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『ドライブ・マイ・カー』、喪失と愛の心を打つ感情的な旅

この映画はHBO Maxで配信されている。供給写真
この映画はHBO Maxで配信されている。供給写真
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22 Mar 2022 05:03:16 GMT9
22 Mar 2022 05:03:16 GMT9

ゴウタマン・バスカラン

チェンナイ:長い沈黙を通して悲しみと痛みを見事に表現したミステリアスな映画『ドライブ・マイ・カー』は、日本の映画監督、濱口竜介氏の作品である。濱口監督はこれまでいくつかの素晴らしい作品を生み出してきたが、すべての作品が好評だったわけではない。

3年前のカンヌ国際映画祭では風変わりな恋愛映画『寝ても覚めても』を出品したが、不評だった。しかし、(黒沢清との)共同脚本による時代物スリラー『スパイの妻』は、2020年のヴェネチア映画祭でトロフィーを獲得している。そして翌年のベルリンでは、『偶然と想像』が銀熊賞を獲得した。

最新作『ドライブ・マイ・カー』は、アカデミー賞の監督賞、作品賞、国際長編映画賞にノミネートされており、映画祭やアートシアターでの巡回上映向けであることは間違いない。

『ドライブ・マイ・カー』はオスカー3部門にノミネートされている。提供写真

演劇の言葉や、愛と喪失の言葉が、非常に重々しい方法で語られる作品であるが、179分という長さにもかかわらず観る者を飽きさせない。

演劇と映画が深く融合したこの濱口作品は、日本の伝説的作家である村上春樹の同名短編小説を原作に、脚本を濱口と大江崇允が共同で担当した。

原作に忠実ではあるが、濱口は新しい場所や二次的な登場人物、そして彼らの悲痛な物語を加えることで、いくつか新たな展開を作り出している。

HBO Maxで配信されているこの映画は、深い悲しみに暮れる演出家で俳優の家福(西島秀俊)が、韓国、日本、中国の俳優を起用して、広島でアントン・チェーホフの『ワーニャ伯父さん』の多言語作品を演出する姿を追う。長く連続するキャスティングが繰り返されているように見えるかもしれないが、よく観察すると、それぞれにわずかな違いがある。

この映画は、日本の伝説的作家である村上春樹の同名短編小説を原作とする。供給写真

この舞台作品を監督する保険会社から運転手を雇うように求められた家福は、チェーンスモーカーでいつもイライラしているみさき(三浦透子)に、血のような赤色の愛車サーブの運転を任せる。話はドラマチックに展開し、この車が加福の人生と仕事の延長線上に置かれ、その閉ざされた空間が心を打つものへと魅力的に変化する。

車を舞台に変え、その中で家福とみさきに、それぞれが心に秘める欲望や苦悩を吐露させるという、濱口の手法に魅了される。みさき自身にも、不幸な家族の歴史があるのだ。撮影を担当する四宮秀俊のレンズが2人の悲しみと痛みをとらえ、車は走り抜ける灰色の不毛な風景をバックに、明るい昆虫のように見える。

クライマックスでは悲しみと憂鬱が短い一撃で消し去られ、最後はより明るい時間を予感させる、感情的に心を打つ大作である。

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