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ドバイ万博2020に出展していない国がない理由

ドバイ万博2020は世界の全ての国家が参加する初めての国際博覧会であると公に主張するに足るものだ。(提供写真)
ドバイ万博2020は世界の全ての国家が参加する初めての国際博覧会であると公に主張するに足るものだ。(提供写真)
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20 Nov 2021 02:11:47 GMT9
20 Nov 2021 02:11:47 GMT9

レベッカ・アン・プロクター

ドバイ:タリバンが権力を掌握し、アフガニスタンが混乱状態に陥っていたことを鮮明に記憶するドバイ万博2020訪問客が多い10月の第1週、アフガニスタン館は閉館していたが人目を引く場所であった。

同館は開催国アラブ首長国連邦(UAE)の支援もあり、その後開館した。レバノン・イエメン・シリア・バハマなどのパビリオンにおいても同じストーリーが展開された。

サステナビリティ地区に位置するアフガニスタン館には絨毯・宝石・短剣・骨董装飾品・伝統民族衣装などが数多く展示され、何世紀にもわたってさまざまな文明や帝国が交差してきた地理的立場からもたらされた同国が持つ文化的に多様な伝統を表現している。

サステナビリティ地区にあるアフガニスタン館。(提供写真)

同館で展示されているのは、1978年に共産主義勢力が権力を掌握するなかで父親に促されてその混乱から逃れたオマール・ラヒーミー氏の収集品だ。アフガニスタンを脱しオーストリアに向かったラヒーミー氏は父親がカブールで経営していた骨董品店から商品を持ち出していたが、それらの品が現在万博のアフガニスタン館で展示されているものだ。

アフガニスタン館の開館にはラヒーミー氏自身の決意と献身に合わせてUAE政府の尽力があった、と情報筋はアラブニュースに語った。

開催国UAEの政府が多大な支援を施したが、同時にラヒーミー氏もまた同パビリオンがアフガニスタン政治の気まぐれさの犠牲とならないよう努力した。

経済が危機的状態に陥り、統治もままならない国々のパビリオン建設・管理費用を引き受け保証する、ということの理論的根拠は「出展しない国が出ないこと」を目指すドバイ万博2020の姿勢にある。公衆教育、新たな発明の共有、進歩の促進、協力関係の構築を目指す国際博覧会という世界的イベントの最新版がドバイ万博2020である。

(国連が認める)世界192ヶ国全てがドバイ開催において独自に設計されたパビリオンで出展することは万博のミッションのひとつである。

結果としてドバイ万博2020は万博の歴史の中で初めて全ての国家が参加し、機会や経済的可能性をもとに参加するいかなる主体も不利な立場に置かれない開催回となっている。

アフガニスタンと同様に、政治的混乱・経済危機・社会的問題に直面するレバノンの参加もまた驚くべき偉業といえる。同国では停電や燃料不足、政情不安から中央銀行の金融システム崩壊まで課題が山積みになっている。

政治的混乱・経済危機・社会的問題に直面するレバノンの参加は驚くべき偉業といえる。(提供写真)

オポチュニティー地区にあるレバノン館内部ではアートワーク・デザインオブジェクト・工芸品・ファッション・郷土料理など同国の豊かな創作活動の粋が集められている。

「当館の空間とその建設はUAEからレバノンに対して寛大に送られた助成金によるものです」と語るのはレバノン経済省のムハンマド・アブ・ヘイダー事務局長だ。

「UAEは良い時も悪い時もレバノンおよびその国民と常に共にあるため、支援は驚くことではありませんでした。助成金がなければレバノンは世界最大の博覧会に出展できなかったため、私たちはとても感謝しています」と同氏は述べた。

同館ではレバノンの製造・販売業者がネットワークを築き、また新たな貿易や提携の機会を探ることができる場が提供されている。

「万博のオポチュニティー地区にあることでレバノンは他の文化や観念、成功談と触れ合うことができ、このことからレバノンの経済や人々の暮らしに利益をもたらすあらゆる機会の恩恵を得ることができるのです」とアブ・ヘイダー氏はいう。

