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サウジ・フランス関係は「飛躍的進歩」を遂げつつある:アーデル・アル・ジュベイル氏がアラブニュース・アン・フランセに語る

アラブニュースのファイサル・J・アッバス編集長からインタビューを受けるサウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル外交担当国務相。2023年6月19日、パリ。(写真:AN)
アラブニュースのファイサル・J・アッバス編集長からインタビューを受けるサウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル外交担当国務相。2023年6月19日、パリ。(写真:AN)
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20 Jun 2023 08:06:40 GMT9
20 Jun 2023 08:06:40 GMT9
  • サウジの外交担当国務相である同氏は、両国には「自国を上のレベルに引き上げるためのビジョン、野心、勇気を持った若い指導者がいる」と言う
  • サウジは2030年万博の開催地となるうえで「良い位置」につけており、それはムハンマド・ビン・サルマン皇太子のパリ訪問によって後押しされると同氏は言う
  • 気候特使でもある同氏は、クリーンで再生可能なエネルギーの欧州への供給に向けたサウジの動きや、水素電力に関するパートナーシップを称賛する

ファイサル・J・アッバス | 編集長

パリ:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下のパリ公式訪問が今週も続く中、同国のアーデル・アル・ジュベイル外交担当国務相はパリでアラブニュース・フランスに対し、サウジとフランスの関係は「飛躍的進歩」を遂げつつあると語った。

アル・ジュベイル氏は、「我々はサウジ・フランス関係の飛躍的進歩を目の当たりにしている」と言う。「サウジアラビアとフランスは何十年にもわたる戦略的パートナーであり同盟国だ。我々は、国際関係、国家主権、不干渉の原則、国際法の尊重などに関する見解を共有している」

「両国とも国民を信じている。若者や女性に力を与えること、機会を提供することの重要性を信じている。そして世界とつながることの重要性を信じており、世界とつながり合うために取り組んでいる」

「両国間の関係は非常に強力であり、これまでも非常に強力だった。そして、首脳間の個人レベルでその関係がさらに強まることに期待している。非常に強力な個人的関係だ」

皇太子殿下は先週末、公式訪問のためにパリに到着した。16日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領とエリゼ宮殿で会談し、二国間、地域、国際社会の問題について話し合った。

アル・ジュベイル氏の見方では、サウジ・フランス関係の強さは、年齢も見解も近い両首脳の価値観の共有に負うところが大きい。

「両国には、自国を上のレベルに引き上げるためのビジョン、野心、勇気を持った指導者がいる。それらの異なる要素が全て集まっているのだ」

「両国には、貿易・投資関係、文化・教育関係、人と人との関係をさらに強化する多大な機会がある。そのためには首脳会談を行うのが一番であることは明らかだ」

2030年万博誘致のためのサウジアラビアの公式レセプションに出席するムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下。2023年6月19日。(SPA)

「今回の訪問中には次のようなことが行われている。エリゼ宮殿での殿下とフランス大統領の会談、サウジのフランスへのビジネス・投資代表団の関連イベント、博覧会国際事務局の会議、そしてサウジアラビアによる2030年万博のリヤドでの開催への立候補の発表だ」

フランスがサウジからの支援を求めている問題の一つはウクライナだ。フランスメディアは最近、フランス政府はサウジがロシアとの関係を活用して紛争の平和的解決に貢献することを望んでいると報じた。

この報道に何らかの根拠はあるのか、あるいはこの問題に関して何らかの進展はあるのかというアラブニュース・フランスからの質問に対し、アル・ジュベイル氏は、捕虜交換、ウクライナの港からの穀物輸出の促進、交渉を通した紛争終結に向けた国際社会との連携などにおけるサウジアラビアの積極的な役割を強調した。

「課題への対処や障害の克服の方法についての対話や意見交換が、真剣かつ集中的な協議メカニズムを通して行われている。両国の目標は、中東地域および世界に平和と安定をもたらすことだ」

サウジアラビアとフランスをはじめとする欧州諸国との関係は戦略的パートナーシップ以外にも及んでいる。特に、世界がよりクリーンなエネルギー源への移行を進める中、エネルギー安全保障が重要な協力分野となっている。

長く炭化水素の主要な供給国であるサウジアラビアは今、欧州や中東の近隣諸国にクリーンで再生可能なエネルギー源を供給する方向に動いている。

「我が国は、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーに世界最大級の投資をしている」

「エネルギーを他国にもっと効率的に分配できるように、近隣諸国への送電線を建設している。また、欧州と協力して、彼らが必要とするグリーン水素を提供できるよう取り組んでいる」

