


ジェッダ:2023年8月4日金曜、中国外務省は、今週末にサウジアラビアで開催されるウクライナ戦争の平和的解決に向けた協議に、ユーラシア事務担当特別代表の李輝氏を派遣すると発表した。
「中国は国際社会と協力し、ウクライナ危機の政治的解決を推進するために建設的な役割を引き続き果たす意向である」と中国外務省の汪文斌報道官は述べた。
ウクライナと西側諸国の外交当局者らは、ジェッダで開催される約40カ国の国家安全保障補佐官や政府高官らが出席する協議で、将来の和平解決に向けた基本原則に合意することを期待している。
中国の参加はサウジアラビアの外交の成果である。中国は、6月下旬にコペンハーゲンで開催された前回の会合にも招待されていたが、出席しなかった。
サウジアラビアの外交が、中国政府に対しジェッダでの会合へ出席するよう説得する上で、重要な役割を果たしたとドイツ高官は述べた。
サウジアラビアの国営通信社SPAは、サウジアラビアはこの会議が「政治的・外交的手段を通じて危機を解決するための対話と協力」を強化するものになるとを見込んでいると報じた。
ウクライナと西側の当局者らによると、サウジアラビア政府が外交的に重要な役割を果たすことを望んでいると述べた
ワシントンDC に拠点を置くスティムソン・センターで、中国プログラムのディレクターを務めるユン・スン氏は、サウジアラビアが主催国であれば、西側諸国が仕組んだものとは見なされないため、中国政府にとってはより好都合だと語った。
EU高官はサウジアラビアは「(ウクライナの)古くからの同盟国が容易に交渉できない国々とも外交を行っている」と述べた・
和平10項目
2023年8月2日水曜、ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキー氏は、このイニシアチブが、自身が提示する10項目を土台とした和平原則の承認に向け、世界各国の首脳が参加する「和平サミット」が今秋、開催されることにつながるのではないかと期待していると述べた。
ゼレンスキー氏が掲げる10項目には、ウクライナの領土保全や、ロシア軍の撤退が含まれており、占領したウクライナ領土を永遠に併合したと主張するロシア政府とっては受け入れ難い。
ウクライナ、ロシア、および、国際社会の当局者らは、戦争が激化し続け、ウクライナが反転攻勢で領土奪還を目指す中、現段階で、ウクライナとロシアの間で直接的な和平交渉が行われる見込みはないと見ている。
しかしウクライナはまず、多くの国が中立を保っている、インド、ブラジル、南アフリカといったグローバル・サウス諸国に働きかけ、核となる欧米諸国を超えたより大きな外交的支援の連立を築くことを目指している。
今週初め、ロシア政府はジェッダで開催される協議を見守るとしながらも、現在ウクライナ政府と和平交渉を行う理由はないとする立場を改めて表明した。
ロシア政府報道官のドミトリー・ペスコフ氏は2023年7月31日月曜、「我々はどのような目的なのか、何について協議されるのか理解する必要がある」と述べた。
欧米諸国の外交当局者らは、今回の協議でゼレンスキー氏の和平10項目すべてが承認される可能性は極めて低いと言う。しかし、少なくとも国連憲章(国連の基本文書)に明記されている領土保全などの原則については、明確な支持を得たいと考えている。
アメリカやその同盟国は、中国主導の和平イニシアチブを受け入れることには慎重で、専門家らは、中国が会合で主導的な役割を果たすことについては懐疑的である。
戦略国際問題研究所の中東プログラム責任者のジョン・アルトマン氏は「中国が推し進めたい議題があるとは思わない」と言う。中国の参加は、威信を得ることと、中東およびグローバル・サウス諸国と接近する機会を得ることが動機である可能性が高い。
グローバル・サウス諸国を取り込むため、西側の当局者らは、ロシアが黒海を通じたウクライナ産穀物の安全な通航に関する合意を破棄し、ウクライナの港に相次いで空爆を行って以来、食料価格が急騰していることを強調すると述べた。
EUの別の高官は「我々はこの点をはっきりと主張する」と述べた。
関係者が会合の準備を進めるなか、ウクライナは黒海のロシア海軍に対しドローン攻撃を実施し、ロシア南部にあるノヴォローシスク海軍基地の揚陸艦オレネゴルスキー・ゴルニャクを損傷させた。
「ウクライナが当該地域のロシア軍艦を攻撃できると示すことが目的だった」とウクライナの安全保障関係者は述べた。
ウクライナ外務省は「もう1隻のロシア軍艦が沈没寸前だ」とし、大きく傾く軍艦の映像を公開した。
ウクライナの大統領府顧問ミハイロ・ポドリャク氏は「黒海からロシア艦隊は…いなくなるだろう。ウクライナは、世界の貿易のために黒海の自由と安全を確保する」と述べた。
ロイター