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サウジアラビアのシルクスクリーン・マイクロレジデンシーがプリントに純粋な感情を刻む

キュレーション段階から製作段階まで、レジデントは同インスティテュートのスクリーン版画施設を利用し、独自のアイデアを実現させた。(提供/ミスク・アート・インスティテュート)
キュレーション段階から製作段階まで、レジデントは同インスティテュートのスクリーン版画施設を利用し、独自のアイデアを実現させた。(提供/ミスク・アート・インスティテュート)
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05 Sep 2022 08:09:26 GMT9
05 Sep 2022 08:09:26 GMT9
  • 1カ月に及ぶ集中プログラムで、レジデント6名がシルクスクリーン版画による現代美術にどっぷり浸かった

ナダ・アル・トゥルキ 

リヤド:ミスク・アート・インスティテュートの最新のアートレジデンシー展では、文化を熱烈に愛する多様な人々がシルクスクリーン版画を通して体験した、内なる悪魔から自己探求の旅にわたる感情の波が披露された。

8月いっぱいアートハブ・マサハで開催された1カ月に及ぶ集中レジデンシープログラムで、社内版画家の専門チームの指導を受け、レジデント6名がシルクスクリーン版画による現代美術にどっぷり浸かった。

キュレーション段階から製作段階まで、レジデントは同インスティテュートのスクリーン版画施設や個人スタジオスペースを利用し、独自のアイデアを実現させた。

「レジデンシーは素晴らしい経験でした。さまざまなプリント手法を通じて、メッセージをより簡単に、より目立つように届けることができました。1カ月間のレジデンシーで、私たちは多くのことを達成できたと思います」と、レジデントとして参加したフィルム写真家のハイサム・アルシャリフ氏がアラブニュースに語った。

作品を通じて同氏は、自己認識、対処メカニズム、現代の社会的圧力をめぐる会話をさらに深く探ることができた。同氏は、自分の世代が日常生活で直面する脆弱性の問題をえぐり、婚姻圧力やブランドの着用など、さまざまな期待や批判をプリント作品として表現することを重視している。

「写真撮影では、プリントは写真の提示に不可欠な手法であると思いますが、さまざまな色やプリント形式を採用することで、創造性のレイヤーを1つ加え、より創造的、魅力的で、目立つようにメッセージを届けることができます」

対照的に、同じくレジデントとして参加したシャタ・アルトゥミヒ氏は、人間が自分の内側に作り出してしまう「内なる圧力」を探求した。同氏の作品は、人が内なる悪魔に取り組んで感情を表現する際に変身対象とするキャラクターが中心になっており、入場者の人気を博している。

「このテーマを選択したのは、よく自分が誤解されていると感じるためです。私はある種の経験をしてきたので、見ていて楽しいファンキーな方法で視覚化し、人々がそのような感情を否定的に捉えたり、心の中の怪物を悪と捉えたりしないようにしたいと考えました」と、同氏はアラブニュースに語っている。

アルトゥミヒ氏は、この機会を利用してシルクスクリーン版画を探求し、本来の領域であるグラフィックデザインやイラストレーションを深めることができた。同氏はフォトショップのビットマップ効果などさまざまな技法を用いて、アート作品に質感や鮮やかさを生み出している。

レジデントとして参加したモハマド・ファタル氏は、感情に訴える展示をマサハのホールに持ち込んだ。同氏の作品は垂らした薄布にプリントされており、廃墟や古い建物と私たちの関係を表現している。

取り壊された場所や家屋の写真は、意図的であれ他に手がなかったためであれ、私たちが大切な思い出を残して去る時に耐え忍ぶ感情に光を当てている。個人的な思いとしては、母国シリアに捧げた叙事詩である。

「戦争以来、シリアを訪れていません。そのため、現実のものではないとしても、取り壊されたこれらの建物の光景を見たとき、自分の心を占める大切な故国でこれを見たらどういう思いになるだろうか、と考えてしまいました」と、ファタル氏はアラブニュースに語った。

デジタル写真家である同氏は、布や織り目加工が施された紙を使用し、デジタル写真と物理的プリント作品への反応の対比を試してみた。

「これによって異なる感覚が得られ、それを私の個人的なものから、写真に限らずより芸術的なものに移したいと思いました。美しくプリントすることで…試すたび、プリントするたびに、新たなアート作品が生まれることがわかりました」

さまざまな分野のアーティストを集めて、この繊細ではあるが没入できる技法を体験させ、シルクスクリーン版画に対する認識を深めてもらい、レジデントの作品をサウジアラビア社会に紹介するために、このマイクロレジデンシーは企画された。

世界各国からアーティストがリヤドを訪れ、技芸を磨き、指定のテーマを探求する3カ月間の集中プログラム「マサハ・レジデンシー」がこれまでに3回実施されており、それを受けて今回アートレジデンシーが開催された。

同展はミスクのマサハスペースで9月8日まで開催され、毎日午後4時から10時まで一般公開される。

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