
カーラ・シャハルーロ
日本人アーティスト草間彌生が、自身の没入型アート作品、鏡張りの「インフィニティルームズ」2室をイギリスのテートモダンにて2021年3月29日~2022年3月27日まで展示する予定となっている。
元々は2020年にテートモダンの20周年を記念して開催される予定だった、1年に渡るこの特別展では、インスタグラムアートの神格的存在となった草間のインスタレーションを展示するが、この日本人アーティストが作品を作り始めたのは1965年のことだった。
デジタル時代の没入型アートの力が勢いを増していることの証であるテートモダンのインフィニティ・ミラールームズは、見ている人を2室の実験的なインスタレーションの中に入らせ、動画や写真などと共に草間彌生の実験的パフォーマンスの初期の記録を見せる。これにより、草間のミラールームズが現在のようになった世界的現象の背景にある歴史的コンテクストを知ることができるようになっている。
現在にいたるまで草間の最大のインスタレーション作品の一つとなっている「インフィニティ・ミラールームズー生命の輝きに満ちた部屋」は、2012年にテートでの回顧展のために制作された。もう一つの部屋「悲しみのシャンデリア」は、シャンデリアが回転することで無限の宇宙のような錯覚を呼び起こすものだ。
この没入型アート作品では、観客が鏡のある小さな部屋に入る。吊るされた色付きの照明や水玉のカボチャ、赤と白の男根のぬいぐるみなど様々な装飾が、仕切られた反射環境に置いてある。
草間は昨年2月、サウジアラビアのアル・ウラーにあるマラヤコンサートホールでミラーインスタレーションの一つ、「インフィニティ・ミラールームー生命の輝きに満ちて」をお披露目している。
アル・ウラーでのインスタレーションはイギリスのものと似ており、全反射する空間、水に囲まれた観客用の小さな台があり、この台に立つと全く異なる美しい世界へまたたく間に没入することになる。
この作品は色とりどりの球体型照明が様々な感覚と高さで天井から吊ることで作り上げられており、星や惑星、銀河の出現を描いている。照明とともに反映委される要素がこの小さな空間を変容させ、展示が広大なエリアで行われているように感じるのだが、これにより観客を外の世界から隔絶する。
草間は松本市出身の90歳になるアーティストで、日本の最も重要な現代創作人の一人として広く知られている。
草間の作品は、初期には彫刻やインスタレーションで作られ、コンセプチュアルアートで知られており、これにはフェミニズムやミニマリズム、シュールレアリスム、アールブリュット、ポップアート、抽象表現主義などの傾向が示されているが、草間が芸術界に与えたインパクトはそうしたものを超越している。草間は絵画も描き、パフォーマンスアートにも貢献し、またファッションや詩もがけている。
10歳の頃から草間は、一面を覆いつくす水玉の鮮やかな幻覚を体験するようになった。草間の作品でよく知られているインフィニティ・ミラールームズは、最も初期の「インフィニティネット」の水玉の絵に触発されてできたもので、水玉の絵は水彩、グワッシュ画法、紙に描いた油彩などを用いている。
草間のインスタレーションは、観客が無限に続く水玉とネット、あるいはインフィニティミラーの空間の執拗なビジョンに没入することで、草間の幻視体験の感覚を共有してもらおうという試みだ。
ロンドンインスティテュートによる新年のダイナミックプログラムの一環として、2022年3月27日まで行われ、観客はインフィニティ・ミラールームに入ることができる。展示はテート会員はチケット1枚が無料で、非会員は10ポンドとなる。詳細はウェブサイトで確認できる: Tate Modern Website.