
ラワン・ラドワン
ジェッダ:ハッジは、年に一度の聖地メッカへの宗教的巡礼であり、毎年何百万人もの世界中からのイスラム教徒が行っている。イスラム太陰暦(ズル・ヒッジャ)の12月の8日から13日の間に行われる。
今年のハッジはほぼ7月7日から12日に行われる。一生に少なくとも一度は巡礼に参加することが、健康で実践可能な財力のあるイスラム教徒にとっての大きな義務だ。毎年200~300万人が6日間の儀式に参加する。
今年は100万人の巡礼者が聖地に集まるが、その85%は国外から来る人々だ。新型コロナウイルスパンデミックとそれに伴う制限により国外からのハッジができなかった2回を経て、3年ぶりの国外巡礼者受け入れとなる。
巡礼者が円滑で安全な旅をできるように、サウジ政府は一連の入国条件を発表した。
ハッジの実行を希望する巡礼者は、65才未満で、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種を完了している必要がある。また、出発前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明を提示しなければならない。以前にハッジを行ったことがない人が優先される。
預言者ムハンマドに続く14世紀の間、巡礼者は純粋で献身的な精神状態で旅を始めた。この状態はイフラームと呼ばれ、ハッジを行うために必要なニーヤとタルビーヤという聖なる行為を合わせたものだ。ニーヤは礼拝行為を行うための固有の意志であり、タルビーヤはイフラームに到達することを願って唱えられる特別な祈りだ。
メッカに入った巡礼者は、はじめにタワーフ(カーバ神殿の周りを黒石から始めて反時計回りに7周回ること)を行う。その後、サファーとマルワの丘に向かい、サイー(2つの丘の間を7往復すること)を行う。
巡礼者はその後、ズル・ヒッジャの8日(ヨム・アル・タルウィヤ)に、メッカのグランドモスクから5キロメートル近く離れた20平方キロメートルの地区ミナへ行き、そこに滞在し祈りと祈願を昼夜続け、長く危険な旅を前に休息し水を飲む。
ハッジ2日目、巡礼者は20キロメートル離れたアラファト山に行く。この日は祈りと祈願に捧げられ、ズフル(正午)の祈りと、日没までのアスル(午後)の祈りを行う。
アラファトの日は、巡礼者にとっても巡礼をしていない何百万人もの人々にとっても、最も重要な日と考えられている。この日は「(イスラム暦で)前後の年の罪を償う」日であり、一年の中で礼拝と祈願に最適の日なのだ。
日没後、巡礼者はアラファト山を下りて、イシャー(夜)の祈りのためにムズダリファへ向かい、翌日の投石儀式に備えて指先ほどの大きさの石を集め、深夜か夜明けまで休息した後、ハッジの最終段階であるジャマラート・アル・アカバでの投石儀式のためにミナにはるばる戻る。
ハッジ3日目(イード・アル・アドハー)、巡礼者はジャマラート・アル・アカバという大きな柱に向かって石を投げる。預言者イブラヒムが悪魔に向かって7つの石を投げた場所だ。その後、巡礼者はイフラームの服を脱ぎ、捧げ物の動物が屠られ、男性は頭髪を切るか剃るかし、女性は指先の長さの髪を切って、ハッジ巡礼の終わりを祝う。
3日間(アヤム・アル・タシュリーク)、巡礼者はミナに滞在し、アル・ジャマラ・アル・ウスタとアル・ジャマラ・アル・スグラという他の2本の柱に投石を行う。
サウジアラビア当局は、ハッジのために何年も前から準備するとともに、毎年大きな計画を立てる。群衆をコントロールするための、大人数の巡礼者のグループ分けや、柱がある橋に到着する具体的なタイミングやルートの指定などだ。
何千人ものボランティア、軍隊、警察、医療関係者が、巡礼者をサポートするために待機する。イスラム教徒にとって最も神聖な旅を行っている神の客人をもてなすことは聖なる義務だと多くの人が信じているのだ。
サウジのハッジ当局は、テクノロジーの力を利用して、「アッラーの訪問者」の移動を容易にし、ミナやアラファトなどの目的地やテントへ迅速に到着できるようにするために、今年も巡礼者のスマートIDを導入する。また、11言語で儀式の説明を行うタッチスクリーン付きのロボットも利用できる。
ハッジ・ウムラ省は、アウカフ総局と連携して、13の詳細な電子マニュアルを公開した。これは世界中から来る巡礼者に対して、様々なトピックに関するアドバイスを14言語(フランス語・トルコ語・ペルシャ語・ウルドゥー語・ロシア語・アムハラ語など)で提供するもので、全てのスマートフォンOSに対応しており、guide.haj.gov.saから利用できる。
同省がツイッターに投稿した動画によると、「このガイド電子マニュアルはインタラクティブで、ハッジ巡礼者が必要とするシャリーアとイスラム法、手続き・組織・健康上の指示を掲載している」とのことだ。