ヌール・ヌガリ
リヤド:サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子のオマーン訪問は、アラビア湾岸諸国歴訪の最初の訪問地となり、オマーンのスルタン・ハイサム・ビン・ターリク国王が7月にサウジアラビアを訪問したときにサルマン国王ともった会談にもとづき、さらに前進させるものと期待されている。
相互に利害関係のある問題や、いかにサウジ・オマーン国民の「願望や希望を満たし」両国の利益を促進するかが、議題となっている。
オマーンの通信社ONAは、この訪問をこの2つの湾岸国家の「伝統的で歴史的な」結びつきを反映するものと説明した。
過去半世紀以上にわたり、サウジ・オマーン間の関係は、さまざまな地域内および国際的問題に関する協力、相互尊重、理解に特徴づけられてきた。
同様に、個人のレベルにおける関係も、歴史的な絆、両国が共有するアラブの習慣と伝統、湾岸アラブとしての共通の遺産を通じて、根強いものになっている。
両国は、湾岸協力理事会(GCC)の傘下で地域共通のビジョンと戦略的目標に沿って、多様な分野における加盟国間の統合を達成することを目標に、協調して行動している。
同様の協調精神をもって、両国は、アラブ連合、イスラム協力機構、国連、その他のさまざまな国際機関においてその役割を果たしている。
スルタン・ハイサム国王のサウジアラビア訪問は、さまざま分野、とりわけ不動産開発、観光、石油化学、製造業、物流、情報技術、金融システムにおける協力の約束をもたらした。また、ドゥクム経済特区に工業地帯を設置するプロジェクトも、議題にあった。
すべての分野における共通の利益をもつ問題について、継続的な相談と調整を確実にするために、調整協議会を設置するという覚書が両国によって署名された。政府と民間セクターの貿易と投資、環境保全と食料安全保障の分野での協力を拡大するために、別の協定も署名された。
共同声明によると、両国は、人とモノの移動を容易にし「望まれる経済的統合を達成するためにサプライチェーンを統合する」ため、国境検問所の開設を促進することに合意した。
オマーンとサウジアラビアはさらに、両国の大臣たちの「効果的なコミュニケーション」を歓迎し、いくつかの協力協定の締結に向けて働くよう彼らに指示した。
「サウジアラビアはアラブ世界最大の経済国で、その経済のけん引役であり、世界の石油埋蔵量の4分の1を保有し、中東および北アフリカ地域で最大の自由市場です。サウジはオマーンにとって重要で貴重な貿易パートナーです」とオマーンの駐サウジアラビア大使サイード・ファイサル・ビン・トゥルキ・アル・サイード氏は、スルタン・ハイサム国王の訪問の前夜にアラブニュースに話した。
オマーンとサウジアラビアの結びつきは、一つには、定期的な2国間会合とシャトル外交によって、強固なものであり続けてきた。この関係は、両国間の658キロの国境を最終的に確定した1990年3月の協定署名後に、伝統として確立されたものである。
サウジアラビアのハフル・アル・バティンで締結された国境協定は、過去の領土問題を一掃し、両国にこの地域の豊富な水資源への平等なアクセスを認めたものであり、両国の関係を強化した。
その後の数十年間で、両国の関係はさらに強まり、大胆な経済パートナーシップやGCCに関する共同行動を生み出し、経済の多様化に向けた戦略的目標と共通ビジョンの融合を実現させた。
2006年には、サウジアラビアとオマーンは貿易拡大を促進するため、新しい国境検問所を開設することに合意した。
両国の技術者たちは協力して、ルブアルハリ砂漠(「空虚な一角」)を通りサウジアラビアの東部州のアルアサとオマーンのイブリをつなぐ高速道路を、サウジアラビアの資金提供により建設している。これによって2国間の移動時間は、16時間ほど短縮されることになる。
当局はこの道路が今年末までに、民間および商業用の交通に開通することを期待しており、これは、ビジネス活動の新時代の幕開けとなる可能性がある。
新しい高速道路が開通すれば、両国が拡大に積極的な分野である観光業に対する後押しとなる可能性はもちろんのこと、オマーンのソハール港とドゥクム港の外で活動する業者たちにとってはとくに、輸出入の物流コストを削減することになる。
とりわけオマーン側は、新しい道路が―そしておそらく将来的には鉄道による連絡も―ソハール工業団地とドゥクム経済特区での一層の共同投資を促進することを望んでいる。
その他のパートナシップには、カザン経済都市の開発、サラーラ‐2ガス火力発電所、サラーラ淡水化プラントなどがある。サウジアラビアは、オマーン産の魚の主要な輸入国でもあり、オマーンの水産業の発展は、大きな共通の関心事となっている。
協力のもう1つの中核は環境分野であり、両国は協力して炭素排出量を60%削減し、数十億本の木を植え、サウジおよび中東のグリーン・イニシアティブを実現しようとしている。
スルタン・ハイサム国王は、サウジ皇太子との以前の会談において、これらのイニシアティブを歓迎している。両国はまた、工業開発、都市計画、鉱物採掘に関する専門知識の共有を始め、政府の代表団は最近、新しい連携について話し合うためにテレビ会議システムによる会談をおこなっている。
過去数か月、高官たちと代表団は、オマーンの「ビジョン2040」とサウジアラビアの「ビジョン2030」を統合させるために、相互に訪問している。この2つの開発および経済の多様化の計画は、若い市民に刺激的な新しいキャリアの道を提供する活気に満ちた現代的な経済を創出し、全般的な生活の質を向上させることを意図している。
オマーンでの投資機会を探しているサウジ企業の長いリストの中には、GCC諸国産の魚と海産物を商う約40年の歴史をもつアル・サヤディヤ・ユナイテッド社も含まれる。
アル・サヤディヤのCEOのマルワン・ラッファ氏は、9月、アラブニュースの取材に対し、オマーンと非常に良好な貿易関係を築くことができると期待しており、オマーンでの事業を拡大するために同地の企業のCEOと交渉していると述べた。
サウジアラビアがオマーンとの結びつきを深めようとしていることに触れ、彼は、「よい関係は、より多くの機会をもたらします」と話した。