「特にドイツや、ロッテルダム港があるオランダと協力している。ドイツはグリーン水素技術における戦略的パートナーだ。我が国はNEOMに世界最大のグリーン水素プラントを建設している」

「また、欧州に再生可能エネルギーで発電した電力を提供することにも取り組んでいる。欧州は今後数十年のうちに(再生可能エネルギー由来の)電力を30%まで高める必要があるからだ。彼らがそれを重要なものとして求めてきたら、我々はそのエネルギーの供給国になりたいと思っている」

「キプロスやギリシャともエネルギー協力や送電線に関する合意や了解覚書を結んでいる。エネルギーを欧州に効率的に届けるためだ」

アラブニュースのファイサル・J・アッバス編集長からインタビューを受けるサウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル外交担当国務相。2023年6月19日、パリ。(写真:AN)

サウジアラビアの再生可能エネルギーへの投資は、社会改革・経済多角化アジェンダ「ビジョン2030」、サウジ・グリーン・イニシアティブおよび中東グリーン・イニシアティブ、循環型炭素経済のための取り組みなどを通して実施されている、より広範な環境戦略の一環だ。

「サウジアラビアの気候アジェンダは非常に明確で極めて野心的なものだ」とアル・ジュベイル氏は言う。「重要なのは、いわゆる循環型炭素経済アプローチを導入することで環境・気候問題を全体論的に見ることだ。我々はそれらの問題に対し、画一的なアプローチではなく全体論的な方法での解決を目指している」

「我々が取っているアプローチは、より効率的かつクリーンなエネルギー生産、炭素の回収・隔離、人々が自動車を運転する時間を減らせるよう都市を効率化するべく再設計する取り組みなどだ(…)家電製品から公共の建物まで、あらゆる面でエネルギー消費の基準を改善することに取り組んでいる」

「我が国の循環型炭素経済のもう一方の面は、より効果的に炭素を回収するために自然を利用することだ。サウジアラビアの国土の30%を保護区として指定しており、今はそれを実行に移すため取り組んでいる」

NEOMのグリーン水素プラントは、再生可能エネルギーを100%使用したグリーン水素生産を2026年から開始する予定だ。(NEOM)

「世界の海の30%を保護区に指定する目標にも参加している。現在は約22%まで来ている。あと数年で30%に達するだろう」

「国際メタン誓約にも参加しており、メタン削減目標を倍加させた。これは昨年発表されたもので、さらに進めるための技術や能力を獲得できたので目標を倍加したのだ。そうしたのはG20の中では我が国を含め3ヶ国だけだった」

サウジアラビアのこれまでの成果の幅広さを考えれば、同国が2030年万博の誘致に高い優先度を与えていることは驚きではないだろう。実は、万博の開催年はちょうどビジョン2030が完了する年に当たる。

今週パリで開かれる博覧会国際事務局の会議で、皇太子殿下自身がサウジの万博誘致をプレゼンする。19日夜には誘致活動の一環として、179ヶ国が参加する公式レセプションに出席した。

皇太子殿下がリヤドへの万博誘致を推進するために自らパリを訪問しているのは、サウジアラビアが既にリヤド開催を確保したと考えていることを示しているのかというアラブニュース・フランスからの質問に対しては、アル・ジュベイル氏は次のように答えた。「投票は11月に行われる。我が国は良い位置につけている。殿下がここパリで代表団との話し合いやサウジの2030年万博誘致活動開始の監督をしてくださったおかげで、さらにずっと良い位置につけるだろう」

「皇太子殿下がここで万博誘致のプレゼンをされることには大きな意味がある。殿下はビジョン2030の推進力だからだ(…)誘致活動開始の時に殿下がここにいらっしゃることは、この万博へのサウジアラビアのコミットメント、そして万博とビジョン2030への殿下のコミットメントを伝えるという意味で大きなインパクトを与えることは間違いない」

もしリヤドが開催地となれば、万博会場はリヤドの文化財の永久的な一部となり成果の記念碑となるだろうとアル・ジュベイル氏は言う。

「サウジアラビアが構想している万博、殿下が計画を描いた万博は、前例のないものになるだろう」

「他に例のない万博になる。この万博には多大なリソースをつぎ込んでいる。一時的なものではなく永久的なものにしたい。リヤドの文化的風景の一部となることを望んでいる」

「投票の結果、光栄にもこの重要なイベントをサウジアラビア王国のリヤド市で2030年に開催することができれば、世界は我が国が実現できることに対して良い意味で驚くに違いない」

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