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消えぬ爪痕、見えない未来=「身も心も」避難に疲れ―輪島朝市で黙とう・能登地震1カ月

交通事情も改善せず、道路損傷で渋滞が頻発。(AFP)
交通事情も改善せず、道路損傷で渋滞が頻発。(AFP)
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01 Feb 2024 07:02:46 GMT9
01 Feb 2024 07:02:46 GMT9

震度7を観測した能登半島地震の発生から1カ月を迎えた1日、石川県の被災地は厳しく冷え込み、積み重なるがれきの上に雪が舞った。まだ遠い日常。崩れた家屋や給水に並ぶ行列の様子は変わらず、不明者の捜索も続く。避難生活を送る男性は「身も心も疲れた」と、見えない先行きに不安な表情を浮かべた。

火災で焼け焦げた町並みが手つかずで残る輪島市の観光名所「朝市通り」では、出店で海産物などを売っていた店主十数人が訪れ、午後4時10分の地震発生時刻を告げる防災無線に合わせて黙とうをささげた。朝市組合の冨水長穀組合長(55)は「再興したいが、この光景を見ると未来が見えない」。全焼した自宅を毎日訪れる惣領和彦さん(53)も「戻りたいが、あの恐怖も思い出す」と整理がつかない胸の内を明かした。

津波で壊滅した珠洲市の鵜飼地区で、営む美容室を片付けていた岸田孝子さん(52)。連日作業しても、倒壊した店のわずかに残ったガレージを整理できただけ。やっとの思いで客から預かる振り袖を掘り出した。「何からやれば。生きるのに必死で日付もよくわからない」とこぼした。

避難生活は長期化し、珠洲市の飯田小学校にはまだ約90人が身を寄せる。プライバシー保護のためテントが張られるなど環境は改善したが、トイレはまだ満足に使えず、炊き出しの食事に生鮮野菜は少ない。同小から通勤する苗加さくらさん(20)は「避難者同士であいさつを交わしたり、歌ったりして暗くならないようにしている」と気丈に話しつつも「先を考え、現実に向き合うと不安もある」と声を落とした。

輪島市長井町の保靖夫さん(69)は農業用ハウスにシートを敷き、避難生活を送る。当初いた地区の30人のうち、半数超は市外に避難。輪島にとどまりたいが仮設住宅入居のめどは立っていない。

「身も心も疲れがたまる」とため息をついた。

断水も続き、七尾市の給水所には行列ができていた。同市内の商業施設は営業したがトイレはまだ使えない。主婦市川秀子さん(78)は毎日給水に並び、洗濯のため隣の富山県まで足を運ぶ。「あとは水だけ」と復旧を待ち望んだ。

交通事情も改善せず、道路損傷で渋滞が頻発。輪島市で仮設住宅を建設する業者は「金沢市から片道3時間だと、作業時間が取れず車中泊だ。道が良くなればもっと力になれるのに」と話した。

時事通信

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