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サウジアラビアの宇宙ミッション、科学への貢献を目指す

この実験は、気象種まき技術に関する研究者の理解向上にも資するもので、多くの国で降水量の増加に貢献する。(シャッターストック)
この実験は、気象種まき技術に関する研究者の理解向上にも資するもので、多くの国で降水量の増加に貢献する。(シャッターストック)
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20 Mar 2023 05:03:11 GMT9
20 Mar 2023 05:03:11 GMT9
  • 実験は細胞科学から微小重力下での人工降雨まで多岐にわたる

アラブニュース

リヤド:サウジアラビア宇宙委員会は、サウジアラビア人宇宙飛行士のラヤナ・バルナウィ氏とアリ・アル・カルニ氏が、今年予定される国際宇宙ステーション(ISS)滞在ミッションの一環として実施する任務と科学研究を明らかにした。

同委員会の発表では、宇宙飛行士2名が飛行中に微小重力下で11件の先駆的実験を実施し、その成果は宇宙探査と人類への奉仕におけるサウジアラビアのグローバルな地位を高めることにつながる。

サウジアラビア人宇宙飛行士、ラヤナ・バルナウィ氏。(SPA)

関係者によると、宇宙空間で実施されるサウジアラビアの実験は、人間研究や細胞科学から微小重力下での人工降雨まで多岐にわたる。

人工降雨実験では、微小重力下でプランクトンや塩の微粒子に水蒸気を凝結させ、降水量を増やすためにサウジアラビアなどで利用されている気象種まきをシミュレーションする。

アシュラフ・ファラハット博士が責任者を務め、キング・ファハド石油鉱物大学のために実施されるこの実験は、月や火星に建造される宇宙植民地で人間が生活するのに適した状況を生み出す、人工降雨その他の新たな手法を科学者や研究者が考案するのに役立つ。

この実験は、気象種まき技術に関する研究者の理解向上にも資するもので、多くの国で降水量の増加に貢献する。

バーダー・シラー博士が代表を務めるサウジアラビアのネビュラ研究開発は、宇宙空間での滞在が人間の健康に及ぼす影響の理解向上を目指す、宇宙飛行士による6件の実験をISSで予定している。

サウジアラビア人宇宙飛行士、アリ・アル・カルニ氏。(写真/@AstroAli11)

この実験では、脳血流や脳の電気活動の測定、瞳孔の非侵襲的評価による頭蓋内圧評価、視神経の経時的変化のモニタリングなど、新しい神経科学ツールを利用する。

神経系の健康のモニタリング向上は、将来の宇宙飛行の安全性を高め、迅速で非侵襲的なモニタリングの開発や、早期介入、対策の開発に道を開く可能性がある。

また、血液や生体試料を採取して、宇宙飛行に関連するマルチオミクスバイオマーカーを調べ、染色体やテロメアの長さ、構造、エピジェネティクスの変化をマッピングする。

世界的に名高いキング・ファイサル専門病院・研究センターと、同施設に所属するハリド・アブ・カバール博士、ウィジダン・アルフマディ博士、エドワード・ヒッティ博士の科学者チームが主導する細胞科学実験では、微小重力下でのヒト免疫細胞の炎症反応を調べる。

具体的には、炎症を停止させるプロセスである、メッセンジャーRNA(タンパク質の合成に必要)の崩壊の変化に注目する。また、同じ細胞モデルを利用して治療応答を模倣する。

乗組員は地上で分析用RNA試料を採取し、研究者は地上でRNAの発現パターンをモニタリングし、これにより数千個のmRNAの半減期が測定されることが期待される。

その成果を通じて、宇宙空間での健康に対する理解が増し、宇宙と地上の双方における炎症性疾患のバイオマーカーや治療法の発見につながると予想される。

これらの実験に加え、教育省、マウヒバ、リヤド校、ミスク校と協力して、ISS搭乗中にリアルタイムでサウジアラビア全土の生徒とつながる3件の教育啓発研究が実施される。

生徒が地上で行う実験と、ISSのサウジアラビア人乗組員が行う実験をリアルタイムで並置させ、宇宙科学やその地上における生活の質向上への貢献についての生徒の知識を増すことを目指している。

実験環境が実際にどのような影響を結果に及ぼすかを、生徒はじかに目撃することができる。一方は地上で、もう一方は宇宙で同時に作業する共同実験において、リアルタイムの通信により、生徒はサウジアラビア人乗組員の生の姿にアクセスできる。

サウジアラビア宇宙委員会の取り組みは、質の高い教育・訓練プログラム、科学実験への参加、国際研究、将来の宇宙関連ミッションなどを通じた、未来の宇宙飛行士やエンジニアの育成を目指すものである。

そのすべてが、サウジアラビアの地位向上やビジョン2030の目標達成に貢献するだろう。

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