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リヤドの鼓動する心臓、ディルイーヤ・ゲート開発局が設立5周年を迎える

サウジアラビア誕生の歴史的中心地であるディルイーヤのアル・トライフ地区が再び勢いを帯びてきている。ユネスコ世界遺産に登録された場所が世界中からの注目を集め、この地に雇用を創出している。(提供)
サウジアラビア誕生の歴史的中心地であるディルイーヤのアル・トライフ地区が再び勢いを帯びてきている。ユネスコ世界遺産に登録された場所が世界中からの注目を集め、この地に雇用を創出している。(提供)
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05 Aug 2022 05:08:45 GMT9
05 Aug 2022 05:08:45 GMT9
  • 年間3,000万人が訪れる世界最大の文化遺産都市を目指す、サウジアラビアの最新観光地
  • 500億ドルのプロジェクトを担当するディルイーヤ・ゲート開発局は、最近、サウジアラビアの「働きがいのある会社」リストに掲載された

ヌール・ヌガリ

リヤド:想像してみてほしい。G20加盟国の統治者が住む歴史的な都市に、あらゆる階層のコミュニティが集まり、ネットワークを形成している。新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の大流行で2年間もロックダウンされていた人類が待ち望んでいた、交流と友好を促す歩行者向け都市。これこそがディルイーヤが実現する姿であり、その象徴なのである。

5年前、ディルイーヤ・ゲート開発局(DGDA)は、サウジアラビア政府から「サウジアラビア王国発祥の地」を世界レベルの持続可能な観光、娯楽、文化の観光地として再開発するという任務を請け負った。

完成すれば、500億ドルの巨大プロジェクトは、伝統的なナジュド建築様式で建てられた世界有数の豪華なレストランやホテル、そして環境保全地域と共に文化施設を擁することとなる。

リヤド郊外に位置するディルイーヤは、ワディ・ハニファから分岐したオアシスに沿って湾曲しており、かつて文化や商業の中心地として栄えた泥レンガ造りの壁でできた砂漠の都市である。

その有名な城塞があるアル・トライフ地区は、元はサウジアラビアのアール・サウード一族の権力の座であった場所である。1727年に首都に指定され、後のサウジアラビア統一の基礎が築かれた。


リヤドから車でたったの15分、キング・ハーリド国際空港から25分にあるディルイーヤ・ゲートは、この地域を訪れる観光客を惹きつけるのに適した場所に位置する。(提供)

それから約3世紀を経た2010年、アル・トライフ遺跡はユネスコの世界遺産に指定された。そして2017年7月、アル・トライフの歴史的遺産を蘇らせることを目的とした、綿密な修復計画の対象となったのである。

「ディルイーヤは、サウジアラビア王国発祥の地であり、アール・サウード王家がかつて住んでいたユネスコ世界遺産「サウジアラビア王国の宝石」アル・トライフに隣接しており、サウジアラビア王国の景観の中で非常に特別な位置を占めています」と、ディルイーヤ・ゲート開発局グループCEOのジェリー・インゼリロ氏は述べた。「ディルイーヤは象徴的な観光地となるでしょう、そしてサウジアラビアおよび、より広範なアラビア半島の物語が始まった場所と同義となります」

ディルイーヤの開発の主な目的の一つは、サウジアラビアの特色を示す自然の美しさと豊かな文化の両方に恵まれた環境で、世界トップクラスのレジャー、ホスピタリティ、小売を提供することにより、国内、地域、および国際的な観光を活性化することである。インゼリロ氏は、「観光客は、従来にも増して教養があり、技術があり、賢く、鋭敏で、他では味わえない体験を追い求めていることが分かっています」と述べています。

「観光客は、従来は不可能だったことを可能にする場所を訪れるだけでなく、本格的な文化体験を提供するパイオニアになりたがっているのです。私たちの業界は、こうした世知に長けた好奇心旺盛な旅行者に向けて、新しいものや本物への欲求を満たすような観光地をキュレーションすることが、これまで以上に重要になってきています」

