
ザイド・カショギ、サーレハ・ファリード
リヤド/ジェッダ:サウジアラビアに住むウクライナ人たちは、家族や友人の安全を心配し、母国の出来事に危機感を募らせながら、ニュースを見ている。
「ミサイルとサイレンの音が常に鳴り響き、この地区では爆発が発生、そして防空壕だ」と、ジェッダに住む23歳のウクライナ人のカテリーナ・トカチェンコ氏は語った。「これが、戦争が始まって以降に入って来たニュースだ」
ロシア・ウクライナ危機は、壊滅的被害を与え、多くの人々を避難させることとなり、爆発で空は明るく光り、国中で空襲警報が鳴り響いた。
アラブニュースの取材に応じた人々は、状況は「壊滅的だ」と説明する、故郷の愛する人たちからの興奮した様子の電話を受ける中で、恐怖と不安の気持ちを明かしてくれた。
トカチェンコ氏は、自宅に留まることを決断した友人や家族は、廊下に毛布やマットレスを置き、万が一爆発が発生してもガラスが飛び散らないよう、窓にテープを貼っていると述べた。
「私の愛する人は、今、キエフ中心部にいます。鎖骨を骨折しているので、シェルターには行けませんでした」と、トカチェンコ氏はアラブニュースに語った。「彼は一人で家に留まっており、今のところ、そこが彼にとって最も安全を確保できる場所になっています」
トカチェンコ氏は、新型コロナのパンデミックがもうすぐ終わるという期待から、自身と友人たちがそれぞれの将来について話し合い、進路を選び始めていた矢先に、その全てが止まってしまったと語った。
28歳のオレナ・ソロドブニク氏は、ジェッダの美容院で働いている。彼女は、自身も家族も戦争が起きていることが信じられず、全くもって無力だと感じていると語った。
「家族全員が別々の都市にいるので、それぞれの運命がとても心配です。この状況で何が起きているのかを理解するのはたやすいことではなく、何もできません」と、ソロドブニク氏はアラブニュースに語った。「両親が今、パブログラードで安全に過ごせていることを、神に感謝しますが、子どもたちと共にキエフの近くに住んでいる妹のことを祈り、心配しています」
パブログラードはウクライナ東中央部の都市・自治体で、ドニプロペトロウシク州の中に位置している。人口約10万人のパブログラード郡の行政の中心地だ。
「親類の一部は、出国したり、西のカルパチア山脈(中欧と東欧にまたがる山脈)へ向かったりすることができました」と、ソロドブニク氏は述べた。「最悪なのは友人たちで、今もキエフにいて、防空壕に隠れ、地下鉄で夜を過ごしています」
「私の毎日の生活は、みんなに電話し、メッセージを送り、生きていることを確認することから始まるのです。今起きていることは恐ろしいことです。人生に対する心構えや価値観が変わってしまいます」
「『愛してる』『おやすみ』『またね』『気をつけてね』と言う度に、それが最後の機会で、その人に告げる最後の言葉になるかもしれないと思うことになるので、本当に怖いのです」と、トカチェンコ氏は述べた。
サウジに22年間住んでいるイリーナ・ブロクシャム氏は、リヤドからニュースを追い掛けている。同氏はアラブニュースに次のように語った。「私たちの家族や、ウクライナ全体に何が起こるのか、とても心配しています。そして一方で、これは『国のために我々は何ができるか』ということを考えます」
リヤドの渓谷リゾート、ブライラでレクリエーション責任者として働くブロクシャム氏は、次のように付け加えた。「故郷の家族のことが心配なのに加えて、国や国家が完全に破壊されてしまうのではないかと恐れています。でも私たちは強く、ウクライナはすぐに自由になるでしょう」
ロシア国境近くのハリコフ出身のブロクシャム氏は、故郷から離れているのは、この重大な時にはとても大変だと語った。また、彼らは恐怖を感じながらも、ウクライナの人々、軍人、女性、子どもたちが脅威に対処する様子を非常に誇りに思っていると述べた。
「私たちは負けていません。私たちは戦う人間であり、勇敢です」と、同氏は述べた。
ジェッダに住むアリョーナ・マリノフスカヤ氏は、アラブニュースに対し、戦争が勃発するとは誰も予想していなかったと語った。同氏は、家にいるときにネットでニュースを見たのだと述べた。
同氏は3年前に国を出たものの、ウクライナには今も家族や友人が住んでいる。ロシアとウクライナの危機が深刻化して以降、同氏は毎日3時間ごとに家族と連絡を取り、無事を確認してきた。
「今のところ、みんな無事で、そのことを知り、嬉しく思っています」と、同氏は述べた。「残念ながら、これは戦争であり、私たちはこの壊滅的な状況を生き延びようとしています。早く切り抜けたいです」
ブロクシャム氏もマリノフスカヤ氏も、例え状況が厳しくても、同胞のウクライナ人と共にいることや、何とかして彼らを助ける必要性を感じている。