リヤド:アラブ首長国連邦のスルタン・アル・ネヤディ宇宙飛行士が、サウジアラビアのラヤナ・バルナウィ氏とアリ・アル・カルニ氏の両宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに迎え入れ、アラブ世界は3人のアラブ人宇宙飛行士が初めて宇宙で一堂に会した歴史的瞬間を祝っている。
「スルタン・ビン・サルマン王子の先駆的な足跡を辿り、3人のアラブ人宇宙飛行士が宇宙で一同に会します」と、アル・ネヤディ宇宙飛行士はツイートした。
スペースXのドラゴン・フリーダムによりISSに赴くアクシオム・ミッション2(Ax-2)で、同機がKSA時間午後4時12分頃、宇宙側のポートへのドッキングに成功した。Ax-2ミッションでは、打ち上げからソフトキャプチャまでの経過時間を15時間35分とする新記録を打ち立てた。つまり、今回がフロリダ州のケネディ宇宙センターの発射台39AからISSへの最も効率が高く最速のトランジットとなったのである。
ISS到着までの数時間、軌道上で、サウジアラビアの宇宙飛行士たちは母国に宇宙からの挨拶を送った。
「私たちが微小重力を感じながらこうして旅をしていられるのは、サウジアラビア王国、そしてサルマン国王陛下と常に先見の明をお示しになるムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下という王国の指導者の方たちがこのミッションを支援してくださったおかげです」と、バルナウィ宇宙飛行士は述べた。
彼女は、続けて、「世界中の人々にお伝えします。未来はとても明るいので、大きな夢を抱いていただけたらと思います。自分自身と人類を信じてください」と語った。
アルカルニ宇宙飛行士は、サルマン国王と皇太子の「終わることのない励ましと支援、そして信頼」への感謝の気持ちを述べた。
彼は、「私だけではなく、すべてのサウジアラビア人にとって、歴史的な瞬間です。皆さんの支援、愛、信頼無しに私はこれを達成することは出来ませんでした」と付け加えた。
Ax-2の打ち上げは、サウジアラビア時間の真夜中過ぎに行われた。全国のサウジアラビア人が歴史の目撃者となるべく集った。多くの人々が、ライブストリーミングを利用して、宇宙船のドッキングとサウジアラビア人宇宙飛行士たちがISSに迎え入れられる様子に見入った。
サウジアラビア人が宇宙へ飛び立つという今回の記念碑的な飛行は、同国の持つ未来への熱い想いを反映したものであり、宇宙旅行への大きな飛躍を目指す次の世代への素晴らしい刺激となった。
「ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が述べられたように、サウジアラビア社会の熱意の限界は『空の彼方』です。今日、私たちは文字通りその空の彼方に向かって生きているのです」と、キング・ファイサル財団の事務次長補であるマンスール・ビン・サッド・アル・サウード王子は語った。
「サウジアラビアで初めて宇宙に到達した女性である彼女とアリ・アル・カルニ宇宙飛行士に幸いあれと祈りを捧げています。私はアルファイサル大学に祝意を伝えたいと思います。アルファイサル大学の卒業生のラヤナ・バルナウィ宇宙飛行士が宇宙に赴いたサウジアラビア初の女性となりました。歴史的偉業が達成されたのです。そして、これは、私たちのサウジアラビアの若いリーダーたちとの途方もない冒険旅行のほんの一部なのです」と、アル・サウード王子は続けて語った。
Ax-2の打ち上げには、教育省のアマル・シュケア奨学金担当副大臣が現地で立ち合った。
サウジアラビア側からの派遣団には、駐米大使のリーマ・ビント・バンダル王女、サウジアラビア宇宙委員会のアブドゥラー・ビン・アメール・アルスワハ理事長が含まれていた。
「宇宙飛行士たちを、そしてこのミッションを誇りに思う気持ちを、私たち皆が共有していたと私は思います。話題の的になっていました」と、シュケア教育副大臣は語った。
