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ごみ処理場にも「平和の理念」=広島ロケ決め手、主要舞台に―映画ドライブ・マイ・カー

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28 Mar 2022 11:03:25 GMT9
28 Mar 2022 11:03:25 GMT9

米アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」。主な撮影の舞台となった広島の都市に根付いた平和の理念が改めて注目されている。

劇中、妻を亡くした主人公・家福悠介は専属ドライバー渡利みさきのお気に入りの場所に案内される。原爆ドームを起点にモニュメントを一本の線で結ぶ「平和の軸線」の先にあるごみ処理場だ。建物中央部は軸線を遮らないようガラス張りに。「平和の理念はここにも」。濱口監督が再生の物語を広島で紡ぎ出す決め手となったという。

撮影秘話を披露してくれたのは、広島ロケを誘致し、撮影協力した広島フィルム・コミッションの西崎智子さん(56)。

2020年9月、新型コロナウイルスの感染拡大で韓国・釜山ロケを断念した濱口監督は、被爆地・広島を訪れていた。まだ代替候補地の一つにすぎず、「自分に広島を撮るのは早い」と尻込みしたという。そこで西崎さんが連れて行ったのが、臨海部にあるお気に入りの「広島市環境局中工場」だった。

ここで西崎さんは、戦後の復興都市計画を担った世界的建築家、故丹下健三の理念を熱く説いた。当時廃虚と化していた原爆ドームに光を当て、南北線上に慰霊碑、資料館を配して「軸線」を定め、平和創造のモニュメントとしたこと。中工場は丹下門下の日本を代表する谷口吉生氏(84)が手掛け、軸線は建物中央に配されたガラス張りの見学通路「エコリアム」を貫き、海へと伸びゆく配慮が施されたこと―。

濱口監督は「ここにも平和の理念、文化が感じられる」と感嘆した様子だったという。

数週間後、西崎さんの元に広島ロケ決定の知らせとともに、脚本が届いた。「読んで椅子から転げ落ちそうになった」と西崎さん。中工場が劇中に登場し、濱口監督にした説明もせりふに盛り込まれていたからだ。撮影はその年の冬に行われた。

「打ちひしがれた人間がどうにかして希望を見つけようとしていく物語を、広島という場所が力づけ、導いてくれるような感覚をどんどん持つようになった」。今年2月の会見で、濱口監督は撮影時の心境をこう語った。

時事通信

 

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