
ラワン・ラドワン
ジェッダ:サウジアラビア政府当局は、労働者の権利を保護し、魅力的な労働環境を確立するために、労働改革を強化し、その法整備を続けている。
昨年、サウジアラビア人材・社会発展省(HRSD)は、労働市場の手続きを合理化し、正確な仕組みを定め、キャリアの流動性を向上させ、雇用者と被雇用者の権利を保護する「労働改革イニシアチブ(LRI)」に着手した。今年3月、LRIはさらなる改革を発表、ドメスティックヘルパーを含む民間セクターで働く外国人に、雇用に関してより自由な機会を与えることを発表した。
HRSDの労働環境管理・開発担当副大臣であるサタム・アマー・アルハルビ氏はアラブニュースの独占インタビューの中で、同省は王国の他の権威ある機関と同様、労働力と雇用の問題、人身売買との戦い、家事労働者の権利の保護など、雇用者と被雇用者の双方にとって切り離せない課題に対処するための、明確な枠組みを持っていると述べている。
人身売買は国際的な現象として認識されているが、統一された定義はまだ定まっていない。国連においては人身売買を「人を取引し、利益のために搾取する犯罪」と定義している。詐欺的な職業紹介所を利用した人身売買業者は、より良い生活を求める最も弱い立場にある人々を利用して、被害者に労働を強要したり騙したりする。
国連は2000年に「国際組織犯罪防止条約」を採択し、2003年に発効した。『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書』は、人身売買の定義が合意された世界初の法的拘束力のある文書である。王国は173カ国と共にこの議定書に署名、それ以来あらゆる形態の人身売買を断固として拒否することを再確認し、排除するために多大な努力を行ってきた。
「人身売買は世界的な問題であり、最も弱い立場にある人々がその対象となります。『人身売買』という言葉の複雑さを理解していない人も多いでしょう。王国では法律が明確であり、当局は啓蒙活動を通じてこの犯罪を定義する意識を高め続けています」と副大臣は述べている。
サウジアラビアの人身売買防止法の第3条では、人身売買の行為を行った者は、15年以下の懲役もしくは100万SR以下の罰金、またはその両方を科されると規定されている。
「サウジアラビアは、人身売買への取り組みを最優先に考え、具体的な対策を講じています。また、労働者の権利を守るためのサウジアラビアの主導的な役割は、予防、保護、支援、国や地域の協力を通じた保護、の4つの軸で展開されています。関係当局はこの戦略に基づいて協力しており、これはこの犯罪に対抗するための王国の努力を明確に示しています」とアルハルビ氏は述べている。
「HRSDの役割は、単に労働許可証の発行、雇用問題、サウジアラビア化などだけではなく、この犯罪に対抗するためにも重要な役割を果たしています。国家委員会のメンバーである同省は、他の協力機関とともに、労働者の雇用の強要、家事労働者の給与の遅延、未成年者や子供の強制労働、厳しい条件での労働、不十分な住居など、労働市場に大きく関係するこの犯罪に対抗する戦略を監督しています。私たちは、労働者の尊厳を損なうさまざまな問題に取り組んでいます」
王国には900〜1000万人もの外国人労働者が暮らし、働いている。副大臣は、労働者の権利を守るために、契約書や賃金保護システムのデジタル化など、省庁として重要な取り組みを行ってきたことを強調した。
「最も一般的な違反行為は、賃金の支払いを拒否したり、継続的に遅らせたりすることです。企業が労働者に対し給与支払いを延滞した場合、直ちに大臣に通知され、労働者の賃金が確実に支払われるよう措置が取られます」と副大臣は語る。その他の一般的な違反行為としては、雇用者が負担すべき労働許可証の更新料やその他追加料金の支払いを労働者に強要することが挙げられ、これらは検察庁に通報され、調査される。
労働者の多くは、自分の労働権や苦情を申し立てる方法を知らない可能性があるため、同省は継続的な実地調査によって施設を監視し、労働者に情報を提供している。このような検査は、人身売買のケースを特定するためには必要不可欠である。
同省では、人身売買に関するさまざまな問題に対処するため、特別な部署や委員会を設置している。そのサービスは、保護ユニットから事後処理、ヘルスケアの提供、外国人居住者を弁護するための弁護士の雇用、外国特使を含む複数の当局との緊密な連携など、数多くのものがある。
「多くの雇用者と従業員にとって、いまだに不明瞭な点は多くあります。いくつかの行為は法律上の問題を引き起こす可能性があり、その対策には、法律を理解することが不可欠なのです。例えば、賃金が1~2ヶ月遅れるとペナルティが課せられますが、それ以上にはなりません。しかし、従業員が3〜4ヶ月間賃金を受け取っていない場合は、人身売買罪に該当し、検察庁が捜査を担当することになります」
約40年の間に2,000万人以上の外国人労働者がサウジアラビアに滞在経験があり、現在も多くの外国人労働者がサウジアラビアをホームベースとしている。
昨年3月に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まったとき、サウジアラビアの政府当局は、合法・非合法を問わず、王国内のすべての居住者を確実に保護することを優先し、必要に応じて無料の医療を提供、帰国を希望する人にはチケットを発行し、出入国ビザの自動更新を行い、COVID-19ワクチンを全員に無料で提供した。