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サウジ映画製作者、スクリーンでメンタルヘルス問題の重要性を強調

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24 Sep 2022 08:09:01 GMT9
24 Sep 2022 08:09:01 GMT9
  • 『Jameel Jeddan』と『Lithium』は笑いと共感によりタブーを打ち砕く
  • サウジアラビアでは、成人のうち3人に1人が一生のうちに障害と診断された

ナダ・アルトゥルキ

リヤド:メンタルヘルスは、この地域および世界中で依然としてタブーの話題と見なされており、迷信家から犯罪者に至るまでさまざまな解釈があるものの、今やサウジアラビアの映画制作者らにより映画やテレビ番組で強調され、正常化されている。

サウジアラビアの作家、監督、女優のサラ・タイバ氏は、テレビシリーズ『Jameel Jeddan』(「とても美しい」という意味)の最新作において、笑い、共感、また思考を刺激する要素を盛り込んでいる。この番組は成人向けの物語で、視聴者を愛、トラウマ、喪失の旅に連れて行き、風変わりなアニメと対照しつつ偏見と戦いながら、最終的には現実を受け入れる。

タイバ氏が演じる主人公、ジャミールは、5年間の昏睡状態から目覚め、高校での最後の1年を終えることを余儀なくされ、もはや識別できない社会に再び加わることになる。対処メカニズムとして、ジャミールはアニメーション化された別の現実を形成し始める。

「メンタルヘルスは、秘密裏に、日常的にそれと戦う非常にプライベートな経験で、必ずしもそれを共有する必要はないと思います」とタイバ氏はアラブニュースに語った。

同氏は、映画や番組がメンタルヘルスの問題に苦しんでいる主人公を取り上げることは重要だと考えている。「メンタルヘルスの問題は、非常に関連性がありながら社会で誤解されています」

タイバ氏と仲間の映画製作者で同番組のディレクターであるアナス・バタハフ氏は、物語とメンタルヘルスの問題を、多くの視聴者に受け入れられる方法で提示しようとしている。サウジアラビアの視聴者はしばしばコメディやアクションによく反応し、それはサウジ映画に繊細な物語があまりない理由を説明しているのかもしれない。

サウジ国民に対する健康・ストレス調査によると、同国では成人のうち約3人に1人が生涯に診断可能な精神障害を経験していることが明らかになった。意識の向上は、多くの場合、人々が支援を必要としていることを理解し、また支援を必要としている人にそれを提供するための最初のステップとなる。

全英映像等級審査機構が13歳から18歳までの若者を対象に実施した最近の調査によると、78%が映画とテレビがメンタルヘルス問題に関する意識を広める上で不可欠な役割を果たすと考えている。さらに、68%が、エンターテインメントメディアによるポジティブな描写は、これらの問題に対する偏見を取り除くのに役立つと述べた。

もう一つの例は、双極性障害を抱えて社会の中で静かに苦しんでいる人々に焦点を当てた、近日公開予定のサウジアラビアの長編映画『Lithium』だ。この映画は、その状況をポジティブかつ正直に伝えることを目指している。

この映画は先月、世界中の観客に多様な映画を提供し、サウジアラビアとアラブの映画制作者の両方により貢献することを目的とする「紅海基金」で支援を獲得した。

「メンタルヘルスは、いまだに世界中でタブー(の話題)とみなされています。一部の映画は、精神疾患を持つ人々が社会にとって暴力的または危険であるように見せがちなので、こうした誤解は修正しなければなりません。マスメディアチャンネル、特にソーシャルメディアのインフルエンサーらの間で、より多くの意識を最大限に高めるべきです」と、映画の共同監督であるタルハ・B氏はアラブニュースに語った。

同氏によると、メンタルヘルス障害がメインストーリーの進行役であろうと、サブストーリーに組み込まれていようと、そのような障害の心理状態と性質を理解するのに役立ち、思いやりと共感によって動かされるコミュニティを作り出すことができる。

「精神疾患に苦しむすべての人には、私たちの社会の活発な一員となる機会が与えられるべきです。私たちは、物語がメンタルヘルスの重要性のような難しい題材を分解するのに役立つと信じています。このようなストーリーを語ることにより、いわば、不快感を和らげることができます」と同氏は付け加えた。

世界的には、『クイーンズ・ギャンビット』、『ボージャック・ホースマン』、『ユニークライフ』などいくつかの映画や番組が、最近の作品でメンタルヘルスの問題を描いている。しかし、このような作品はこの地域では珍しい。

それでも、サウジアラビアのクリエイターの多くは、サウジ国民の共感を呼ぶ文化的シナリオを通じてより大きなインパクトを生み出すために、スクリーン上でメンタルヘルスにスポットライトを当てる必要性を認識している。

「最近では、メンタルヘルス問題を論じる短編映画の上映へのニーズが非常に高まっています。人々は、すべての精神的な問題が内側から始まることを理解するために、この種の映画を見る必要があります。対象となる視聴者がこのテーマについて十分な教育を受けていれば、問題に対処できます」とストップモーションアニメ『The Bottle』の共同ディレクターであるモハメド・ソバイ博士はアラブニュースに語った。

エファット大学で映画芸術を学ぶ学生によって最初に制作されたこの短編アニメは、自身の最悪の不安に悩まされ、最も深い恐怖の絶え間ないループの中で生きている男の人生を考察する。

「この映画は、エファット大学で映画芸術を学ぶ学生を対象としたコースの、最終プロジェクトとして始まりました。私たち、この映画の制作チームは、精神疾患に苦しむことがどのようなものかに焦点を当てるべきだと決めたとき、本当にユニークなものを作りたかったのです」と共同監督のハディール・モハラム氏は述べた。

この短編映画は、後に視聴者からのフィードバックに基づいてリメイクされ、2021年のサウジアラビア映画祭で上映され、こうしたストーリーをスクリーン上で見る必要性を認識した観客から絶賛された。

「上映後、人々は映画を見た後の自分の感情を表現してくれました。映画の中で、どのように自分自身と愛する人たちの断片を見たのかを。結局のところ、それは映画であり、映画は人々のためのものであり、自分自身を表現して物語を語るのに、この形のアートより優れた方法があるでしょうか」とモハラム氏は語った。

サウジアラビアのウェルビーイング・プラクティショナーでサイケデリックス統合療法の専門家であるハヤ・アルヘジャイラン氏は、最近、2018年以来のサイケデリック科学、医学、文化の分野における世界的な発展を追ったドキュメンタリー『The Psychedelic Renaissance』に取り組んだ。

今は資金提供の最終段階を模索しているこの映画は、この分野の一流の研究者や人物のプラットフォームを作り、さらにうつ病、心的外傷後ストレス障害、物質依存症に対する、最も一般的なサイケデリック療法の2つに焦点を当てている。これはメンタルヘルスに関する会話への偏見を取り除き、代替治療について大衆を教育することを目的としている。

「心理教育を通して意識を高め、人々が自分自身を助け、他の人を助ける力を与えます。メディアは、幅広い聴衆に到達し、消化しやすく共感できる方法で難しいトピックについて話すための強力なツールです」とアルヘジャイラン氏はアラブニュースに語った。

またこう付け加えた。「メディアの表現は、苦しんでいる人々に、自分は一人ではないこと、そして自分たちの苦しみが身体的な病気と同じように、根拠のあるものだということを思い出させ、またこれが人間のありようの一部であり、多くのさまざまな方法を通して効果的に対処し治療することができると示すことで、人々に希望を持たせることができます」

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