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サウジのウクライナへの惜しみない人道支援の実態と一致しない認識

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15 Aug 2022 02:08:04 GMT9
15 Aug 2022 02:08:04 GMT9
  • 認知度は低いが、サウジアラビアにはウクライナ難民に対して寄付を行ってきた実績がある
  • 1000万ドルの支援パッケージがUNHCR、WHO、サウジアラビアのKSreliefによって締結されたばかり

ラワン・ラドワン

ジェッダ:ロシアとの戦争によって被害を受けたウクライナ人をサウジアラビアは支援していないという認識は、現実に全く即していない。

難民を支援し戦争を解決するというサウジアラビアの確固たる決意は、侵攻が開始された時から明らかだった。支援の約束に見合った寄付が行われ、既に大きな成果を上げている。

ウクライナの戦争難民に対する1000万ドルのサウジ人道支援パッケージが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界保健機関(WHO)、サウジアラビアを代表する人道支援機関によって締結されたばかりだ。

1000万ドルの寄付金の約半分は、サルマン国王人道援助救援センター(KSrelief)を通した配布に割り当てられている。

4月、サルマン国王はKSreliefに指示して、この金額の緊急支援を行い、ウクライナ難民に対して(ポーランドにいる難民を優先して)「緊急医療・避難所支援」を提供した。

ポーランドのワルシャワで難民を支援している結核・肺疾患研究所を訪問する、KSrelief統括責任者のアブドゥラー・アル・ラビーア博士。(提供写真)

サウジ通信の報道によると、王立裁判所顧問でKSrelief統括責任者のアブドゥラー・アル・ラビーア博士は、現在訪問中のポーランドにおいてサウジアラビアの約束を果たし、人道的状況についてポーランドの人々やUNHCRおよびWHOの職員と話し合った

報道によると、アル・ラビーア博士はいくつかの医療機関・施設を訪問し、時間を取って、戦争で荒廃した自国を離れてワルシャワに避難してきたウクライナ難民の何人かに声をかけた。

難民センターに滞在しているウクライナ人の一人はアル・アラビーヤ・ニュースチャンネルに対し、「本当にありがとうございます。助けてくれているセンターに感謝します。ここの状況は見ての通りです」と語った。

「私たちは皆ウクライナから来て、とても酷い状態でした。皆様のおかげで状況は改善しました。ありがとうございます。世界中が平和になることを願っています」

ポーランドとウクライナの国境で、アル・ラビーア博士はWHO、KSrelief、ポーランド政府の協力関係を称賛した。同博士は、WHOポーランドが公開した動画の中で、「WHOとの提携関係に誠に感謝している。我々の協力により、ポーランドや他の国の難民や困窮した人々に大きな支援を提供することができた」と述べている。

KSreliefは、ポーランドにいるウクライナ人のための緊急対応措置を支援するために寄付を行った。緊急医療用品・機器が届けられ、100万人以上の困窮する人々がその恩恵を受けた。

サウジアラビアによるウクライナ難民支援は、85ヶ国以上におけるよく知られた人道支援の延長線上にある。ところが、サウジアラビアは同じOPECプラス加盟国のロシアとつながりがあるのでウクライナ侵攻の肩を持ったのだと、いくつかの報告がほのめかしている。

サウジアラビアは政治的・人道的イニシアティブを取って、全当事者に対して交渉のテーブルに着き対話と外交を通して戦争を解決するように呼びかけているにもかかわらず、その努力は一部の方面から疑いの目で見られている。

米国政府系の公共政策シンクタンクであるウィルソン・センターが3月に発表した報告は、サウジアラビアは「ロシア側に付くことを決めており」「バイデン大統領ではなくプーチン大統領を選んだ」と主張しており、原油価格を高止まりさせるために政治的駆け引きをしていると非難している。

サウジアラビアは交戦当事国間の仲裁をすることや、近隣湾岸諸国と共に原油増産を行うことを繰り返し申し出ているにもかかわらず、このような意見が出てきたのである。

2月にロシア軍が侵攻してきたことで、何百万人ものウクライナ難民が急に国を去ることになった。(AFP)

戦争を終わらせる方法という問題に対する立場が欧米とアラブの間で違うからといって、どちら側も人道的緊急事態に対処することを止めてはいない。

サウジアラビア側としては、ウクライナで進行中の戦争を終わらせることは至難の業だが、我々はこの問題をアラブ地域で進行中の危機と同様に扱っていると繰り返し主張し、人間の苦しみはあらゆる紛争において等しいこと、暴力は解決策ではないことを強調してきた。

3月、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下はロシアのウラジミール・プーチン大統領に対し、両国を仲裁するためにあらゆる努力をする用意があると伝えた。

サウジアラビアは、ポーランドの難民センターでの避難生活を余儀なくされているウクライナ人に対して数百万ドルの人道支援を提供している。(AFP写真)

