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スマートアプリ:パンデミック対策でサウジアラビアが上位国に差をつける

米国は、多くの人が健康パスポートと呼んでいるものを統一的に規制する方法をまだ見出していない。ましてや他の機能に至ってはそれ以下だ。この分野では、サウジアラビアは第一世界の国々よりも進んでいるように思える。(シャッターストック/ロイター)
米国は、多くの人が健康パスポートと呼んでいるものを統一的に規制する方法をまだ見出していない。ましてや他の機能に至ってはそれ以下だ。この分野では、サウジアラビアは第一世界の国々よりも進んでいるように思える。(シャッターストック/ロイター)
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15 Feb 2022 08:02:32 GMT9
15 Feb 2022 08:02:32 GMT9
  • 新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、サウジアラビアは最もテクノロジーに精通した国の仲間入りをした

ジャスミン・ベーガー

ダーラン:新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、サウジアラビアは最もテクノロジーに精通した国の仲間入りをした。この2年間は、主に2つの必需品を持たずに家を出ることはできなかった。それはマスクとスマートフォンだ。かさばる財布も、身分証明書を1つ忘れてしまう可能性も心配ご無用。必要なものはすべてポケットに簡単に収まるようになった。

私はアメリカで最も「時は金なり」と言われるニューヨークから最近戻ってきた。マンハッタンの街を歩いていて驚いたのは、皆がレストランの店内で食事をする際に、ルールとなっている薄い紙のワクチン接種証明書を取り出していたことだ。皆がバッグに手を突っ込んでその紙切れをゴソゴソと探している中、私はさっとスマホを取り出し、ワクチン接種の日付が画面にはっきりと表示されている「Tawakkalna」アプリを見せた。どのバリスタも、「サウジアラビアのアプリは最高レベルだ」と感心してくれた。

サウジアラビアは、必要な書類を一か所にまとめてペーパーレス化・効率化することで、エコフレンドリーな方法を見出した。グーグルやフェイスブック、メタ、そしてハリウッドを抱える米国は、多くの人が健康パスポートと呼んでいるものを統一的に規制する方法をまだ見出していない。ましてや他の機能に至ってはそれ以下だ。この分野では、サウジアラビアは第一世界の国々よりも進んでいるように思えた。

サウジアラビアが「Tawakkalna」アプリを導入した2020年には、このアプリは外出禁止令の把握や、個人がエクササイズや食料品の買い物をする際の時間帯予約を目的としたものだった。

アラビア語で 「tawakkal」は、「神の計画を信頼する」というイスラム教の概念を表している。このアプリのベータ版がリリースされて以来、サウジアラビアが公共部門のデジタル化を推進する中、その範囲は広がり、さまざまな政府サービスを1つの場所に統合している。ユーザーはアプリ内で、健康、教育、ハッジとウムラに関するサービス、運転に関するあらゆるサービス、保険、パスポートやその他の項目に関するサービスに直接アクセスすることができる。もはや最も重要なツールは指だ。これは生活の一部になっている。

サウジ通信社の最新の統計によると、「人口約3,500万人のうち、2,000万人以上がこのアプリをダウンロードしている」という。その数は、おそらく増え続けるだろう。

リヤド在住の人材マネジメントの専門家、アブドルアジーズ・アール・サルマン氏は、「Tawakkalna」のようなアプリは、サウジアラビアが現代生活に溶け込んでいくうえでの自然な進化だと考えている。

「ネットはいまや生活の一部です。サウジアラビアでどこかに行こうと思ったら、携帯電話を必ず持っていなければなりません。私たちは携帯電話にとても依存しているのです。外出した後に携帯電話を忘れていることや、バッテリーが少ないことに気付くと悪夢です」とアール・サルマン氏はアラブニュースに語った。

