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中東での米国の現実主義の欠如に力を得て、中国が世界の「調停者」に浮上:サウジアラビアのアナリスト

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08 Apr 2023 01:04:34 GMT9
08 Apr 2023 01:04:34 GMT9
  • 「中国は世界の超大国のあるべき姿を示している」と研究者のサルマン・アル・アンサリ氏はアラブニュースに語る
  • サウジアラビアが主導する「平和の津波」が起きており、サウジアラビアは自らを「グローバル・イコライザー」だと捉えていると同氏はいう

ラマ・アルハマウィ

リヤド:サウジアラビアの政治アナリスト、サルマン・アル・アンサリ氏は、中東では「平和の津波」が起きているとし、イランやトルコとの国交回復を通じて、現在サウジアラビアは「戦争に戦争を仕掛けている」と述べた。

金曜日のアラブニュースのインタビューで、アル・アンサリ氏は、イラクの政治理論家オマル・アブドゥルサタール博士の「サウジアラビアは戦争に対して戦争を仕掛けている」という言葉を引き合いに出した。

またアル・アンサリ氏は、湾岸諸国における中国の新たな役割や、従来アメリカの存在感があった場所において、他の大国がどのようにその空白を利用しているかという質問にも答えた。

これは、中国の習近平国家主席の後援のもと、北京で行われた会談を受けたもので、イランとサウジアラビアは3月10日の会談が成功したことを発表した。この対話の結果、2カ月以内に国交を回復し、かつ大使館を再開することが合意された。

「中国はイランに対して実質的な影響力を持つ唯一無二の国家であり、世界各国から制裁を受けているイラン政権にとって、中国は唯一の息抜き的存在でした」とアル・アンサリ氏は語った。

イラン政権には一つの選択肢がある、と政治アナリストのアル・アンサリ氏は語った。「イランは軌道修正して、革命的な隣人ではなく、普通の隣人のように振る舞うか、あるいは中国の友人たちから罵倒され、見捨てられるか、どちらかです」

歴史的な経緯を見ると、中国と中東の関係は貿易、経済、投資が中心であった。

ここ数年、中国はこの地域での政治的関係を拡大し、最終的にはアル・アンサリ氏が言うところの「世界平和の調停者」となるべく外交課題を強化することに関心を高めている。

「中国は、自らを世界平和の調停者と位置づけ、合理的な大国とはどうあるべきかという模範を示したいと考えています。全体として、サウジアラビア、イラン、中国の三国が揃っての勝利だと思います」

中国は中東関係に多大な投資をしてきたが、米国は中国に焦点を当て、中東の和平合意を促進するためのアプローチに関しては、傍観していたのである。

「米国が中東から離脱したとは思いません。しかし、おそらく彼らは敏捷性と現実主義では関与しなかったのでしょう」とアル・アンサリ氏は語った。

また、イラク侵攻、オバマ・ドクトリン、バイデン政権による最近の過ちを引き合いに出し、「2003年以降の中東政策に関して、米政権が多くの実質的な過ちを犯したことは間違いない」と語った。

「しかし、それはそれとして、米国は昔も今も、そしてこれからも、サウジアラビアにとって最大の戦略的パートナーであり続けるでしょう。米国の一部の当局者の判断ミスによって、この歴史的な関係をお蔵入りさせるわけにはいかないのです」

2022年7月16日にサウジアラビアが主催した「ジェッダ安全保障開発サミット」において、ジョー・バイデン大統領は改めて次のように述べた。「米国は、中東に対して積極的な関与を続けるパートナーであり続けるでしょう」

「私たちは、中国、ロシア、イランが埋めるべき空白を残して立ち去ることはありません。私たちは、アメリカの積極的なリーダーシップの原則で現段階を築き上げることを目指します」

バイデン大統領のサミットでの演説以来、中国はサウジアラビアとイランの外交関係の和解を調停し、サウジのファイサル・ビン・ファルハーン外相とイランのホセイン・アミラブドラヒアン外相との複数の会合を主催している。これらをきっかけに、サウジアラビア、中国、イランの三国間で国交回復に向けた合意がなされた。

アル・アンサリ氏は、サウジアラビアが自らを「グローバル・イコライザー」として掲げる役割について、「当分の間、米国とうまく共鳴しないかもしれない」と語った。

また、「しかし、この新しい現実を正常化する助けとなるのは、時間のみだと思います」とも述べた。

また、中国の調停によるサウジアラビアとシリアの国交再開の動きも、ここ数カ月で見られるようになった。

2022年3月23日にアルエクバリヤ・テレビが報じたように、サウジアラビアとシリアは、両国間の領事業務再開に向けて協議中である。

アル・アンサリ氏は、中国が中東を世界で最も重要な地域の一つとみなしているのは、「中国のエネルギー輸入の40%が中東からの輸入である」という事実をはじめとする3つの理由によるものだと語った。

第二に、中国主導のインフラ整備戦略である「一帯一路」構想が、サウジアラビアとイランを通過することである。

第三の理由は、善への力として世界の舞台に立ちたいという中国の野心だ、とアル・アンサリ氏は繰り返した。

では中国は、さらに中東の他の問題を解決しようとするところまで積極的に役割を拡大するのだろうか。この数週間で、さらに悪化したイスラエルとパレスチナの紛争などである。

中国外務省は、中東問題担当特使の発言を引用し、「中国は、パレスチナ問題の早期かつ適切な解決を促進するために引き続き尽力していく」と述べた。

中国政府の中東問題担当特使である翟隽(ザイ・ジュン)氏は、北京で中東特使と会談した際、「中国は、イスラエルがパレスチナやレバノンと対立を深めていることを深く懸念し、すべての当事者、特にイスラエルに最大の冷静さと自制を求めている」と述べた。

最近のエスカレーションは、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化の可能性をさらに遅らせることを意味するのか、と問われたアル・アンサリ氏は、ボールは現在イスラエル側のコートにあり、イスラエルはパレスチナ人との問題を解決する必要があると述べた。

「サウジアラビアとイスラエルの和平はすぐにも実現するのでしょうか。私自身はそう願っていますが、同時に、ボールは今、イスラエル側のコートにあり、彼らはこの地域の平和への機運をつかむべきだとも思っています。もちろんです」とアル・アンサリ氏は語った。

 

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