5月には、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、サウジアラビアの外相であるファイサル・ビン・ファルハーン王子がウクライナのドミトロ・クレーバ外相と会談し、危機について議論した。

その一週間弱後、ファイサル・ビン・ファルハーン王子はリヤドを訪問したロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談し、全関係者にとっての安全と安定を実現するために政治的解決に至ることの重要性を強調した。

ラブロフ外相の訪問と湾岸協力会議諸国の閣僚らとの会談の詳細はほとんど発表されなかったが、この訪問もやはりサウジアラビアがロシアを支持している証拠だと誤解された。サウジアラビアや他の湾岸諸国は中立を保ち、ウクライナの戦争を「公正な文脈で」扱い、困窮した人々に支援を提供することを選択しているにもかかわらず。

6月には、ファイサル・ビン・ファルハーン王子はサウジアラビアの立場をさらに明確にした。王子は6月1日、湾岸協力会議の第152回閣僚会合の開会スピーチにおいて、「ロシアとウクライナの危機に関する我々湾岸諸国の立場は統一されている」と述べた。

2月のロシア軍による侵攻以降、何百万人ものウクライナ人が国を去ることを余儀なくされた。(AFP写真)

「今日我々は、ロシアとウクライナの閣僚が参加した2つの実りある会合を行い、両国の危機とその負の影響、すなわち被害を受けている国と世界における食料安全保障に関する統一された立場を表明した」

この戦争の間は中立を保ち人道支援を優先するというサウジアラビアの決断は、世論の文脈でも見てみる必要がある。最近アラブニュースとユーガブが共同で実施した調査では、対象となった1000人以上のサウジアラビア人のうち、14%が米国のジョー・バイデン大統領にこの戦争に対する責任があると回答しており、21%がNATOに責任があると答えている。

回答者の多数がこの戦争へのNATOの関与に対して懐疑的な見方を表明している一方、41%は誰に責任があるのか分からない、あるいは確信が持てないと答えている。

この戦争が始まってから、40以上の国、組織、個人が支援を約束し、その一部はウクライナを逃れた630万人の難民や国内に留まった人々に届けられた。ただ、約束された支援と実際に届けられた支援との間には著しい落差がある。

メキシコのティフアナの体育館で米国への入国許可を待つウクライナ難民たち。2022年4月9日。(AFP)

これまでのところ、欧米諸国の大半は人道支援よりも軍事支援を優先している。

キール世界経済研究所によると、米国はこれまでで最も多い238億ドルの軍事支援を約束したが、人道支援には89億ドルしか割り当てていない。

それ以降金額は増えてはいるが、比較的低い増加率に留まっている。同様に、EUは123億ドルの軍事支援を約束したが、人道対応や支援パッケージには14億ドルしか割り当てていない。

戦争発生以降、欧米とアラブ諸国は、戦争の解決の必要性が人道的緊急事態への対処に劣らず差し迫っていることをしっかりと認識してきた。

先月、ジョー・バイデン大統領はジェッダを訪問してサルマン国王およびムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下と会談した。双方はエネルギー、安全保障、ウクライナ危機を含むいくつかの懸案事項について話し合った。

 

会談するサルマン・ビン・アブドルアジーズ国王と米国のジョー・バイデン大統領、立ち会うムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下と米国のアントニー・ブリンケン国務長官。2022年7月15日、ジェッダのアル・サラム宮殿。(SPA)

バイデン大統領がサウジアラビアを後にした直後、アデル・アル・ジュベイル外務担当国務相はCNBCに対して事実関係を明確にした。「最初から言ってきたことだが、我々は国連総会決議、力の乱用を承認しないこと、国家の主権とその尊重を支持してきた」

「この状況に対する平和的な解決を求めてきた。すなわち、戦闘を停止して交渉のテーブルに付き、相違点を平和的に解決することだ」

「我々の懸念は、一方がエスカレートすることでもう一方もエスカレートしてしまうことだ。気づかぬうちに状況が制御不能に陥る可能性が高まり、我々全員が代償を支払うことになる」

さらに、アル・ジュベイル国務相はこう述べた。「我々はロシアとウクライナの両方に接触し、平和的な停戦に向かうように求めてきた。他の多くの国々と同様に、我々も両国への関与を継続していく。そして、戦争や紛争は意図しない結果をもたらすということ、戦場で向かい合って戦うよりも交渉のテーブルで向かい合って議論する方が良いということを彼らが認識できるようになることを期待している」

一方、人道支援に関するサウジアラビアの約束には実行が伴っている。

金曜日、サード・アル・サレー駐ポーランド・サウジ大使と共に、KSreliefのアル・ラビーア博士がポーランドのジェシュフにあるUNHCRの倉庫施設を訪問した。彼らは共同で、ウクライナ難民支援のためのサウジアラビアによる1000万ドルの寄付のうち既に提供された支援を視察した。

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