

ディーマ・アル・クデイル
ビジネスの成長にひときわ重要な役割を果たすのが、創造性だ。スタートアップ企業が競争の激しい市場で成功するためには、斬新なアイデアが必要なのだ。
ザン・レザーもそんなサウジ・スタートアップの1つだ。サウジアラビアの国家遺産の保護および促進を目的に、伝統的なサドゥの刺繍にインスパイアされたデザインを制作している。
この伝統的織物は、最近ユネスコの無形文化遺産に登録された。サウジアラビアでは8番目の登録となる。
古代の部族工芸品であるサドゥには、アラビアの遊牧民の豊かな文化遺産が描かれている。色や模様が鮮やかなことでも知られる。
ザン・レザーは、伝統的な芸術作品のための特別な空間を、サウジ国内だけでなく、湾岸諸国や世界各地に作りたいと目指している。
ザン・レザーは、ナージェス・アル・シャリーフ氏と、その夫タエル・アル=ズーアビ氏によって2018年に設立された。
設立後、アル・シャリーフ氏は英語教師としての仕事を辞め、ブランドに専念しようと決意した。夫であるアル=ズーアビ氏もそれに倣い、貿易の仕事を辞めてザン・レザーに専念することにした。
アル・シャリーフ氏は、このサウジアラビアの遺産がいかに長い間放置され、無視されてきたかを説明した。
「このブランドは、私たちの国の伝統を復活させることを目指しています。ザン・レザーは、サドゥの刺繍とレザーを融合させ、今日のトレンドに沿った現代的なデザインを生み出しています」とアル・シャリーフ氏はアラブニュースに語った。
ザン・レザーはサドゥ織物と天然レザーから作られたハンドバッグ、財布、眼鏡ケース、時計用ストラップなどの製品を販売している。素材となる天然レザーは、イタリア、アメリカ、ロシアから輸入したものだ。また、この冬にはサドゥ・スカーフを作り上げ、ベドウィンの模様と高品質の職人技が高く評価された。
サドゥの織物は、サウジアラビアの市民なら誰もが愛着を抱いているものであり、同国を訪れる人たちにとってもそれは変わらない、とアル・シャリーフ氏は言う。
「サドゥの製品は国民からも観光客からも愛されています」
「ビジョン2030」プログラムが開始し、特に観光部門が重点分野とされていることもあり、サウジアラビアを訪れてその独特かつ豊かな文化を探求したいという外国人が増えている。
「サウジを訪れる観光客が急増しています。そしてその多くが、自分が訪れた場所を反映したギフトや商品を持ち帰りたいと思っています。当社のアイデアが、国の「ビジョン2030」としっかり合致したのです。観光客の方々には、当社の商品に反映されている伝統を気に入っていただけました。当社の商品のなかに、サウジアラビアを象徴するものを見出していただいたのです」
ザン・レザーを競合他社より際立たせているものは、製品の美的な豊かさである。そしてそれは、数多くの研究の結果である、と同夫妻は言う。
「サウジアラビアの多文化主義、多様性、自然の美しさが、当社のインスピレーションとなってくれたのです」とアル・シャリーフ氏は語った。
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