リヤドから車でわずか15分、キング・ハーリド国際空港から25分の場所に位置するディルイーヤ・ゲートは、地域の観光客を惹きつける好立地に恵まれている。

ヨーロッパ、アジア、アフリカが交差する場所に位置し、世界の人口の70%が8時間、30%が4時間のフライトでアクセスできる。広さ11平方kmの中に文化、歴史、ライフスタイルが混在するこの地は、世界最大の文化遺産都市となり、2030年までに年間約3,000万人の観光客の誘致を目標としている。

その他の文化財には、1万人の参拝者を収容できるグランドモスク、サウジアラビアの歴史に焦点を当てた6つの博物館、そして充実した時代村が含まれる。(提供)

完成後は、少なくとも28箇所のラグジュアリーホテルとリゾート、約400店舗の世界最高級のラグジュアリー&ライフスタイルブランド、150店舗以上の高級レストランとプレミアムカフェが出店する予定だ。

ワディ・ハニファでは、地元の養蜂を体験でき、8kmの乗馬コース、7.5kmに及ぶ由緒あるラクダの隊商交易ルートを楽しむことができ、バリリ・ディルイーヤ野生動物保護センターではこの地特有の動物と出会えるなど、アウトドア活動を中心に観光を提供する予定である。

しかし、ターゲット市場は観光客だけではない。伝統的なナジュド建築様式の住宅が3,000戸以上、さらに300戸以上の高級ブランド住宅が建設される予定だ。

ナジュド建築の建設とディルイーヤの本格的な修復のため、約1億8000万個の手作りの泥レンガが用いられ、ナジュドの生活様式をさまざまな面で忠実に再現している。

また、ナジュド建築や泥レンガ建築、詩、鷹狩り、コーラン朗読、地元の演劇、ダンス、音楽、料理などに特化した複数の文化機関とともに、遺産、文化、芸術に焦点を当てた全く新しい学術機関であるキング・サルマン大学がこの地に創設される予定である。

他にも、1万人以上の巡礼者を収容できるグランドモスク、サウジアラビアの歴史に焦点を当てた6つの博物館、時代村、世界遺産のアル・トライフは言うまでもなく、この地域の農業遺産を紹介するアル・タレー・センターなどの文化財も建設予定だ。ディルイーヤ各地にはスークやバザールも割り当てられる。

完成すると、この場所には少なくとも28の高級ホテルとリゾート、約400の世界的な高級ブランドやライフスタイルブランド、150以上の高級レストランと高級カフェが設けられる予定。(提供)

このような取り組みは、より広い地域でも注目されている。ディルイーヤは2030年のアラブ文化の首都に選ばれている。すでにJAXアートフェスティバルやディルイーヤ・コンテンポラリーアート・ビエンナーレを開催しており、芸術的・創造的な動きを支援し、サウジアラビアの文化的変容に対応するためのプラットフォームとなっている。「文化と遺産はディルイーヤで私たちが行うすべての基礎であり、開発のあらゆる段階において私たちの戦略に織り込まれています」とインゼリロ氏は語った。

「私たちの原点は、ディルイーヤが何よりもまず文化の地であることです。それが、他の複合用途開発やギガプロジェクトとは違うところで、私たちDGDAは、サウジアラビアの壮大な遺産の管理者であり、この遺産を保存し、共有し、世界と共に称える特権を与えられているという事です」

この復興計画の核となるのは、環境の持続可能性だ。

この計画は、サウジアラビアの持続可能性目標の達成に大きく寄与するもので、「サウジ・グリーン・イニシアチブ(SGI)」や、サウジアラビアの経済多様化と社会改革の指針「ビジョン2030」に沿ったものとなっている。

