
フランク・ケイン
ダボス:ビジネス、社会政策、文化、テクノロジーの各界から約3千人のリーダー達が、1月21日(火)から開催される世界経済フォーラム(WEF)に参加すべく、アルプスの山間にあるダボスの街に集結する。
今年の年次総会は、「持続可能で団結した世界へのステークホルダー」をテーマとしており、今回はこのスイスのリゾート地での50回目の開催となる。しかし、今年は気候変動と地政学的対立関係をめぐる緊張が世界的に高まりつつある中での会合となった。
先週、WEFは世界的なリスクに関する年次報告書を発行したが、かつてなく深刻な内容となっており、世界の専門家達は加速する環境破壊や、世界の数カ所でみられる政治的な一触即発状態を大いに懸念している。
サウジアラビアは、内閣閣僚アッサーフ(Dr. Ibrahim bin Abdulaziz Al-Assaf)国務大臣を筆頭に55人の各界リーダー達が構成するトップトップレベルの代表団を派遣する。
閣僚並びに各業界、財政・経済界のトップの他、サウジアラビアの多くの代表者らが二国間会談や補佐的役割、そして誰もが知るWEFを通してのネットワーク構築を目的として参加する。
サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ皇太子も、昨年エネルギー相に任命されてから初めてのWEF年次総会へ参加することになっている。防衛省次官カーリド・ビン・サルマーン皇太子も同行する。
サウジアラムコのCEO アミン・ナセル氏は、昨年この大型石油会社が新規株式公開(IPO)を成し遂げ、今回初めて上場企業の最高責任者として参加する。
サウジアラビアがその果敢なるビジョン2030戦略を加速させている中、同国とWEF との関係はますます強化されている。
今年後半、リヤドはWEF のある会合を主宰することになっている。これは「第四産業革命の中心」という旗印のもとに開催され、これはWEFの設立者で議長をつとめるクラウス・シュワブ氏の構想によるもの。
「G20 主宰の直前に我々はサウジアラビア王国を歓迎し…社会に役立つような方法でそれらのテクノロジーを形成していくことを望みます」とシュワブ氏は述べた。
サウジアラビアや、アラブ首長国連邦を始めとする他のペルシャ湾岸諸国からの積極的な参加と対照的に、イランは全面的に総会から退いた。今月初旬、同国のカセム・ソレマーニ最高司令官が米国の攻撃で殺害されたことから、イラン周辺での政治的緊張が高まっていることが原因だ。
ドナルド・トランプ大統領はWEF年次総会へ大きな米国代表団を率いて参加する。大統領就任以来二度目の出席で、昨年は欠席した。彼は総会開会式の場で基本方針演説を行うことになっている。
ほとんど常に氷点下にある雪の多いダボスでは、気候変動とその影響が間違いなく大きな議題となると思われる。
若き環境問題運動家グレタ・トゥーンベリ氏も、「気候のヨハネ黙示録を回避する」という セッションなどに参加する予定だ。
彼女は環境破壊につながる公共交通機関を使わないと誓い、ダボスまでアルプスの山間を徒歩にてやって来た。
ダボス2020は以下の7つの主要テーマに分かれる。健全な未来、いかに地球を救うか、より良いビジネス、地政学的問題を超えて、永遠に持続するテクノロジー、より公正な経済、社会と仕事の未来。
気候変動に関して、WEFはこう述べる。「地球の気温は上昇し、氷が溶け、海洋は海面が上昇してプラスチックだらけです。動植物の種族が滅び、温室効果ガスが増大し、手遅れになりつつあります。鬱々とした状態にならざるをえません」
高まりつつある地政学的緊張状態について、さらにこう述べる。「地政学的な問題や国際競争を離れ、完全な地球レベルでの協働関係に戻る必要があります。世界の国々は変わっていかなければなりません」
アルプスのリゾート地へヘリコプターやリムジンで世界のエリートたちが続々と乗り付けるといった華々しいWEFのイメージを変えようと、WEF は世界のどこからでもダボスへの1等列車のチケットを半額にて提供した。