アミン・アッバス

アブダビは、『チームラボ・フェノミナ・アブダビ（teamLab Phenomena Abu Dhabi）』のコンセプトを発表した。同プロジェクトは、アートとテクノロジーが融合した没入型のインスピレーションスペースであり、訪れるすべての人の好奇心、想像、創造性に火をつける。2024年に完成予定のこのプロジェクトは、サディヤット文化地区における最新施設となる。

総床面積1万7000平方メートル（GFA）の『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』の施設は、広範囲な実験プロセスを通じて構築された、アブダビ独自の比類なきユニークなインスタレーションを構想している。アブダビ文化観光局（DCT Abu Dhabi）は、首長国の観光地や体験の大手クリエイターであるミラル（Miral）と提携し、コンセプト、設計、施設の開発を、東京を拠点にする世界的に高い評価を得ている異分野のアート集団であり、独自のアートビジョンで知られる「チームラボ」とともに担当した。

「ルーブル・アブダビ」、「グッゲンハイム・アブダビ」など、サディヤット文化地区を構成する主要なランドマークとともに、アブダビの文化の中心地としての地位を強化する『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』は、歴史、文化、創造性の架け橋となり、訪問者を革新的なアート体験に導くことでこの地区のクリエイティブな魅力をさらに高めるだろう。来場者は、チームラボの新しいコンセプトである『環境現象（Environmental Phenomena）』を通して、心を開放し、旅へと誘われる。ここで紹介されるアート作品は、様々な現象を生み出す環境から生まれ、形作られている。チームラボが構想し、アブダビを拠点とする建築設計事務所MZ Architectsが実現した、環境に適合したユニークな建築は、アート作品が生命体のように、自由に、そして有機的に進化するための環境を提供するという重要な役割を担っている。訪れるたびに変化し、想像力の限界を超えた無限の冒険ができる場所として、来場者一人ひとりにとってのユニークな体験となるだろう。

アブダビ文化観光局会長のモハメド・ハリファ・アル・ムバラク局長は、次のように述べている。「好奇心と想像力は、私たち人間の核心であり、何千年にもわたるあらゆる発見、発明、革新の火付け役です。アート、テクノロジー、自然、ハイテク・ファンタジーの交差点に位置するチームラボ・アブダビは、訪れるすべての人に限りない驚きと創造性の世界を提供し、繁栄する未来に不可欠な、新しい視点を後押ししてくれるでしょう。世界有数の文化都市であるアブダビに、さらに素晴らしい体験を提供する『チームラボ・フェノミナ』は、アブダビならではの体験であり、アブダビが卓越した都市であることをより強く印象づけるものです。『チームラボ・フェノミナ』は、五感を刺激し、好奇心を育み、想像力をかきたて、知識欲をかき立てる旅を提供し、首長国、および世界の新しい世代の革新者と創造者にインスピレーションを与えるという、我々の取り組みを全面的に支援するでしょう」

チームラボの創設者である猪子寿之（いのこ としゆき）氏は、次のように語っている。「世界をリードする未来志向の都市、アブダビのサディヤット文化地区に『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』を開設できることは、私たちにとって大変光栄なことです。この施設では、そこにいる人々の参加と行動によって有機的に変化・進化する世界に浸ることができ、まさに身体的な体験によって、個人の価値観を広げることができるのです。未来は、人々による創造物の総和の上に築かれます。好奇心は、世界をより深く理解するための原動力となり、創造性につながります。そして、その創造性の方向性を決めるのは、想像力であると私たちは考えています。チームラボ・アブダビが、好奇心や想像力が生まれるきっかけになることを願っています」

猪子氏は、このプロジェクトの理念について、次のように述べた。「『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』は、『アート自体を、その環境が生み出す現象によって創り出す』というチームラボの新しいコンセプトに基づいて構築されています。『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』の作品は、独立して存在するのではなく、様々な現象を生み出す環境によって、その構造を安定させながら生み出されているのです。石、そして人工物を含めた物体は、それ自体で安定した構造を保っています。しかし、『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』作品は、それとは異なり、環境に依存した存在なのです。環境が現象を生み出し、その構造を安定させ、その安定した現象が、アートの存在を生み出しているのです」

「環境現象は、その存在の構造を維持する役割を担ってきた物質的な構造から放出されます。空気、水、光など、私たちの日常生活に浸透している要素は、環境によってユニークな現象へと変化し、アート作品となります。その存在の境界は曖昧であり、連続的です。たとえ人がその作品を破壊しても、その環境が維持されている限り、作品は存在し続けます。逆に、環境が維持されなければ、作品は消滅してしまいます。やがて、人の意識は作品の存在そのものから、環境へと広がっていくでしょう。石は外界から遮断された、密閉された箱の中で存在し続けることができます。しかし、生命は環境によって作られるものなので、そのような箱の中ではその存在を維持することができません。生命は、連続した世界の流れの中で生まれる、奇跡的な現象なのです」

「ロサンゼルス現代美術館」やシドニーの「ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館」など、世界的な機関に収蔵されているコレクションを制作してきたチームラボのアーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家が、UAEの首都アブダビで、独自のコンセプトとチームラボ独自の環境体験を構築している。

また、プロジェクトの正式始動を記念して、アブダビ文化観光局は6月24日から7月17日まで、マムシャ・アル・サディヤットでプレビュー・アクティベーションを開始する。そこではオープニングに先駆け「無限の好奇心」というコンセプトを体現する没入型のアートワークを参加者に体験して貰い、驚きと感動の旅へ誘う予定だ。

『チームラボ・フェノミナ・アブダビ』の開設は、アブダビ首長国の文化的景観を豊かにし、文化・クリエイティブ産業（CCI）を育成し、このUAEの首都を創造性と革新の中心地として位置づけるという、アブダビのビジョンを再確認するものである。文化は、社会的・経済的発展の主要な推進力であり、同首長国は、急速に、世界的に知られた才能の中心地、そしてクリエイティブなコンテンツの主要な生産地となりつつある。アブダビ首長国は、創造性と知識の発展を促すような多様な文化プログラムを地域社会や訪問者に提供し、より広い地域や世界と強いつながりを持つ、文化的に活発で、芸術的意識の高い都市を創造することで、芸術や文化の表現を広げようとしている。

首長国は、今後建設予定の「ザイード国立博物館」、「グッゲンハイム・アブダビ」、そして「アブダビ自然史博物館」などの博物館を含む文化施設の支援と開発を続けている。また、同首長国の舞台芸術、メディア、ゲーム分野でも、多様なプログラムや取り組みにさらなる投資が行われる予定である。