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サウジアラビアで自家用操縦士課程が増加

スポーツ航空機免許のための訓練を提供しているスクールもある。この免許があれば、小型のスポーツ航空機(操縦士と乗客を含む最大積載量が600kg以下)を操縦することができる。(提供写真)
スポーツ航空機免許のための訓練を提供しているスクールもある。この免許があれば、小型のスポーツ航空機(操縦士と乗客を含む最大積載量が600kg以下)を操縦することができる。(提供写真)
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18 Sep 2022 08:09:44 GMT9
18 Sep 2022 08:09:44 GMT9
  • サウジアラビアでは、自家用操縦士スクールが増えたことで、免許を取得してレクリエーションのために飛行する道が開かれた

ジョージ・チャールズ・ダーレイ

リヤド:「自家用飛行」というフレーズからは、リアジェットでモンテカルロとバハマの間を飛ぶ億万長者のイメージが連想される。しかし、特にサウジアラビアでは、驚くほど手頃な価格で簡単にこの世界に入ることができるのだ。

サウジアラビアでは、自家用操縦士スクールが増えたことで、普通の人々が自家用操縦士免許(PPL)をわずか数ヶ月で取得する道が開かれた。スポーツやレクリエーションとして2、3人の乗客を乗せて飛ぶことができるようになるのだ。ただし営利目的の飛行はできない。

ジェッダのすぐ北にある「ラービグ・ウイングス航空アカデミー」で主任地上教官を務めるアブバカル・モハメド機長が手順を説明してくれた。

「まず、17歳以上である必要があり、高校修了資格を持っていることが望ましいです。最初に英語によるクラス分け試験があり、6つのレベルのうち4つ以上に合格する必要があります」

「犯罪歴調査のほか、民間航空総局(GACA)に認可された特定の診療所で健康診断と薬物検査を受ける必要があります」

「全てに合格すれば、自家用操縦士課程に登録され、60時間の地上訓練(理論面)を受けます」

それが終わると、飛行訓練が始まる。飛行訓練は最低35時間で、最初は教官と一緒に、それから単独で飛行する。訓練生は、短い滑走路や芝生の滑走路での離着陸や夜間飛行の方法を習う。航空機を中空でストールさせ再始動する訓練もある。

「訓練生をGACAの基準にまで高めることが目的です」とモハメド大尉は言う。「口頭・筆記・実技の最終試験を実施して免許を発行するのはGACAだからです」

GACAの筆記試験はコンピューターを使った選択式の試験で、その後にはGAFAによる操縦能力の最終評価が行われる。

全プロセスには3~4ヶ月かかり、受験料を含む費用総額は約6万サウジリヤル(1万6000ドル)だ。

オンライン教材を使って必要な情報を独学して直接GACAの筆記試験を受けることもできる。その方が安上がりだが、現実の教室でプロの教官から教わるという実体的な経験や訓練生仲間との友情を逃すことになる。

スポーツ航空機免許のための訓練を提供しているスクールもある。この免許があれば、小型のスポーツ航空機(操縦士と乗客を含む最大積載量が600kg以下)を操縦することができる。教官が付いての飛行と単独での飛行をたった20時間行えば取得できるが、やはり完全なPPL課程のような実体的な経験は得られない。

GACAの筆記・実技試験に合格すれば、晴れてPPL保持者だ。軽量単発機で飛ぶことができるようになる。

他の種類の航空機、例えば水上機や双発機を操縦するには、より高度な免許が必要だ。また、PPLで可能なのは「有視界飛行方式」だけだ。これは、視界不良の条件下では飛行できないということである。悪天候のもとで操縦するには、追加の訓練・試験を受けて計器飛行証明を取得する必要がある。

大半の訓練生はPPLを商用操縦士としてのキャリアへの足がかりと見ているが、単純に楽しみのためや冒険的な週末のスポーツとして飛びたいと思っている人も多い。

しかし、リヤドのすぐ北にあるタママの「サウジアラビア航空クラブ」で安全・訓練責任者を務めるイスラム・サイード・グウェイド機長は、航空機の操縦はいくつかの面で人生を豊かにするものだと見ている。

「第一に、航空機を操縦している時は、今という瞬間に100%集中することで、日常の問題やストレスの全てから離れることができます」

「第二に、リーダーシップや意思決定能力が高まります。航空機を飛ばすことには大きな責任が伴い、全てが操縦士である自分にかかってくるからです」

「第三に、多くのことを学ぶことができます。気象条件、気象学、地形のほか、航空機の技術面や空港の仕組みも学べるのです。また、コクピットから世界を見ると、現実が非常に異なって見えます」

「最後に、この趣味により他の趣味に行くこともできます。。ターイフでゴルフをしたい時やヤンブーでスキューバダイビングをしたい時はひとっ飛びで行けるのです」

航空機を購入するのに何百万ドルもかかるとは限らない。中古のスポーツ航空機(4人乗りのセスナ・スカイホーク172など)は25万サウジリヤルから購入可能だ。所有権をシェアすればもっと安上がりになる。

モハメド機長は、サウジアラビアを自家用飛行にうってつけの場所として勧める。「空域の大半において制限が比較的少ないからです。例えばロンドンだと、ヒースロー空港、スタンステッド空港、ガトウィック空港、ルートン空港、多数の軍事基地があり、航空交通が非常に多いため、入るのも出るのも本当に大変です」

「サウジアラビアでは使用できる飛行経路の選択肢がより広くなります。しかも、実に様々な目的地がある大きな国です。上空からサウジアラビアを見るのは最高ですよ」

自家用操縦士を志望する人たちに向けたグウェイド機長のアドバイスの言葉は「楽しもう!」だ。

「『訓練を終えたい、免許を取らなければ』と言う訓練生もいますが、そういう人たちに私は『リラックスしてマイペースでやろう。その方が、免許を取らなければというストレスがなくなって、もっと多くのことが学べるようになるよ。免許を取ることが全てじゃない。これは旅なのだから楽しまなくちゃ』と言います」

「アラビア語には『幸せと共に飛ぶ』という表現があります。私たちは文字通り幸せと共に飛んでいるのです!」

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