地質力学専門家からKAUSTのシニア研究科学者、ちきゅう探査隊メンバーとなったトーマス・フィンクベイナー氏はArab Newsに語った:「究極の目的は命を救い、日本のインフラへの損害を防ぐことです。2011年の地震と津波の後、不幸にも私たちが目の当たりにしたような事態の回避です。経済コストは多大なものでしたが、本当の損害は人々の命でした。」
日本の北部太平洋沖で発生した2011年の地震と津波は、2万人もの死を引き起こした。多くの被害者が未だ「行方不明」とされているものの、経済損害は2,350億米ドルに上り、史上最も犠牲の大きな天災の一つとなった。
ちきゅう探査隊は、横浜に拠点を置く日本の機関、海洋研究開発機構の後援で運営されている。その目的は、太平洋、ユーラシア、フィリピン海の3つの地殻プレートが合流する南海トラフへの掘削だ。そこは、世界で最も地質学的に活発な地域の一つなのだ。
「地質と環境は大変困難なものです。このような地震発生地域で、これほど深い掘削に挑戦する人はこれまで存在しませんでした。大規模に沈み込み、たくさんの地殻応力があるゾーン、海中プレートの重なりや断層が見られる場所です。」フィンクベイナー氏は述べた。
目標は、ゾーンの中心への監視装置設置だ。これが地震や津波を検出すれば、迫り来る災害に対し早期に警戒を発することができる。「そのようなプロジェクトが成功すれば、観測所から得られる知識と識見は非常に貴重なものとなるでしょう。」と彼は付け加えた。
今年に入ってから、プレートの境界断層へと接近するに伴い遭遇した地質条件のため、掘削作業は中止している。日本とサウジのパートナーは、近い将来の掘削再開に向けて正式な資金提供が行われることを期待している。
開始から11年を迎えるちきゅうプロジェクトは、極めて過酷な科学と技術体験に挑戦し続けている。
公式ウェブサイトではこう述べられている:「不安定な地質層、力強い黒潮などの要因、台風接近の影響を受ける位置、そして冬の間複数の寒冷前線にも晒されることから、これらは今までに成し遂げられたことがない困難な任務です。」
作業は、サウジアラビアの石油掘削専門知識をもってしても困難なものだ。王国ではいくつか著しく深いものもあるが、ほとんどの油井では、通常約2,000メートルの深さで石油に行き当る。