彼女は、「打ち上げを見ていたサウジアラビアの学生たちは皆、自国の2人の宇宙飛行士たちの後に続こうという気持ちになっていました」と続けた。
サウジアラビアの両宇宙飛行士の家族もフロリダの国際宇宙ステーションに集い、打ち上げに先立って別れの挨拶を交わした。
ラヤナ・バルナウィ宇宙飛行士の弟のアフメド氏は、サウジアラビアのミッションの開始への想いをフェイスブックへの投稿で語った。
「圧倒的な興奮、誇らしい気持ち、幸福感です。姉は一歩を踏み出すどころか、飛び立って行きます…宇宙へと」と、アフメド・バルナウィ氏は述べた。
宇宙へと飛び立った翌日、サウジアラビアの宇宙飛行士たちは、同国の若い世代の人々にとって英雄となり、模範となった。そんな若者の1人であるアンマル・アルアシリ君は、サウジアラビアの宇宙ミッションがもたらした喜びと興奮を語った。
父親のホッサム氏がツィッターにアップロードした動画で、アンマル君はサウジアラビアの宇宙飛行士たちに呼びかけ、彼の手作りの宇宙船を誇らしげに見せた。
サウジアラビアの宇宙ミッションの成功を祝い、ダーランのイスラは歴史的な偉業の記念として青く照らし出された。
今回の打ち上げと連動して、サウジアラビア宇宙委員会は、リヤド、ジェッダ、ダーランで3つの大規模な「サウジアラビア、宇宙へ」展を企画した。展覧会と付随のアトラクションは6月2日まで開催される。
若い世代を対象としたこの展覧会では、宇宙関連分野へのサウジアラビアによる研究貢献と科学的成果が重点的に紹介される。
リヤド開催の没入型・インタラクティブ宇宙展覧会の会場は、アブドッラー国王金融地区にある。大型スクリーンやインスタレーション、VR体験設備、スマートスクリーン、地表面に設置されたガイド標識から成る展示ゾーン、宇宙関連分野の専門家らが監修した体験設備のゾーン、そして、飲食を楽しみ休憩出来るゾーンという3つの主要区域により構成されている。
リヤド開催の展覧会会場では、ゲストの一部を対象として、打ち上げをライブ映像で見学出来る、プライベートなカウントダウン・ビューイング・パーティーも開かれた。
カウントダウンを待つ時間のために、コンベンションセンター側は、子供たちが夢中になれるような体験型プログラムも用意した。
ヌーラ・ビント・ハリード・アル・サウード氏は、12歳のバンダル君と8歳のムハンマド君という2人の息子を連れてビューイング・パーティーにやって来た。
バンダル君は、展示されている宇宙船の行程を見学し、宇宙服の細部に見入った。
「誰が宇宙に行くのか、いつ行くのか、宇宙飛行士たちはすべてをテストし、実験をするのだということを今日学びました」と、バンダル君はアラブニュースに語った。
ムハンマド君は、驚きとエネルギーにはちきれんばかりだった。宇宙に関するあらゆることに目を奪われていたムハンマド君は、今まさに為されつつある歴史的な偉業を目撃することに興奮していた。
「サウジアラビアから女性が宇宙に行くのは初のことです。それなので、とてもワクワクしています」と、ムハンマド君はアラブニュースに語った。
Ax-2ミッションの乗組員は、ISS上で1日に日の出と日の入りを16回目撃することになる。ISSの国際実験室は、いくつもの科学的発見や発表、歴史的な科学上の躍進に貢献してきた。
サウジアラビアの宇宙飛行士たちは、ISS滞在中に、炎症性疾患や頭蓋内圧、視神経の変化のモニタリングなど14の実験を行う。降水量増加のためにサウジアラビアや他の国々で行われている雲の生成過程を模した人工雨実験も両宇宙飛行士により行われる予定となっている。
Ax-2は、ISS滞在に8日、上昇とドッキングに1日、アンドッキングと下降に1日の合計10日間のミッションとして計画されている。このミッションは、ISSへの完全プライベートのミッションとしては2回目である。