マナール・エルバス

ドバイ：エジプトのコンテンツ・クリエーターMeowlyVAは、アニメのシーンのアラビア語吹き替えを投稿することからコンテンツ制作のキャリアをスタートさせたが、2010年代に日本で登場したストリーミングの一種であるバーチャルストリーミング（VTubing）に出会い、彼女のキャリアを急上昇させた。彼女は今、アラブ世界でバーチャルストリーミングにポジティブなイメージをもたらし、その汚名を返上したいと考えている。

「アラブのコミュニティではまだ賛否両論あり、アラブ人はまだVTuberを受け入れる準備ができていないと思います」と、現在YouTubeで約50万人の登録者を持つコンテンツクリエイターはアラブニュース・ジャパンに語った。

VTuber（バーチャル・ストリーマー）とは、コンピューター・グラフィックスによって生成されたアバターを使用するライブ配信者のことである。アバターは通常、ストリーマーの動きを捉えるウェブカメラを通してアニメーション化される。

メインストリームで成功を収めた最初のVTuberは、2016年にKizuna AIという日本のストリーマーだった。それ以来、新世代のVTuberが日本だけでなく世界中に現れ始めた。

VTuberは通常、日本文化、特にオタク文化に関連しており、彼らのアバターはアニメやゲームのキャラクターのスタイルで作成されている。

アマチュアのVTuberは、より多くの人に見てもらうために、既存のアニメやゲームのキャラクターのコスプレをすることもある。

「すべては「原神」から始まりました。フリーナは私が初めて手にしたVTuberモデルで、ストリーミングの間、彼女の話し方を少し真似していました。ファンの人たちから、私の声が彼女に似ていると言われ、喜んでもらいたかったです」

「でも、ストリームを続けていくうちに、真似をせずに本当の自分を見せることが心地よく感じるようになりました。そして、カスタムVTuberを手に入れたとき、私の本当の個性を完全に彼女に与えました」と彼女は話し、現在のアバターは1991年の日本の漫画シリーズ『美少女戦士セーラームーン』にインスパイアされていると付け加えた。

ストリーミングを始める前、MeowlyVAは2022年に建築工学を卒業した普通の大学生だった。アラブ世界の多くの子供たちと同じように、彼女は吹き替えのアニメを見て育ち、それが彼女の生い立ちと人生に大きな影響を与えた。

このコンテンツ・クリエーターは、アニメやビデオゲームのシーン、猫の動画など、それまで吹き替えされていなかったコンテンツのアラビア語吹き替えを担当する短い動画を投稿し始め、それがきっかけでオンライン上に小さなコミュニティを形成するようになった。

「このゲームをアラビア語でプレイしたり、このアニメをアラビア語で見たりするのは楽しいよ、とアラブ人に知ってもらうために、吹き替えコンテンツをネットに投稿し始めたのです」と、MeowlyVAはアラブニュース・ジャパンに語った。

彼女は、自分の顔を見せずに視聴者を拡大し、既存の視聴者と密接にコミュニケーションする方法を見つけたいと考えていた。そこでVTubingに出会い、8ヶ月ほど前からストリーミング配信を始めた。

「昔は、ストリーミングは、オンラインコンテンツを作ることも含めて、カメラに顔を映すという選択肢しかなかったので、万人向けではないと感じました」

「内向的な人は、コンテンツを作る喜びやストリーミングの楽しさを味わうことができませんでした。だから、コンテンツを作るという発想は私の頭にはなかったんです」

このコンテンツクリエイターはアラブニュース・ジャパンの取材に対し、ストリーマーや声優になるキャリアにアニメが一役買ったと考えていると語った。

「幼い頃からアニメを見てきたので、それが私のものの見方や成長を形作る上で一役買っていることは間違いありません」とMeowlyVAは語った。「アニメから学ぶことは多いです。アニメのファンタジーさは、コンテンツ作りのクリエイティビティを高めてくれました。またモチベーションを高めるエピソードは多くのことを教えてくれます」

彼女の配信では、MeowlyVAは声優業界で成功するためのアドバイスを共有し、初心者から上級者まで、スキルを向上させるためのヒントを分かち合っている。彼女の教育的なセッションは通常、配信後にYouTubeチャンネルに投稿される。

魅力的な編集スタイル、字幕、アニメのシーンを使いながら、吹き替えのテクニックを深く掘り下げ、アラブ人が吹き替えを始めるきっかけになったり、アラビア語吹き替えアニメをまた好きになったりすることを期待している。

「アラブ人は吹き替えに真剣に取り組まなくなっています。技術も、訓練も、全体的なレベルも遅れをとっています。アラブ世界の吹き替え分野は徐々に衰退しています。昔はアニメやアニメーションをアラビア語でしか見ませんでしたが、今は日本語でしか見ません」とアラブニュース・ジャパンに語った。

「私は声優で変化を起こしたいのです。私はそれを変えたいのです。アラブ人としての声優の質を向上させたい。少なくとも、日本の声優と同じくらいになりたい。アラビア語でキャラクターに命を吹き込みたい。昔のようにアラビア語の吹き替えを楽しんでもらいたい」と彼女は付け加えた。

さらに、彼女はヤンデレ・シミュレーターやDress to Impressといった様々なビデオゲームもストリームでプレイしており、後者のクリップはインスタグラムやYouTubeで拡散されている。

MeowlyVAは、VTuberとしてのキャリアをスタートさせてから1年足らずで、YouTubeとInstagramで多くのフォロワーを獲得した。しかし、現在多くの成功を経験しているにもかかわらず、彼女はVTubingが中東ではまだ完全に受け入れられていないと考えている。

「アラブの女性VTuberであることで、時々さりげなくヘイトコメントを受けるんです」と、アラブニュース・ジャパンに彼女は語った。

「人々は私が何か悪いことをしているに違いないと思い込み、それが私が誰であるかを隠すことを選んだ理由です。なぜアラブ人がVTuberに反対するのかわかりません。でも、私は今やっていることを続けるし、いつか彼らの考えが変わることを願っています」と彼女は付け加えた。

彼女は、彼女はまだ反感を受けることがあるが、アラブ世界では多くの人々が徐々にVTuberを受け入れ、彼らに対してオープンになってきていると指摘した。

「私のチャンネルがYouTubeで大きくなってから、アラブのVTuberの新しい世代が生まれ始めているのを見ました。多くの人が、どうやって私のキャラクターを作ったのか、どうすればVTuberを始められるのかと聞いてきます。VTuberが嫌いな人もいるかもしれないけれど、アニメのキャラクターが自分を表現してくれるのが好きな人もいると思うんです」

MeowlyVAは、その正体不明のセーラームーン風のアバターを通して、アラブの子供たちに、他人からどう見られるかを難しく考えずに、本当の自分でいることを奨励したいと考えている。

「たとえアニメのキャラクターが必要だとしても、本当の自分を見せることを恐れないでほしい」

「VTuberとしてどう振る舞うべきか、考えすぎたり、計画しすぎたりしないでください。ありのままの自分で、挑戦してみてください」と、彼女はVTuberに挑戦したいアラブ人に助言した。

MeowlyVAのストリームはTwitchで 見ることができ、彼女のビデオはInstagramと YouTubeで見ることができる。