
東京:日本の映画業界には見直しが必要だ。少なくともこれが、高い評価を受けている深田晃司監督が考えていることで、漫画からの適用に依存することを減らし、アートハウスにより高い資金をかけ、従業員の待遇をより改善することを呼びかけた。
40歳になる同監督の最新映画、『本気のしるし』が今年のカンヌ映画祭で主な選出作品に選ばれた。新たな才能として審査員賞を勝ち取った4年後のことだった。
フランスで派手に集まることは今年のコロナウイルスが原因で中止されたが、これで深田氏には、映画業界について懸念していることを自宅で考える時間がさらにできた。
中でも、映画業界は独創的なアイデアに頼るよりも人気漫画を採用することに過度に依存していると思う、と彼は取材中にAFPに語った。
漫画からの適用に反対しているわけではなく(彼の最新映画もその内の一つ)、ジャンルの普遍性が「多様性にマイナスの効果」を与えると警鐘を鳴らしているのである。
「非営利の映画を日本で制作するのは難しいです。日本では、多くの重要な事柄は市場性に傾きがちですから」と彼は述べた。
日本の映画業界は長きにわたり、アニメ化された作品を通して最大の国際的成功を手にしてきた。最もよく知られているのは、数々の賞を獲得したスタジオジブリにより制作された作品である。
しかし、こうした傾向は近年、昨年のアカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされた是枝裕和氏の2018年のドラマ、『万引き家族』(貧しい家族が生き延びるために犯罪に手を染めてしまう物語)で変わってきた。
だが、日本はアートハウスの映画に政府資金は提供せず、スタジオはヒット間違いなしだと分かる作品を支援し、リスクを最小限に抑えることを好んでいる。
「この調子では、日本の映画業界は衰退してしまう」と深田氏は警鐘を鳴らした。
彼は数十作の映画を製作しており、2010年にヒットしたコメディードラマ『歓待』から2016年に賞を受賞した『淵に立つ』まで様々だ。
これらの作品は、外国嫌いや孤独、後悔や復讐に至るまで様々なテーマに取り組んでおり、家族の中に隠された秘密や嘘を巧みに暴いている。
しかしここ数ヵ月間、彼は積極的に行動し始め、パンデミック以前でさえ彼が言うところの「絶滅の危機に瀕した」日本のアートハウス映画のために、クラウドファンディングのキャンペーンを開始した。
「アートハウスはお金をほとんど稼いでいない人たちによって所有されていることが多く、ただ彼らの映画への愛だけで運営されています」と彼は述べた。
「これは持続可能ではありません。コロナウイルスの第二波、または第三波に耐えられる資金システムを考案しなければなりません」
これまでに、仲の良い監督の濱口竜介氏と協力したキャンペーンで、3億3,000万円(310万ドル)以上の資金調達に成功した。
また、彼は日本の映画業界における労働状況の関心を高めるよう努めた。
「監督の中には映画製作が闘いだと考える人もいます」と彼は述べ、自身のキャリアを開始したころに殴られ蹴られ侮辱されてきたことを描写した。
#MeToo運動や待遇をより改善することに関連した呼びかけがハリウッドや世界中の映画産業で成功したが、深田氏によれば日本は依然として、ハラスメントを非難する人々に対して「非友好的な傾向」を示している。
彼の各種作品が、10月31日に開始する今年の東京国際映画祭で特別展示の一部として上映される。
「コロナウイルスの時代に、国民は彼の映画を観直す機会を得るべきです」と映画祭の監督、安藤紘平氏はAFPに語り、深田氏の「社会や不条理に対する批評眼」を称賛した。
彼の映画は孤立というテーマに向き合うことが多く、人々がパンデミックの中で家にいることを余儀なくされたため、今では鋭い視点となっている。
深田氏は、パンデミックが社会に与えた壊滅的な影響に細心の注意を払ったと述べ、ここ数ヶ月間の日本における自殺の増加を指摘した。
「毎日の生活、大切にしていたもの、愛する人が突如として奪われたのです」と彼は述べた。
彼の仕事は、孤独などの普遍的な主題に取り組む挑戦をすることである、と彼は述べた。
「孤独は私たち一人ひとりの中にあり、私たちは孤独とともに生きようと努力し、孤独を隠そうとしているのです」と彼は述べた。
「ですが常に孤独が再び現れる瞬間があり、それによって人生の意味を自問することになるのです」
AFP