敷地内の造園には、在来種や耐乾性のある種が使用され、灌漑の需要を減らすことで節水につなげている。また、ワディ・ハニファの由緒あるナツメヤシ農園など、プロジェクト内のワディや断崖の修復と保護も行われている。

一方、DGDAでは、二酸化炭素排出量の削減に貢献しているという。こうした努力は、既に成果を上げているようだ。DGDAは最近、ディルイーヤ開発の第一段階において、持続可能性、ネットゼロ、公平性の目標に向けた進展が認められ、「LEED for Cities and Communities」のプラチナ事前認証を取得した。

この開発では、屋外スペースを活用し、20箇所以上の野外イベントスペースがある野外広場、ワディ・ハニファとアル・トライフを見渡す3kmの急斜面の散歩道、2平方km以上のワディ・ハニファ公園、原生ヤシや新しく植えられたヤシの木、子供の遊び場などが特色となる。また、健康、フィットネス、ウェルビーイングを考慮し、スポーツ・レクリエーションセンター、全長9km以上のサイクリングコースも建設される予定だ。

ディルイーヤは、今後も多くの重要なスポーツイベントの開催が予定されている。個性的な道路網を持つこの地は、長年にわたり、この世界的に有名なフォーミュラEレースイベントの開催地として人気を博してきた。また、ディルイーヤでは、中東では初開催のヘビー級ボクシング選手権「クラッシュ・オン・ザ・デューン(砂丘の上の対決)」も開催された。ディルイーヤに集まるビッグネームは、スポーツブランドだけではない。この会場では、先日、世界屈指のジュエリーブランドであるカルティエの展覧会が開催された。

こうした急速な発展の中でも、企画担当者は地元住民のことを見失ってはいない。「ディルイーヤ卒業生育成プログラム」では、すでに70名の卒業生を迎え、スキルアップと就労の機会を案内している。

また、地域の情報交換の場として「ディルイーヤ・タウンホール」を設置し、リサイクルの仕組みの立ち上げや、地域医療の支援のための定期的な献血活動も行っている。

「特に誇りに思っているのは、ディルイーヤの人々が目標を達成できるようにするDGDAの取り組みとその成果です」とインゼリロ氏は言う。「DGDAはこれまでも、そしてこれからも、地域社会を称え、社会的・文化的・歴史的業績を紹介し、サウジアラビアの国家のルーツとつながり、地域社会の可能な限り最善の未来を築くための確固たる土台を築いていきます」

サウジアラビア人労働者を優先する雇用創出は、政府のサウダイゼーション推進に伴い、特に重要な課題となっている。

DGDAの従業員の約85パーセントはサウジアラビア人で、そのうち36パーセントが女性、そのうち16パーセントが管理職の女性だ。ディルイーヤ出身者は全従業員の14パーセントを占めている。

このサウジアラビア王国の鼓動は、世界中から集まった個性的な人々を称えながらも、地元住民を尊重し、愛する街の発展に地元住民が参加するよう奨励している。

2020年9月以降、DGDAのスタッフ数は2倍以上に増え、現在では1,000名以上を雇用している。DGDAは職場環境と従業員の満足度に基づいて組織を評価する世界規模の調査である「働きがいのある会社」のサウジアラビアのリストに掲載された。インゼリロ氏にとって、この計画の成功の重要な指標は、その経済効果である。

「長期的には、ディルイーヤがサウジアラビアのGDPに貢献し、推定5万5千人の雇用を創出し、目標の年間3千万人の観光客を呼び込むことができれば、成功でしょう」と同氏は言う。しかし、一般のサウジアラビア国民に国家としての誇りを植え付けることが、最大の目標である。

「ディルイーヤは、単なるギガプロジェクトではありません。なぜなら、ディルイーヤは、サウジアラビアのアイデンティティと魂を支えるものであり、魂はお金では測れないからです」と同氏は語った。

「魂は、その魂の文化と人々で見極められます。だからとても大切なのです」

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