
アフシャン・アジズ
ジェッダ:サウジアラビアは相互に関わり合う多様で豊かな食文化の宝庫だ。この地域の飲食業界は、居心地よく視覚的にも魅力的な人々が集まりやすい雰囲気で、現代の社会生活の中心の一つとなっている。
以前は外食の店を選ぶのはとてもシンプルだった。新聞の批評記事や友人の勧めを参考にすればよかったのだ。だが今では、最新のレストランを誉めそやすInstagramの投稿やTikTokの動画、食通ブログがインターネット中にあふれている。
これは、テクノロジーと顧客の好みがいかに私たちの食生活に予想もしなかった変化をもたらしてきたか、幅広い食の喜びを味わうように誘惑してきたかを物語っている。
いくつかの調査で、ほとんどの人はソーシャルメディアの写真だけを参考に店を選んでいることが明らかになった。だが、出てくる食事はその見た目と同じくらい素晴らしい味なのだろうか?答えはもちろん、主観的なものだ。
「料理がただ目を惹くだけで味が良くなければ、自分は投稿しない」と、FacebookとInstagramで食に特化したページ『About Jeddah』を運営するアブドゥラ・アルガローシャ氏はアラブニュースに語った。
「最近、料理は特にソーシャルメディアに投稿することを目的にデザインされている。シンプルな料理も最近では明るい華やかな色遣いで他にはない独特な創造性が見られるようになった。食としての質も素晴らしいこともあるが、時には実際に美味しいかどうかは考えず、見た目がきれいかどうかだけでつくられているものもある」
食通ブロガーのアッバス・アブ・カメリア氏は、ソーシャルメディアでおよそ99万8千人のフォロワーがいる。彼は嘘のないレビューを書くことや良い料理の写真を撮ることに興味があり、美味しい食事を提供する質の高いレストラン以外はレビューをしないことにしている。
デロイトの調査によれば、Instagramで「#food」のハッシュタグがついた投稿の数は約3億4千万、「#foodie」は約1億2千4百万だという。消費者は、ソーシャルメディア上では二の次となる味よりも、料理がいかに視覚にアピールするかに基づいて選択しているという。
多くの人にとって、外食体験はもはやただ美味しい食べ物や飲み物を楽しむだけでなく、思い出を写真や文章として残せるような体験を創り出す行為になっている。今の時代、お客は美味しい食事と素晴らしいサービス、そして最高の写真を求めているのだ。
「消費者は今、これまで以上にデジタル媒体に依存するようになった。競争に生き残るために我々が実施しているマーケティング戦略の一つは、ソーシャルメディアのプラットフォームやデリバリーのアプリ上で宣伝することだ」と、「Ms. Moh」ベーカリーのオーナー、ルバ・モータセブ氏は言う。「うちに来るお客の多くは、Instagramや他のソーシャルメディアに投稿できるようなユニークな体験を求めている。だから、こちらは求められているものを提供する」
「でも、サウジアラビア国内のローカルな飲食店レビューアプリがあればよかったと思う。人々がもっと簡単に街にどんな店があるのか、新しい店はあるかなどを知ることができるだろうから」
飲食業界の起業家のほとんどは、最高の食事や外食体験を検索するためのアプリの存在を受け入れ、活用する時がきたと感じている。飲食店検索サイトやレビューアプリでは、消費者や著名な評論家による率直で嘘のないレビューと評価とともにメニュー、所在地、連絡先の詳細などを紹介されており、近くに良いレストランを見つけるのに便利だ。このようなアプリを使えば、高評価でお手頃な価格のレストランで素晴らしい食事を楽しむことができる。
F & Bマーケティング・コンサルタントで、The Foodies Inc.の料理評論家であるアーメッド・ダーウィシュ氏は、次のように語っている。「我々は現在、消費者が飲食店の選択肢を評価や料理の種類、人気度によって比較検討できるアプリを制作中だ。また、このアプリでは我々の視点からのレビューだけでなく、他の食を愛する人々からのレビューも提供する予定だ。また、店を決めるのがより簡単になるような「ロマンティックなレストラン」「寿司屋」「デザートが食べられる店」などのトップ10を集めた、気軽に見られるナレッジベースも作成するつもりだ」
The Foodies Inc.は飲食店オーナーが店の認知度を向上させるのを支援し、サウジアラビアの各地で質の高い食を求める食通の人々をターゲットにしたコンサルティング・サービスだ。飲食店オーナーとよりオープンで直接的な関係性を築くため、Foodies Inc.はSAUDIA Radioでアラビア語のポッドキャストと独自の英語での番組の配信を開始した。