
シャマ・ クリシュナ・クマール
ドバイ:すべては猛暑の真っただ中にあるベルリンでの24時間パーティで始まった。
サウジのデザイナー、ライラ・エル・メヘルミー氏とパリを拠点とするデザインスタジオ「ゴーレム(Golem)」のアリエル・クローデット氏がパーティの出席者が氷で暑さを落ち着かせているのを見たとき、OoOoooOoooOh la l’ice ネックレスのアイデアが具体的になり始めた。
オランダを拠点とするエル・メヘルミー氏は「世界滅亡後のような気分でした。まず皆がマスクを着けていたし、そして誰もが飲み物よりも氷をつかもうとしていたんです。とても奇妙でした」と語った。
「おかしなスタートでした。それからアリエルと私は考え始めて『なんか狂ってるわよね』という感じになり、まるで世界の終わりを祝うパーティのようでした」
それから6か月に渡って2人はそれぞれが暮らすオランダとフランスからZoomを使い何度も繰り返して氷のネックレスをデザインした。
シンプルだが目を引くデザインで作られたこのネックレスは、一連のシルバービーズに7個の氷が凍り付いているのを特徴とする。凍っていない時は長いビーズのネックレスとして、または二重に巻いてチョーカーとして着けることができる。ネックレスにはシリコン製の型が付属されているので何度でも凍らせることができる。
建築・芸術・デザインスタジオ「ゴーレム(Golem)」の創立者クローデット氏は「常に最初のアイデアを忘れないようにし、ほかのアイデアによってもともとの順序が変わってしまわないようにすることが主な課題でした」と述べた。
「一歩下がってみて、デザインだけでなくあらゆることには目的があること、そしてまたデザインは私たちの考えを表現するのだと確認することが大切だったと思います」
「そうすることで、いったん作品が出来上がって世に出されたときにそれを確実に自分自身のものにする機会が持てると思います」
氷のネックレスは単なる美的で斬新なジュエリーというだけでなく、水の大切さに関するメッセージが込められている。
「宝石職人としていつも目にする石、金属、貴重な材料はどれも価値の高いものですが、価値をつけるのは人間です。実際私たちにとって地球上で最も貴重なのは水です。水なしではどんな生き物も生き延びることはできません。」
「それなのにどういうわけか私たちは日常的に水を見ることに慣れてしまい、少し見過ごされてしまっています。人間としてダイアモンドなしでも生きていけますが水なしでは生きていけません」とエル・メヘルミー氏は付け加えた。
サステナビリティのメッセージに2層の解釈をもつクローデット氏は「私たちにとって水は非常に大切なものなのでそれを身に着けて水の美しさを祝いたいと思っています。氷のネックレスはとても美しいので身に着けますが、氷はまたその成分に戻っていきます。水はいつもそこにあり世界で最も貴重なものですが、それを所有することはありません。水はいつも戻っていきます」と述べた。
「液体、固体、気体という3 つの水の状態が常に存在することは誰もが知っています。私たちはそれを変えませんでしたが、水に影響を与えるとき人間は触媒として作用します。つまり人間はこの自然のサイクルを強化して地球に悪い影響を及ぼしてきたのです。なので基本的にこういった状態を変えるにはもう遅すぎるのかもしれませんが、ペースを落としていくことはまだできるのではというのが結論です」とクローデット氏は付け加えた。