シリア館も同様だ。サステナビリティ地区にある同館は「我々は共に起ち上がる」というテーマのもと、世に知られる最古のアルファベット(音素文字)と音の記譜法の発祥の地であるシリアの歴史に対する敬意を現代アート・デザインと合わせて表現している。

同じくサステナビリティ地区にあるシリア館の総費用は全てUAEが負担した。(提供写真)

「2011年の内戦勃発以来シリアは危機状況にあります」とシリア館のハラ・カヤット顧問は語った。

「解決しなければならない国内の問題が多く、ドバイ万博2020に参加することは元来国家として可能とは思わなかった夢でした。しかしパビリオンの費用を負担してくれたUAEの寛大さのおかげで、幸運にも世界に対してシリアが誇るものを展示するという新たな章を始めることができたのです」と同氏は述べた。

「1国家1館」という公約のもとUAEは全ての国家が参加できるよう建築術・設計の手引きを提供していた。

世界規模のイベントへの参加は経済的手段や文化的影響力に依存される場合が多い。それらが不足する国は脇へと追いやられ、もしくは全く参加できないこともある。

「私は2015年のミラノ万博で大多数のアフリカ諸国がそれといった特色を持たない1軒の大きな建物にまとめて設置されていた様子を覚えています」と語るのは万博2020芸術・文化担当のアフメド・アル・エネズィ上級支配人だ。

「それぞれの国が直面する経済的な苦境や紛争にかかわらず、全ての国が出展できるようUAEが取り計らったことはとてつもない偉業です」と同氏はいう。

万博2020のミッションは文化同士の「異花受粉(相互交流)」のための国際的な場を提供することである、と語るのはドバイ万博2020の広報担当マハ・アル・ガルガウィ氏だ。

「参加国数は192ヶ国あり、最も国際的な万博であるだけでなく、最も包括的なものです」と同氏は述べた。

助成金や支援の恩恵を受けたのは中東や中央アジアのUAE近隣諸国だけではない。西インド諸島の北東端に位置する群島国家バハマの場合を見てみよう。

高級リゾートなどお金持ち向けの観光産業やオフショア銀行の存在で知られるバハマ諸島だが、自然災害と新型コロナウイルスの影響が合わさり同国の経済は前例を見ないほど困難な状況に直面している。

バハマ館のメッセージはドバイ万博2020の「より持続可能な生き方による環境との調和」という共同体としてのビジョンと結びつくものだ。(提供写真)

「元来バハマはドバイ万博2020において国立バハマ大学の建築学生徒を用いて15,000平方フィートの面積を誇るパビリオンを自作で建設する予定でした」とバハマの在UAE・カタール大使トニー・S・ジョウディ氏は語った。

「その約束を行った後、大型ハリケーンがバハマを直撃し経済基盤に大ダメージを与え、数千人の死者を出し多くの人が家を失いました。

「その後2020年には新型コロナウイルスの大流行が起き、バハマもその波に飲み込まれ、医療体制が大きく後退し、経済にさらなる損害を与え、バハマの人々の暮らしはさらに厳しい状態となりました。」と同氏は続けた。

サステナビリティ地区にあるバハマ館のメッセージはドバイ万博2020の「より持続可能な生き方による環境との調和」という共同体としてのビジョンと結びつくものだ。

「UAEは我が国が示す目的について非常に協力的かつ寛大で情熱的であり、さまざまな形でバハマを助けてくれました。助けが必要な友人が受けるに足る権利や特権を全て与えてくれたのです」とジョウディ氏は述べた。

ドバイ万博2020の広報アル・ガルガウィ氏はこう言い換えた。「全ての国が声を持ち、そしてここでは全ての国が平等な立ち位置にあるのです。万博の歴史の中で初めて経済や地理をもとに国々が分け隔てられていないのです。1国家に1館なのです。

「ドバイという都市ならびにUAEという国家が全世界のためのプラットフォームである、というUAE指導者のビジョンから成り立っており、それが万博2020の目指すものでもあるのです」

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ツイッター: @rebeccaaproctor

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