ジェッダで医師をしているサラ・セバイ氏はオフラインの時代に育ったが、徐々にすべてが繋がっていった。

「ミレニアル世代として、私はすべての段階を経験してきたように感じています。今ほど多くのテクノロジーを持たない、ダイヤルアップ接続の段階からワンストップショップアプリまで。旅行した国や子供など、すべてがそこに詰まっています。これ無しで今までどうやって生きてきたんだろうと思うくらいです」とセバイ氏はアラブニュースに語った。

医師である彼女は、「Tawakkalna」アプリが思いがけない扉と重要な会話を開いてくれたと感じている。

「このアプリで臓器を提供できるようになりました。このアプリは本当に有益なものです。特に人工呼吸器や生命維持装置をつけている人が臓器提供を行うことは、サウジのような文化圏では簡単なことではありません」とセバイ氏は述べた。

セバイ氏は母親であるが、プライバシーやアプリ使用中の常時トラッキングについては暗号化されているため心配していない。彼女は、スマートフォンは今や重要すぎるほどであり、全ての人にとって持たないという選択肢はないと感じている。

「スマートフォンは家族全員が持つ必要があるため、その平均的な価格帯は一部の労働者にとっていまだに負担となっています。私のメイドはスマートフォンを持っていなかったので、買ってあげなければなりませんでした。起こりえることの1つとして、何らかの理由でアプリが動作しない場合、誰にも助けられないということがあります。困ってしまいます。空港で何かを見せなければならないとき、スマートフォンが使えず、認証コードを取得できなければ、そこで終わり、ゲームオーバーです。現時点で、誰もがスマートフォンを持っているはずです。もう贅沢品ではなく、必需品なのです」と彼女は述べた。

このほかにも、サウジアラビア人がパンデミック時やそれ以降の生活にうまく適応できるようになった要因として、注目すべきアプリがいくつかある。

おそらくすべてのアプリの母体であるAbsherは、個人と企業をサウジアラビアで提供される政府サービスにつなぐ傘として2015年に作られた。

サウジアラビアの内務省がAbsherを立ち上げたとき、瞬く間に3つの部門からなるeサービスの主要なプラットフォームとなった。3つの部門とは、個人向けAbsher、ビジネス向けAbsher、政府向けAbsherだ。

同省は最近、2021年に同プラットフォームが2300万人のユーザーにサービスを提供し、8500万件を超えるオペレーションを実行したと発表した。昨年、Absherは330以上のサービスへのアクセスを容易にし、80以上の政府機関や民間団体につなぐことで、市民や居住者、観光客の生活の質の向上に貢献した。

新型コロナウイルス感染症パンデミックの間、市民や居住者はワクチン接種やその後のブースター接種の予約を取ろうと、常にSehhatyのアプリを更新していた。また、このアプリは、医療機関の予約、処方薬の記録、新型コロナウイルス感染症の検査状況の確認など、あらゆるヘルス関連データをチェックするのに便利なアプリとなった。

二聖モスクの地であることから、ハッジ・ウムラ省は2021年の初めに、礼拝者が再び集まることができるようにするための移行を支援するために、Eatmarnaという適切な名前の別のモバイルアプリを立ち上げた。

巡礼者は、聖地訪問の予約や、グランドモスクとノーブルローダでの礼拝の時間帯をリクエストできるようになった。

前述したアプリには共通点がある。それは、サウジアラビアでダウンロードすると最も便利なアプリとなったTawakkalnaと連動していることだ。銀行口座の開設や罰金の支払い、身分証明書の更新が一か所で行える。

2021年3月、Tawakkalnaは法的地位のない外国人に対応するためサービスをアップグレードした。これにより、居住者は最初にAbsherのアカウントを作らなくてもアプリをダウンロードできるようになった。サウジアラビアは、当初はダイヤルアップ接続のインターネット(主に家族共有のコンピュータでの利用)に消極的だった。しかし、同国は急速に発展し、今ではほとんどすべての人がスマートフォンを持たなければ生活できないほどになっている。

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